16.面会
えっマジでルイス王太子のデートするの?疲れいて頭が回らない!
呆然としていたらザイラが手を握り大丈夫だと宥めてくれる。ツイていない日はとことん良くない事が起きるもので、部屋の外に控えるリックが面会を求める先触れが来ていると知らせる。溜息を吐いたザイラが出て行き応対してくれる。
「はぁ…また言い合いしてるよ」
扉外でザイラと誰かが言い合いをしている。また高位貴族の令息が面会でも求めて来ているのだろう。断れるの?
『もぅ、ザイラに同席してもらいサクっとお会いした方が早くなくなぃ⁈』
ずっと逃げていてもずっと付き纏われてるだけかも…
そんな事を思っていたら困った顔をしたザイラが戻って来た。恐らくウチより高位貴族の令息からなんだと察し
「ザイラ…悪いけど逃げててもずっと面会を申し込まれるから、サクッと面会し終わらせようと思うの…駄目?」
驚いた顔をしたザイラは少し安心したように
「聡明な姉上のご察しの通りザガリー公爵家のディック様と、ミグラス辺境伯のハワード様が面会を望まれています。私はできればお会いして欲しくない…」
「私もよ!人見知りするから嫌なんだからね…でもザイラが居てくれたら頑張れるかも…」
「姉上!」
勢いよくザイラに抱きつかれて息が止まるかと思った!苦しがっているのに気付いたザイラはやっと解放してくれる。どうやら初めは父様に面会を申し込んだようだが、まだジン様と話をしていた父様はザイラに一任したそうだ。父様はザイラを一人前と認めたのかなぁ?
ザイラと相談してディック様とハワード様お2人一緒にならお受けする事にした。
だって王太子と面会した時点で予定時間を過ぎている。正直早く帰りたいしザイラも本宅に戻らねばらならない。
ザイラは部屋を出て先触れに事情を話し、先触れの従者は伺いに一旦下がった。
少ししたらリックが来客を知らせて来る。
ザイラが応対すると先触れでは無く、ご本人がやって来た。仏頂面のザイラが応対しお2人が入室してきたので立ち上りお迎えする。
『流石高位貴族の令息だ。王太子に負けない美丈夫だ』
ディック様は青みがかった銀髪に水色の切長の瞳で細身で背が高く、ハワード様はオレンジ色に近い金髪で癖毛でライオンみたい。
『”らいおん”ってなに?』また分からない言葉が出てきた。疲れているから?私最近少しおかしい…
で!ハワード様は薄茶色の大きな瞳でがっしりした体型の男性だ。
順番に丁寧なご挨拶をいただき、こちらも同じく形式的な挨拶を返す。
正面にお2人が座りザイラは私の横に座って神官見習いさんがお茶を入れてくれやっと話す事に。
「やっとお会いする事が叶い幸せにございます」
「舞踏会でご挨拶させていただくのを楽しみにしておりましたが叶わず、夜も眠れませんでした」
熱い眼差しを送ってくる2人に一応微笑むがちゃんと笑えているだろうか私…
色々話しかけて来る2人に差し障りのない返事をしていたらディック様が
「何度も文を送り私の気持ちをお伝えしておりますが、ミーナ嬢に響いていないようだ。私は不快でしょうか⁈」
「私も同じ思いです。お聞きしたい!」
「えっと…」
今日初めて会い心が動くのなんて稀だと思いますよ。他の令嬢達て恋文だけで好きになったりするもんなの?
貴族の同性友達がいないから分からない。て言うか友達自体少なかったんだ…
目の前で真剣な顔をして答え待ちする2人に何で答えるのが正解?
口籠っていたら横にいるザイラが身を乗り出し
「発言をお許しください。姉は病弱の為に領地の森で暮らし人とあまり交流を持ってきておりません。故に人見知りをされる上に貴族の習慣やマナーに慣れておられません。
姉の事情をご理解いただきご容赦ください。また姉は奥手故、あまり強引な方は苦手意識がございます。ご察し下さい…」
ザイラの言葉を聞き深く座り直しお茶を飲み気まずそうな2人。この後トーンダウンした2人とは無難な世間話をした。普通の会話するのは嫌では無かった。雑談に笑い合ったりしいい面会となった。自分の事だからザイラに頼ってばかりいれない。面会最後に
「面識のない男性と上手く話せるか心配で緊張しました。弟が話してくれた様にあまり人と付き合いの無かった私は不作法で、失礼が多いかと思います。それに私まだ婚約とか全然考えていません。
ですのでいいご縁がございましたら、そちらを…」
しれっと求婚を断ろうとしたら!
