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10.同一人物?

何もかも初めてに不安しかなく…

「ありがとう」


ザイラの手を借り馬車を降りる。着飾った沢山の人が入場待ちをしていて、さらに緊張し無意識に眉間に皺をつくる。そんな私にザイラが微笑み頬に口付ける。

前を歩く父様に沢山の人が話しかけて来た。父様と母様は挨拶しつつどんどん進んでいく。そして沢山並んでいるのに先頭まで来た。すると文官が父様に丁寧な挨拶をし城内に案内を始める。


「えっ?うちが一番乗り?」

「王太子殿下のパートナーである貴女が誰よりも優先されるのよ。母様は鼻が高いわ」


胸を張り心なしが目線が上な母様を見てザイラが


「母様は公爵家に嫁いだ伯母上より先に入城できるのが嬉しくて仕方ないですよ」

「ますます逃げたくなって来た」


難しい顔をする私をグッと引き寄せるザイラ。すっかり逞しくなった弟に気恥ずかしくなりながら歩く。城内をどんどん奥に進んで行く。控室に行くと思いきや騎士が立っている部屋の前に着いた。嫌な予感しかしない…


「バンディス侯爵様お待ちしておりました。どうぞ中へ」


騎士が扉を開け入室する。どうやらここは執務室の様だ。でっ誰の?


「待っておたぞ」

「国王陛下に…」

「バンディス侯爵。堅苦しい挨拶はいい。かの乙女を紹介してくれぬか!」


前に父様と母様がいて声の主が見えない。でも国王陛下なのは分かる。て事はここは陛下の執務室⁈馬車で聞いた段取りは控室で時間まで待ち、王太子が控室に迎えに来てご挨拶し大広間に移動。そして慣例通り国王陛下と王妃様にご挨拶の列に並ぶ。

しかしのっけから話が違う。頭を下げたまま横のザイラを見たら困惑しているのが分かる。やっぱりイレギュラーなようだ。


陛下に促され顔を上げると父様と母様は私の後ろに移動しており、目の前に陛下と若い男性が座っている。

陛下は目の前に来て微笑み私の手を取り口付けた。どうしていいか分からず固まる。


「やっと会えたな”漆黒の乙女”に。これほど美しいとはな…儂が側室に迎えたいくらいだ」

「あ…」

「父上の冗談は洒落になりません。乙女も困ってらっしゃる」


声のする方を見たら…

眩しい程の金髪の長髪に、吸い込まれそうなターコイズブルーの瞳の王道の王子キャラが微笑んでいる。

陛下が手を離し気がつくと横にいたザイラも後ろに移動している。この人が王太子?

ヤバい!ますばご挨拶しないと


カーテシーをしようとしたら跪いた王太子に手を取られ手の甲に口付けされ


「愛しい私の姫。私はルイス。今日貴女をエスコートするこの国の王太子にございます」

「申し訳ございません。私からご挨拶せねばならないのに…バンディス侯爵家ミーナと申します」


立ち上がった王太子殿下は私の手を引きソファーに。陛下や父様達も着席する。直ぐに女官がお茶を入れ退室し、陛下が父様と話をしている。着席後も手を離さない王太子。何度か離そうと試みるが、その度に握り直され離す気ゼロの様だ。そしてにこやかにずっと私を見ている。


『居た堪れない…』


ふと殿下を見て不思議な感じがする。なんだろう…それが何か知りたくて真っ直ぐに殿下を見据えたら…無意識に…


「リアム様?」


そう呟くと殿下の顔が険しくなり、私をグッと引き寄せて低い声で


「なぜその名を…彼奴リアムを知っているのですか⁉︎」

「えっと…殿下近いです」


リアム様の名を出した瞬間から殿下は人が変わり怖い!緊張していてちゃんと見てなかったが、余裕が出てきてじっくり見たら殿下はリアム様によく似ている。違うのはカラーだけで顔のつくりはよく似ている。


