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【未完停止中】彼女が騎士として生きるなら僕は賢者になってキミを守る  作者: 流成 玩斎
第一章 僕がまさかあの現象の対象になるなんて
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第十六話 チャレンジャー




「ホント。ちょっとおっさんとの距離考えよっかな……」




 ガンツが付き人時代に受けた師匠であるボニータの父親、〝アーヴェイン〟からの指導と言う名のシゴキに対しいつか仕返しをしようと企むが、本人に復讐が不可能と悟るやターゲットをその娘、ボニータへと変更。間接的な仕返しを実行していた事がガンツの幼馴染兼かつての上官であったダッヂ亭の女将シータにより露見した事で、被害者であるボニータを始め周囲から避難と冷たい視線を浴びてガンツは今意気消沈している。


 もちろんカナタも思わずガンツを非難する言葉を吐いてしまうが、

 周囲から冷たい視線を浴びるガンツに過去の自分を見ている様な気分になり、

 それ以上責める気にもなれなくなっていた。


「さて。ガンツも懲らしめた事だし、あたしは仕事に戻るかねえ」


 満足気な顔でダッヂ亭の女将シータはそう言うとボニータの頭にそっと手をあてた。


「こんな情けない奴を部下にして大変だろうけど、新入りのカナタちゃんも来た事だし頑張るんだよボニータちゃん」


「うん。ありがと。シータママ」


 ニッコリと笑みを返すボニータを見て安心した様子のシータが項垂れたままのガンツをチラリと見たが特に声をかける事もなくスルーし、次は隣に座るカナタを見つめる。


「カナタちゃんもまだ入ったばかりで大変だろうけど、ボニータちゃんをコイツから守ってやっておくれ」


「え。あ、その……はい」


 今までの話の経緯からしてこの街ではボニータの保護者的な立ち位置にいるであろうシータにボニータを頼むと言われ、実際には守ってもらう側であるカナタは困惑しながらも返事を返す。


「良い返事だねえ。好きだよ素直な子は」


 カナタの即答に満足したのか、片手をヒラヒラさせながら笑顔のシータがカナタたちの席から離れていった。


「ふぅ……」


 立て続けにダッヂ亭の女給やマスター。そしてこの店の要、女将のシータまでもが登場し、目まぐるしい状況の変化に若干疲れ気味のカナタが息をついた。


 周囲からガンツに冷たい視線や野次を飛ばしていた客達は、シータその場から立ち去ると同時にその興味を失い各々同席した者達との会話に戻っていく。


 酒場に集まる者達は酒の肴になる余興として騒いでいただけのようで追い討ちをかけるようにガンツを非難する事はなかったのが幸いだった。


 カナタ自身もこの件でこれ以上とやかく言う必要性もなく、隣でテーブルに伏しているガンツに対し何と声かけをして良いかも分からず、気まずい雰囲気を誤魔化すように温い水をチビりと飲んだ。