「いえ!今日お会いして改めて貴女と縁を持ちたいと思いました!また会いに参ります。その時は2人で…」
「私もでございます。貴女の気持ちは分かりました。しかし私も貴女がいい。治療を終えられたら我が辺境地ご招待したい。その時は2人で…」
「えっと…考えておきます」
困っているとジン様と話が終わった父様が迎えにきた。父様は入室し一瞬驚いた顔をしディック様とハワード様に丁寧に挨拶して
「本日はミーナ治療を受け疲れておりますのでこの辺で失礼したい」
流石父様でこの後直ぐにお2人は帰って行った。ディック様とハワード様が帰ると気が抜けて、はしたなくソファーに寝転がる。
ザイラはあった事を父様に説明している。眉間の皺を深め話を聞く父様。
溜息をついた父様は寝転ぶ私の横に座り、私の頭を撫でていつもの様に優しく微笑む。
『父様のこの顔好き…』
父様の微笑みに癒されてやっと帰る事になった。父様とザイラはここから一旦本宅に帰り私は別宅に帰る。馬車に向かうと何故かヴォルフがいて一緒に乗車し別宅に帰る。
かなり(精神的に)疲れた様で出発後直ぐに寝てしまう。そしては珍しく夢を見た。
見たことのない屋敷の庭でお茶をしている。向かいに座る男性は誰か分からない。でも夫である事は何故か分かる。優しく微笑み私の手を取る。そして何か言っているが分からない。でも心が温かく穏やかな気持ちだった。
「お嬢様!到着致しましたよ!」
「へっ?」
目が覚めると心配そう私を見ているヴォルフ。大丈夫と言いヴォルフの手を借り馬車を降りた。
この日は疲れ果て夕食も食べず湯浴みもせずに寝んだ。
翌日は昨日の疲れが抜けず午前中はベットの上でダラダラし、昼からは森に自生するアンスのジャム作りを手伝いのんびり過ごす。
夕方にヴォルフが父様とザイラはもう少し本宅に滞在すると教えてくれた。どうせ母様が引き止めているのだろう。予想が付くわ。
父様もザイラはも居ないなら明日は気兼ねなくナーシャの所に行き、ロダンダの話を進めよう。
半年を切ったからそろそろ本格的に動かないとね!それに…リアム様とキーファ様が私の家出を知っていそう。まさかナーシャがバラシとか思いたくないけど、ちょっと探りを入れてみよう。そう決心して今日は早く就寝する事にした。
翌朝いつもより早く目覚め身支度し、ヴォルフに見つからない様に備品室からシーツを取ってきてアンを待つ。
普段はマーガレットさんが来ていたが今休暇中だ。舞踏会までは忙しかったから私が父様にお願いし休みにしてもらったのだ。
『ちゃーんす!』
父様もいないマーガレットさんも居ないなら、気を使わずアンに家事を教わる事が出来る!マーガレットさん休みだからアンが来るはず。だからベットメイキングを教わる気満々で部屋で待つ。
“コンコン”『キタ』』
シーツを持ち立ち上がり返事すると…
「お嬢様お目覚めですか」「ヘレンなんで!」
そう部屋に来たのは侍女長のヘレンだ。彼女は私がこの別邸に来た時から仕えてくれている私には祖母の様な存在だ。
シーツを持ち固まる私を見て微笑み私からシーツを取り上げ
「あらあら誰かしらシーツを忘れて。お嬢様ありがとうございます。お嬢様はお食事なさって下さいませ」
「あ…はぃ…」
ヘレンの表情から私が家事を習っているのがバレているのが分かる。昔から私の隠し事を知っている時、必ず穏やかな微笑みで優しく接し自白待ちするのだ。
そうヘレンの聖母の様な微笑みに、自責の念に耐えれなくなり自爆して来た。今回もそのパターンか…
「私はお嬢様らしくていいと思います」
「へ?」
「ちゃんとお話しなさったら、お嬢様を愛してらっしゃる旦那様なら分かって下さいますよ」
ヘレンはハグして背を撫でてくれる。
「ありがとう?」
「はい。さぁ!ナーシャの所に行くのでしょ?早くご準備を」
本当に別宅の皆んないい人ばかりで皆んな家族だ。
後半年で別れるとなると寂しい…自由を手にするが手離すものもあるんだと分かり複雑な気持ちになった朝だった。
ヘレンに急かされ朝食を食べナーシャの元に向かった。
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