すると殿下は父様に説明を求めた。父様は教会で偶然会ったと説明してくれた。眉間に皺を寄せ何か考え険しい顔の殿下。


「まさか教会が…侯爵其方もよもや」

「教会の真意は私には分かりかねます。私は娘の意志を尊重してやりたい…」


意味が分からず固まる私。どうやら私の話をしているが当の本人が置いてきぼりだ。

不安な顔をしていたら殿下と目が合った。殿下は手を握りまた優しい眼差しにもどる。

すると陛下は母様とザイラに控室に行くように言い、私と殿下は殿下の執務室に移動になった。移動中殿下は私の歩幅にあわせてくれる。ザイラのエスコートも安心出来たが、殿下のエスコートはスマートで流石王太子だ。

程なくして殿下の執務室着く。

ソファーに座るとまた横に来て手を握る。これって普通なの?深い森で育ち貴族との交流をしてこなかった私に分かる訳もなくされるがまま。


「ミーナ嬢。ずっと貴女と会いたかった。しかし貴女の病があり叶わなかったのです。エスコートも受けていただき僥倖で、昨晩は眠れなかった」

「はぁ…」 


これって恋愛小説で読んだアプローチってやつ?

小説を読んでいた時はドキドキしたけど、体験したら全くときめかない…

やっぱり相手次第?好意を持たない相手からのアプローチは迷惑しかないと知る。


「あの…私なんかより綺麗で身分の高い令嬢は沢山いらっしゃると思うんですが、何故私何ですか?淑女教育も受けてないし、そんなに身分も高いわけでもない」

「バンディス侯爵家は古くから忠誠心が厚く、”歪みの森”を守る信頼できる家柄だ。それ故に私の妃に遜色は無い。貴女は知らないだろうが私は何度も教会に通い貴女に会いに行ったのです。しかし侯爵とジン殿に阻まれお会い出来なかった。しかし遠くからお姿を拝見しお慕いしておりました」

「…」


誰か早く来てほしい…何度目になるか分からないくらい居た堪れない。


「私は平民の様に育ち不作法でございます。殿下の妃には相応しくございません。相応しい令嬢は沢山いらっしゃいます。お考え直しを…」


殿下の手を離し席を移動する。離れて改めて見るとやっぱりリアム様に似ている。もしかして兄弟?リアム様はもしかして陛下の落とし子?

ムッとした殿下は席を立ちまたこちらに来ようとする。『怖い怖い!早く誰か来て!』


“コンコン”

「失礼致します。お時間でございます」

「ちっ!」

『うゎ!王子が舌打ちしたよ!それより良かった〜』


やっと王太子の顔に戻った殿下は手を差し伸べてくる。恐る恐る手を差し出すとぎゅっと握られ、殿下エスコートで会場に移動します。移動中仕切りに話しかけて来る殿下の話は全く耳に入らない。