「師匠……今夜はもう宿舎に戻られては」


 居た堪れない空気を察してか、ガンツの従者であるベルタが師を気遣う言葉をかける。


「うっせ。俺は大丈夫だ。チビ弟子」


 そう弟子に乱暴な返事を返すとガンツは顔を上げ、すでに先程の事は気にしていないといった表情で黙ってエールを飲み干しそのジョッキをドンとテーブルに置く。


「シータめ。後で見てろよ……」


 そう呟くガンツの目は笑っていた。


「師匠……まさか!」


 師の態度に何かを感じ取ったのか、ベルタがガンツに問いかける。


「ククク。そのまさかだ」


 まるで何処かの悪人のようなやり取りをするガンツとベルタ。

 その二人のやり取りを傍で見ているカナタ。


「が、ガンツさん、何かするつもりですか?」


「ふん。俺はやられたらきっちりとやり返す性分でな」


 そう言ってガンツは肩慣らしを始める。


「や、やめましょうよ。せっかくの楽しい食事会なのに、暴れたりなんかしたら―――」


「ばーか。そんな事したら余計にシルビアちゃんに嫌われちまうだろが」


「―――お店に迷惑って……えっ、暴れるんじゃないんですか?」


 てっきり店で暴れる事でダッヂ亭に迷惑かけて仕返しするものだと思っていたカナタは、ガンツの意外な返答に肩透かしを食らう。


「ここは()()()()()()()()()()だぞ?そんな事しなくても俺はきっちりやり返せるんだよ。ガキ」


「へ?」


 ガンツの真意が読めず、カナタは思わず気の抜けた声をあげてしまう。


「まあ黙ってお前らもどんどん飲み食いしてろって」


「は、はあ……」


 ガンツが何を企んでいるのか測りかねないカナタは、ベルタやボニータの方を見るがベルタはそ知らぬ態度で追加で来た料理を皿によそっている。そしてボニータもガンツに対しては当分無視を決め込むようだ。


 若干の不安は残るもののガンツが暴れないと言うのであれば問題はないだろうと、カナタも一旦はこの件を保留とし、とりあえずは目の前に置かれた料理を楽しむ事に意識を向けることにした。




 ※  ※  ※  ※  ※  ※




 カナタ達がダッヂ亭で過ごした時間は目の前の皿の量が物語っていた。

 テーブルには何度となく料理が並んでは四人の胃袋に消え、

 それに追いつかない程に大小様々な皿が入れ替わっていく。


 すでに満腹状態になっていたカナタに、

 あれやこれやと追加注文しては新たな料理を薦めるガンツ。


「も、もう食べられないですよっ! お腹一杯ですって……」


「バカヤロー! もっと食わねーと仕返しにならねーじゃねーかよっ!」


「えっ?」


 あれから話題にも出ずガンツがとっくに諦めたものと思いこんでいたカナタ。

 今またガンツの口から仕返しと言うワードが出た事に不穏な空気を感じる。


「ま、まさか食い逃げとか?」


「ボケっ! 騎士団がそんな事できるかよっ!」


「いったい貴殿は師匠の事をなんだと思ってるんですか」


 想像力の乏し故、思いつく方法がそれしか思い浮かばなかったカナタがそれを口にすると、流石に騎士団としての面子があるのか慌ててガンツが否定し、その上弟子のベルタまでもが抗議して来る。


「どうせ()()()()()()()で勝とうって魂胆でしょ」


 ガンツの最低な行為を知ってから一切のコミュニケーションを絶っていたボニータが呆れた顔で口を挟んだ。


「チャレンジャー?」


 ボニータの言うチャレンジャーの意味が分からないカナタがそれを尋ねようとした時、


「そろそろ誰かが始める頃よ」


 カナタの問いかけに答える事もなくボニータが何かの始まりを告げる。



 その予感が的中したのか、ボニータの後ろに並ぶテーブル2席のうち、一番奥の席に居た集団から一人の男がおもむろに立ち上がった。


 見るからに強者の風格を纏ったその男は、ダッヂ亭のマスターであるマフィタに比べれば若干の見劣りはするものの十分に巨漢であり、まさに()()()()()とでも呼ぶべき様相だ。

 

 そのオーガ2号が右手の拳を高々と上げ、大きく深呼吸をした。




「チィィィィィヤァァァァァァレェェェェェンジィィィィィィィ!!!!」




 外にまで筒抜けるほどの猛々しい叫び声が店内を貫くと共に周りからは拍手と喝采が湧き、驚いたカナタは思わず耳を塞いだ。


 歓声は尚も続き、酒に酔った客達はそのオーガ2号を口笛で賞賛し、手に持ったジョッキを一斉に同じリズムでテーブルに叩きつけた。

 どこからともなく店内に散っていた吟遊詩人が数名集まり同じ楽曲を奏で始めると、それぞれのテーブルにいた客たちは言語は違えど、同様の意味を持つ言葉で曲に合わせて歌い始める。


