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12.手紙

知らぬ間にザイラが色々知っていて…



父様から母が違う事を聞いていたからパニックにならずにいれたが、淡々と話をするザイラに


「意外に冷静なんだね」

「あぁ…父上から聞く前から母上がそれらしい事を話していて、薄々そうじゃないかと思っていましたから、父上から聞いても冷静でしたね」 


あの母様の事だからザイラに何か言っているとは思っていたが、子供にする話ではない。

ザイラが私を嫌いになるの筈だ。


血塗れ事件のあの日は寝不足で、結局夕方まで休憩室で寝ていた。どうやらその間に父様から色々?聞き話したそうだ。今まで知らなかったよ私。


「幼い頃から疑問に思っていた事が分かりすっきりし、自分のすべき事が明確になり一つ大人になりましたよ」

「まだ未成年なのに⁈」

「年は関係ありませんよ。尊敬する父上の様に姉上や家を守れる男になる為、手始めに森について学ぶんです」


目を細め弟の成長を嬉しく思い顔が緩む。


「ザイラなら父様みたいになれるわ」

「精進します。これからは頼って下さい」

「嬉しいわ!よろしくね」


こうして何年かぶりにザイラと沢山話をして楽しい食事を終え気分良く部屋に戻った。

色々あり疲れたから早目に就寝準備をし寝もうとしたらマーガレットさんが部屋に来た。


「お休み前に申し訳ございません。旦那様が明日朝一で執務室にと申されております」

「分かったわ。私も寝むるからマーガレットさんも休んでね。貴女も忙しかったから」

「お気遣いありがとうございます」


マーガレットさんの顔に疲れが見てとれる。

やっと休めるマーガレットさんは足取り軽く戻って行った。


ベッドに入り色々考える。王太子に求婚された事で家出計画か危うくなって来た。王太子には悪いけど私は逃げます。

まず明日父様の執務室に行った後にナーシャの所に行き、リアム様の話と王太子と母様の愚痴を聞いてもらおう。そして家出計画を進めよう。計画の話をするならディーンも呼んだ方がいいかもしれない。

色々考えていたらあっという間に眠りに落ちた。


自分のベッドは寝心地よく快眠で朝から調子がいい!身支度を終えたらヴォルフが迎えに来た。いつもながら朝らがピシッとしているヴォルフと他愛もない話をしながら父様の執務室へ向かう。程なく着きノックし入室する。

舞踏会からずっと忙しそうな父様は少し痩せた様に見える。心配するといつもの優しい笑みをくれる。多分ここ数日父様を悩ましているのは母様と王太子だろう。

母様はいつまでここにいるつもりだろう。

正直早く本宅に帰ってほしい。あの人がいると揉め事が絶えないからなぁ…


「昨晩は夕食を共にできず済まなかった。朝食は一緒にいただこう」

「嬉しいわ!父様がいないと味気ないから」


目を細めまるで孫を見る様な視線を送る父様。かなりお疲れの様だ。父様の仕事を私が手伝えたらいいのに…


「朝一来てもらったのは…」

『なになに?恐っ!』


座り直すと父様がテーブルに手紙を置いた。見ると父様宛の手紙だ。意味が分からず父様を見ると読む様に促す。

手紙を裏返して固まる。そこには王家の紋章が!読むのを躊躇していたら父様が苦笑しながら


「大丈夫だよ…怖い事は書いていないから」

「本当に?」


頷く父様を見て勇気を出し手紙に目を通す。

手紙には舞踏会を労う言葉と、”漆黒の乙女”を立派に育てた父様に陛下から感謝の言葉が綴られていた。そして次の一文に嬉しい内容が!


『王太子であるルイスとの縁は強制では無く、ミーナ嬢の意志を尊重する。国に留まってくれるならば伴侶の身分は問わない。ミーナ嬢が望む縁を結ぶといい。しかし王太子にチャンスを与えてほしい』


陛下からの王太子との婚姻は強制しないと言質をとった。とりあえず大手を振って断る事が出来る事になり少し気が楽になった。


「ミーナ。お前は望む様にすればいい。お前がこの国に来てからずっと平和が続き安定している。故に陛下もお前が嫌がる事は望んでおられん。何があっても私がお前を守る」

「父様…私父様の子で幸せです」


席を立ち父様に抱きついたら、ぎゅっと抱きしめてくれる。母には恵まれなかったが、素晴らしい父親をがいて本当に幸せだ。父様は私の頭を撫でながら


「ミーナは病のため森に閉じ込められ他の令嬢の様に好きなこともできず我慢して来たんだ。成人したら自由に生きなさい。私はどんな時もお前の味方だ。たとえ遠くに行ったとしても…」