帰りたい気分でいっぱいの私。一際大きな扉の前に来た。そのまま入場と思いきや…


「ルイス王太子殿下、バンディス侯爵家ミーナ様のご入場にございます」

『嘘!こっそり入りたい〜!』


扉が開くと注目を浴びて意識してが飛び、何が何だか分からない!気がつくと陛下と王妃様の前に居る。


「本日は私のために舞踏会をお開きいただき、両陛下にお礼を申し上げます」

「半年後の成人の儀で妃決めがある。今宵は素晴らしい令嬢と交流を持ち妃を決めよ」



こうして陛下から一段下がった控えの席に案内され座らされる。隣には殿下が密着し座り逃げれない。周辺を見渡しなんとか隠れれそうな場所が無いから探す。


「あ…」

「どうかしましたか?」

「いえ…」


今こちらを見ていた男性は昨日教会でリアム様と一緒に居た男性だ。男性は私の視線に気づきウインクして庭に続く掃き出し窓の方へ歩いて行った。


『もしかしてリアム様の居場所を教えてくれた?』


リアム様は中庭の噴水に来たら匿ってくれると言っていた。あの男性が向かった先に噴水があるんだ。


「ミーナ嬢。我々のダンス番です。よろしいか?」

「あっはい」


ダンスフロアに視線をやると陛下と王妃様がファーストダンスを踊っている。次に王太子である殿下と…嫌だけど私の番だ。

少し強引なエスコートだがフロアに着き、殿下の手が腰に添えられると演奏が始まり踊り出す。

王子だけありリードが上手く下手っぴな私のステップは少しはマシに見える。


「ミーナ嬢…私を見てほしい」

「えっあっはい。すみません。ダンスは目線が大切だと講師も…」

「そうではなくて私自身を見てほしい」

「?」

「貴女は神が与えた私の伴侶だ。結ばれる運命なのです。成人の儀までの半年で逢瀬を重ねて愛を育みたい」


うわぁ…これって求婚プロポーズなの?

初めましてして数時間でとか無いわ!

私が神の啓示を受けた乙女だからでしょう⁉︎

そんなの願い下げだわ!


「神の啓示は昨日聞きました…私はまだ信じられないし、受け入れれていません。それに教会は私がこの国に留まればいいと言っています。分不相応な私が妃は無理でございます。相応しいお方をお選び下さいませ」

「いや。私の妃は貴女以外あり得ない。これは運命なのです。待ちますから受け入れて」


再度断ろうとしたら音楽が終わりダンスを終え挨拶する。殿下はハグをし会場からは響めきが起きる。


「殿下。娘はこれにて失礼致します」


振り向くと父様が立っていて手を差し伸べてくれ手を取り下がった。殿下はそのまま次の候補者とのダンスに向かった。


「よく頑張ったねミーナ」

「やっぱり求婚されたわ。キッパリ断ったけど…」

「大丈夫だ。お前が嫌なら断ればいい」


ザイラと母様がいる控席に行くと母様は頗る機嫌がいい。娘が殿下と一番に踊り優越感に浸っている様だ。ザイラは何故か機嫌が悪いし。


森に帰りたい…ナーシャに愚痴りたい…


果実水を飲み一息吐き、中庭の方に視線をやるとまたリアム様のお付きの男性がいる。

気になり席を立つタイミングを伺うと、母様は伯母さんが来て話だし父様は他の男性の元へ行った。ザイラ1人なら誤魔化せそうだ。

ザイラに手洗いとだと言い一人で会場を移動し中庭に出てきた。


噴水に来ると先程の男性が居て


「お待ちしておりました。リアム様があちらでお待ちでございます」


男性が指差す先を見たら建物の陰からリアム様が手を振っている。

足早に向かうとリアム様に手を引かれ中庭の奥に進んでいく。

まだリアム様と知り合ったばかりで、彼の素性もはっきりしない。でも何故か怖くも怪しいくも感じなかった。


「あの離れは誰も来ないから隠れれるよ」

「でも…」

「俺は怪しい?でも信じて!決して貴女を害さないし守るから」


多分今ここで叫べば近くを警邏している騎士が直ぐ駆けつけるだろう。でもリアム様とルイス殿下の関係が気になりリアム様について行く事にした。


中庭の奥にさほど大きく無い離れがあった。窓からは明かりがもれ暖かい印象だ。リアム様に手を引かれ中に入ると、王城にあると思えない質素なつくりだ。奥の部屋から初老の紳士がお茶を入れてきてくれた。何だかナーシャやディーンの家みたいで落ち着く。