「えっ? な、なにが……」


 ただ一人状況を飲み込めないカナタだけがこの異常な盛り上がりを理解出来ずに困惑し、周りをキョロキョロと見渡している。


「カナタくん。これがこの酒場を〝挑戦者たちのダッヂ亭〟と呼ぶ所以(ゆえん)よ!」


 大歓声の中、未だ理解しかねているカナタに先程の問いに答えるかのようにボニータが熱く語る。


「ダッヂ亭の……所以」


 ボニータの言葉の意味をなんとか理解をしようと頭を巡らせたカナタがそれを口にした時、


「お、お客……さん、様……か……お、お代は……そ、それで、よ、宜しいで……すか」


 厨房の奥から、これまた同じくオーガを思わせる体格をした、〝挑戦者たちのダッヂ亭〟マスターであるマフィタが現れ。訥々とした話し口調は変わらずに客席から睨みを効かせるオーガ2号へと丁寧な言葉で会計を求めた。


「ああそうともよ! マフィタァァ! 今回こそはオマエをぶっ倒すぜ!!」


 両腕を振り上げて威嚇のポーズをするオーガ2号が、マフィタに対して戦線布告をする。


 相対するマフィタは至って冷静で猫のアップリケの付いたエプロンをゆっくり外すと、隣に立っているダッヂ亭女将であるシータにそれを渡した。


「そ、そう言う……事で、すの……で、し、シータさんは……じ、準備を……」


「あいよ。はあ……毎度のことなんだけど、ホント! 男共は勝負事が好きだねぇ」


 呆れ顔で旦那のエプロンを受け取ったシータはため息混じりに大歓声を上げ続ける客達に悪態をつき、女給達に目配せをして何かの準備を促す。


 「えっ、ちょっと、何が始まるんですか? こ、ここ酒場ですよね?お酒飲んだり、ご飯食べるとこですよね? ボニータさんっ!」


 酒場には喧嘩が付き物とは言え理由もなく始まる事はありえないとばかりにカナタがボニータに詰め寄る。


「今から始まるから、カナタくんも一緒に見にいこ!」


「えっ、ちょっ……」


 シータに指示された女給たちはホールの中央へと趣き、すでにこれから始まる何かを知っている客たちは素直に自分たちの席から離れる。そして周辺にあるいくつかのテーブルが次々と片づけられるとそこは会場となり、その中央には一台の頑丈な立ち飲み用テーブルが用意された。


「女将さーん。準備完了でーす」


 準備にあたっていたシルビアが厨房付近に立つシータ達にセッティングの完了を知らせる。


「はいご苦労さん。じゃあーあんた、頑張って行っといで」


 そう言ってシータは隣に立つ夫の腰辺りを目一杯に叩いて送り出す。


 女房に喝を入れられた、〝挑戦者たちのダッヂ亭〟マスターのマフィタが、ゆっくりとホール中央へと進む。既に相手は立ち飲み用テーブルの前でマフィタの到着を不敵な顔で待ち構えていた。