「!」


びっくりして思わず父様の顔を見た。いつも優しいがいつも以上に優しく愛を感じる。


『家出はバレていない筈。でも父様は私が出ていくのを知っているかの様だ。たまたまなの?』


取り繕うように


「まだ何も考えてないわ。ゆっくりどうするか考えるわ」

「そうしなさい。ただ、良いことも悪いことも何でも話してくれ。愛するお前が急に居なくなると私は生きていけない」

「分かったわ…父様大好きよ」


さらに強く抱きしめる父様。その優しい温もりを感じ少し罪悪感を感じた。


“コンコン”

「ザイラでございます。姉上はこちらですか?」

「入りなさい」


ザイラが入室して爽やかに微笑み朝の挨拶をする。どうやら母様はみんなが食卓に皆が来ないと騒ぎ出したらしく、ザイラが迎えに来た様だ。苦笑した父様は陛下の手紙をなおし、ザイラと父様と並んでダイニングに向かう。2人に挟まれ胸がぽかぽか温かく、今日は良い一日になりそうだ。



「・・・」

『おかしい…今日はいい一日になる筈なのに…』


ダイニングに着くと超不機嫌な母様が入室するなり、父様に使用人達の愚痴をこぼす。

父様は一応母様の話を聞いてあげている。本当に父様素晴らしい人だ。私なら聞き流すか無視するだろう。ふとザイラと目が会うと私に身を寄せ小声で


「私も恐らく姉上と同じ気持ちです」


とウインクして来た。ザイラと苦笑していたら給仕が始まり美味しそうな朝食が並びいただく。食事が終わりお茶をいただいていたら母様が


「私は昼前に本宅に戻るわ。やることも沢山あるし、何よりここは品がなく落ち着かないわ。ザイラは1ヶ月ここで父上にしっかり学びなさい。後、ミーナはダンスやマナーをしっかり学ぶように。今のままでは王太子妃にはなれませんよ。ルイス殿下の横に立っても恥ずかしくない淑女におなりなさい」

「…」

ちょっとイラッとしたが後少しの我慢だ!


はぁ…母様はやっと帰る。明日からはこの別宅に平穏が訪れるだろう。明日は料理長に手伝ってもらい使用人の皆に何かお菓子を作ろう。母様がいた間ストレスだったろうしね。


食後に父様の執務室に母様がいったので、ナーシャのところに行く為に準備を始める。嫌けど今日も騎士が付いてくるらしい。

後少しだから上手くやり過ごし、計画がバレないようにしないと!


身支度が出来たので一応父様の執務室に行き、母様にお別れの挨拶をサクッとしてナーシャの元へ向かう。

色々あり過ぎて今日一日で話し終わるだろうか⁈

愛馬リンも久しぶりで張り切っているのが分かる。私も同じ気持ちだ!

さぁ!ナーシャの元へ出発!


「開門!」


声高らかにそう告げると門番が門を開けてくれる。

屋敷を出て踊るように走るリンは楽しそうだ。鼻息はハミングしているみたいだ。私が舞踏会に向けて詰め込みで淑女教育を受けている間は全くリンの相手をする事が出来ず、馬番からリンの元気が無いのは聞いていた。一応他の者が走らせてはいてくれていた様だ。


ついて来た騎士が


「やはりお嬢様の愛馬だけありリンは賢いですね。お嬢様が乗れない間も拗ねたりせずに、お嬢様を待っていたのです」

「そうよ!牝馬で柄は小さいけど頭が良くて優しい子なのよ!ねぇ〜リン」


褒められたリンは首を上げ誇らしげだ。私も自分の事の様に嬉しい。

こうして久しぶりの乗馬を楽しみ、ナーシャの家に着いた。付き添いの騎士にリンの手綱を預けて玄関をノックしたら…


「ミーナ嬢?」

「何故貴方が!」


予想もしてなかった人の登場にフリーズした。

お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


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今回は少し短めです。少しスランプ気味です。

気長にお待ち頂けると嬉しいです。

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