お付きの男性と初老の男性は退室し、リアム様とふたりになる。部屋は舞踏会の会場とは違い淡いランプの灯りで気持ちが落ち着く。

目の前のリアム様と向き合うと無意識にルイス殿下と似ている所を探してしまう。

私がじっと見ているのに気付いたリアム様は苦笑いをして私の手を握り


「ミーナ嬢は本当に素直で愛らしい。顔に”ルイス殿下と俺の関係を知りたい”と書いてあるよ」

「そんな分かりやすいですか?」

「自分が能力者になった様に錯覚するよ」


そう言い楽しそうに笑うリアム様に何故か落ち着く私がいる。

お茶を一口飲んだらリアム様がルイス殿下の印象を聞いてくる。王道の王子だったと答えまた口説かれ困ったと話した。

こうなる事が分かっていたよ苦笑するリアム様。


「あの方は執着心が強く良くも悪くも真っ直ぐだ。だからもっとアプローチしてくるよ。ミーナ嬢は求婚を受ける気あるの?」

「無い無い!王子なんて堅苦しくて嫌」

「王子は嫌なんだ…」

「だって私が啓示を受けた乙女だから、国の為に娶りたいんでしょ!そんなの”愛”じゃ無いわ。私は身分関係なくちゃんと愛し合える方と夫婦になりたい」

「じゃぁ愛したのが王族だっら?」

「初めから王族と知っていたら対象外だよ」

「…」


何故か黙り込むリアム様。まだリアム様を信用していないから、家出の話はしないが半年後には私は平民予定である。王族どころか貴族とも縁は無いだろう。

リアム様は何か考えている様で暫く沈黙が続く。出された焼き菓子を美味しくいただいていたら、座り直したリアム様が


「ミーナ嬢は他国に行った事ありますか?」

「持病があり森と王都の教会以外行った事ないんですよ!あると思います?」

「私はロダンダに行った事ありますよ。それに住んでいた事もあります」

「ロダンダですか⁉︎」


なんてタイムリー何だろう。ここからロダンダの話を何故かしてくれるリアム様。本で読んだ内容より面白く前のめりになり聞いていたら


「ロダンダに行ってみたくありませんか?」

「はい!病気の治療が終わったら行きたい!」

「その時は私がご案内しましょう」

「約束ですよ」

「神に誓い…」


ディーンやナーシャ以外に協力者が出来た。根拠は無いが何故かリアム様は信用できそうな気がする。


「主…失礼いたします」

「っ!」


気がつくとあのお付きの男性がリアム様の後ろにいた。

『ニンジャ?ん?ニンジャって何?』


困惑しているうちにお付きの男性はリアム様に耳打ちし退室していった。


「もっとミーナ嬢と逢瀬を楽しみたいが、侯爵様と王太子が貴女が居ないと騒ぎ出した様だ。会場の近くまで送ります。王太子に絡まれなくなければ、体調不良だといい退城すればいい」

「はい。そうします」


こうしてリアム様に会場近くまで送ってもらった。


「ミーナ嬢…別れの挨拶をしていいだろうか⁈」

「はぃ?」


するとハグをして頬に口付けて去っていった。突然の事で唖然としていると騎士と一緒に父様が走って来た。


「ミーナ!どこに居たんだ!心配するだろう…その顔…」

「えっ?何?」


どうやらリアム様のハグちゅに赤面していて父様が慌てて出す。丁度いい!体調が悪いと嘘をついて先に帰りたいと父様に訴える。会場に戻るとルイス殿下が駆け寄り心配し、宮廷医の診察を受け王城に泊まるように言うが、気疲れしたのと治療なら教会で受けると言い断った。

父様は私の体調を理由に陛下から退城許可をもらって来てくれ無事に帰る事が出来た。


帰りの馬車の中で父様に聞いたが、殿下が最後まで帰るのを反対し大変だったそうだ。リアム様が言っていた様に殿下はしつこいのかもしれない。そこでふと思った…もしかしてリアム様のハグちゅは私が仮病を装う為にしてくれたのかもしれない。

家族以外の口付けは恥ずかしいが、リアム様に感謝してホテルに戻った。

お読みいただき、ありがとうございます。

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