「やれーっ! やっちまえー!!」


「マフィタ! 今回も蹴散らしちまえ!」


「次は俺らもやるか!」


 マフィタがホール中央に向かう花道の途中、常連客からの声援が飛び交うが口下手なせいもあり、その期待に応える事もなく無言のまま進んで行く。


「マフィタさんすごい人気ですね」


「シータママの旦那様だもん。当たり前よ」


 沸き立つ見物人たちの間を潜り抜けたカナタとボニータは中央に近い場所にはたどり着けなかったものの、遠目からでも十分に中央会場が窺える場所を確保出来たようだ。


 「あはは。そ、そうですね」


 ボニータのシータ贔屓に苦笑しながらもその意見に同意していた時、ようやく花道を通り終えたマフィタが、ホール中央に設置されたテーブルの前に立つ。


「相変わらずトロくさい動きだなマフィタ! 中々こっちに来ねーからあやうく寝ちまうとこだったぜ。フハハハ!」


 挑戦的な態度を見せるオーガ2号と、それに構う事なくテーブルの具合を入念にチェックするマフィタ。


「ん。だ、大丈夫……」


 テーブルをチェックし終えたマフィタが傍に立つシルビアを見て頷く。


「では只今より挑戦者達のダッヂ亭名物。チャレンジャーをはじめま~す」


 女給のシルビアがチャレンジャーの開催を宣言すると、一斉に周囲から怒号に近い歓声が上がる。


「シルビアさんがあそこにいるって事は、審判とか?」


 並び立つ屈強な男二人が向かい合う危険な場所にいるシルビアを見つけたカナタは、これが殴り合いなどの勝負ではなく何かの競技だと推測した。


「では、お二人とも位置に」


 シルビアの呼びかけと共に二人のオーガ達がテーブルで向かい合うと片方の肘を卓上に付け、もう一方の手はしっかりと台の隅を掴んだ姿勢をとる。


「あれって……もしかして腕相撲!?」


 以前テレビで観た記憶があった腕相撲大会と同じようにスターティングポーズを取る二人を見て思わずカナタが口にする。


「ズモウ?」


 聞き慣れない言葉だったのか横に居たボニータが不思議そうな顔で聞き返す。


「あ、いや、こっちの話です。あのボニータさん。あれってなんの競技なんですか?」


「ああ。あれがさっき言ってたチャレンジャーよ」


「え、えっと、他に呼び名とかは……」


「ないわ。腕力だけでマフィタさんに挑戦するからいつの間にかそんな名前で呼ばれたみたい」


「そ、そうですか」

 

 カナタの居た世界とは違いレスリングや相撲など公的な競技などが存在しないこの異世界では、あれをアームレスリングや腕相撲などとは呼んでいないようだ。


「うん。だからこの店に()()()って呼び名が付いてるんだよ」


「で、なんでいきなりそのチャレンジャーが、始まったんですか?」


「しぃーっ。始まるよ、カナタくん」


 カナタはいきなり腕相撲が始まった理由を尋ねようとしたが、丁度試合が始まりそうになった為ボニータに試合を見るよう促される。


「勝利条件は、いつもと同じでどちらかが先に3回勝利するか、相手の戦意が喪失した場合となりま~す」


 シルビアが勝負の勝利条件を説明する隣では、挑戦者であるオーガ2号がその言葉に耳を傾ける事はなくただ目の前のマフィタを睨み、威嚇していた。


「そして挑戦者の方が勝利すれば、今夜()()()()()()()()()()()()()()()の飲食代はすべて無料。タダになりまーす」


 シルビアのタダと言う言葉に沈黙していた観客が再び騒ぐ。


「たーだーしぃ」


 その怒号の中シルビアがルール説明を続行すると、示し合わせたかの様に再び客たちは沈黙した。


「一度でも負けた場合には挑戦者の方々のみ、今日のお代は……倍になっちゃいま~す」


 今度は観客からのブーイングが飛び交う。倍の料金を支払うの事に納得がいかないのだろう。まだ決着がついていないにも関わらず周囲の反応は何故か否定的だ。


「このお店にはあまり裕福じゃないお客さんも多いからチャンスを与えるって意味で代金を払う時にチャレンジャーか、普通に支払うかを自由に選ばせてくれるのよ」


「へえ。それってすごく良心的な感じですね」


 隣に立つボニータが理由もなく勝負だけで全員の代金を無料にするというダッヂ亭の意向をカナタに説明する。


「ちなみに勝負する人数はお客様のお連れの方であればどなたでも結構です。同じ方が3勝されても、交代で勝たれても可能でーす」


「それとそれぞれの勝負には引き分けはありません。勝敗が付くまでそのまま続行です。以上で説明を終わりまーす」


 あらかたのルール説明が終わると再び沈黙が訪れ二人のオーガも無言で向かい合う。


 そしてテーブルの中央で手を組み合うと、周りの観客が息を飲む音だけが聞こえる程の静寂が辺りを包んでいく。


 挑戦者であるオーガ2号も最初の軽口は鳴りを潜め、緊張感した面持ちでマフィタを見つめる。


 サングラスと言うこともあり、その表情を読み取ることが出来ないマフィタは普段と同じ沈黙を貫いている。



「……」



 ゴクリとカナタの喉が鳴る。



「それでは……はじめっ!!」



 鋭い目つき見せるシルビアの合図と共に両者の組んだ手に力が入り、そこから均衡した力の軋む音が弾け、店内に響き渡る。


 その音を追う様に、観客の喉から興奮の吐息が漏れ出ていき、やがては怒号へと変わる。


「ぐうっ……ど、どうだぁぁぁぁ!!!」


「……」


 テーブルという舞台の上で互いに向き合う二人。オーガ2号の額には無数の汗が玉のように浮かび上がり歯軋りと共に目前のマフィタに対し挑発する。


 一方、サングラスの闇に潜むマフィタの視線に動きは無くただ沈黙を貫いたままで、重なり合う互いの拳の先を眺めていた。


 歓声の中、最初に組んだ位置から目立った動きは無かったが、やがてそれは徐々に変化していく。


「ぐっ!ぐぎっ……ぎぎぎぃぃ……」


 頑丈なはずのテーブルはミシミシと唸りを上げ、オーガ2号の爪が掴んだテーブルにめり込む。

 

 目の前で組まれた拳が傾くに連れてお互いの顔が窺える程になって行くと、先程まで挑発的だったオーガ2号の表情から余裕という二文字が消える。


「ぐはっ!!」


 最後の力が潰えたのか、肺に残った酸素を絞り出す様に敗北の息が漏れた時、オーガ2号の太い腕はその舞台へと落ちていった。


 勝敗が決した事は観客の雄叫びが証明している。舞台から項垂(うなだ)れ落ちる敗者に興味を向ける者は誰一人としておらず、全ての賞賛がそこに立つマフィタへと注がれる。


 時間にしてほんの数十秒。


 全ての瞳は二人の猛者の拳に集中していた。


 そのしっかりと組まれたはずの拳はメトロノームの様に左右に揺れる事は無く、圧倒的な力で決められた方向のみラインを描く。


 観客はそれを望んでいた。


 いや、知っていた。


 その結果を。


 その道しるべを。


 確定した勝利を観客は期待し、その瞬間に酔いしれたいだけなのだ。


 例えそれが自分達にとって不利な結果だとしてもだ。


 だが、観客は同じルートを辿る事が決定つけられた次の勝負も期待する。


 マフィタの圧倒的勝利を目にしたいがために。


「あららー早速負けちゃいましたねぇ。残念でしたが次の勝負を――」


「うるせぇぇぇ!!」


 敗者にかける言葉にしてはなんの慈悲もないが、シルビアが事務的に語り掛けると共に、まだ一度目とは言え圧倒的な負け方をした男が咆哮した。


「キャッ!」


 オーガ2号は、売れ入れ難い敗北の放棄をするかの様に、シルビアを自身の腕の中に拘束し腰の辺りに潜めていたナイフを彼女の首元へ突きつける。


「マァァァァァフィィィタアアア……マフィィタアアアア!!!!」


 それは勝負に負けた事による憤りではない、何か私怨のようなものが感じられる叫びだった。


「シルビアさんっ!」


 オーガ2号が叫ぶと同じくしてカナタもシルビアの危機を前に声を上げた。

 そして、その隣に立つボニータの気配の変化を感じ振り向く。


「――!」


 そこには、先程までの笑みを浮かべていたボニータではない、フードの下に見え隠れする厳しく、赤い炎を宿したかのような瞳をたぎらせた王国騎士団の隊長が立っていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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作者のモチベが爆上がりし明日も頑張ろうって気になります。

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