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ここ何処だ?

作者: jオオヤケ

暇つぶしに読んで頂けたら幸いです。

 

『暗い』・『静か』・『埃ぽい匂い』・『冷たい』・『濡れてる』


 アレ?ボクは何処に居るんだろう?


 何処?ここは何処だっけ?


 んーと、んーと、ダメだ思い出せない。


 そうだ!何をしていたかを思い出せばいいんだ!


 確か学校でプールに入って、その後プールに来てたクラスのメンバーで遊んでたんだぁ!


 そうだそうだ、ここは学校の……何処だっけ…?


 にしても暗いし静かだ。近くには誰も居ないのかなぁ?


 そうだ名前を呼んでみよう! 誰か近くにいるかもしれないし!


 ボクは口元に手を当てて一緒に遊んでいた筈のクラスメイトの名前を呼んだみた。


「しょうちゃん! やまちゃん! たかくん! よしくん! りっちょん!」


 一緒に遊んでたいたはずの5人の名前を暗い中で呼んでみたがその場は依然としてボクの声の他は静かなままであった。


 ボクは呼んだ方向が悪いのではと思い暗い中で背後に身体を振り返り、再び5人の名前を呼んでみた。


「しょうちゃん! やまちゃん! たかくん! よしくん! りっちょん!」


 今度は一人ずつ長めに名前を呼んでみたが、何と返答も音もしなかった。


 何処に行っちゃったんだろ? やっぱり、ここが何処を思い出さないと。


 確か校庭で鬼ごっこして、それから……んーと、何でここから先が思い出せないんだろ?


 ボクのおじいちゃんならともかく、まだ×歳のボクが少し前の事を思い出せないなんておかしくないかなぁ?


 考えて考えてどれくらい時間が経ったであろ、もの凄く長い間考えていた様なまだ数分しか考えていない様な。


 暗い周りを見渡しても時計なんかあるはずもなく、いったいここは何処何だろう?


 あっ!


 ふと思い出した!


 鬼ごっこの後確か()()()()()をしていたんだ!


 つまり、ここはかくれんぼでボクが隠れた何処って訳できっと隠れているうちに寝てしまったんだろう。


 そしてまたまた思い出したぞ! ボクはあの時、確か体育館の倉庫にある床下収納に隠れたんだった!


 って事は確かここら辺に下に降りる為の梯子があったはず。


 暗い中を手探りで探したボクはやっと梯子を見つけ、そのまま梯子を上に登ってみた。そして開くはずの床板部分を上に押した。


 しかし…


 あれ? 重い? もしかして上に何か乗ってるのかもしれない。 こまったな、これじゃこどものボクの力じゃどうにもできない。


 ボクが途方に暮れていたその時…


 あれ、足音が聞こえる! やったー! 誰か気づいて来てくれたんだ!


 ボクは遊んでいたクラスメイトの誰かが来てくれたんだと胸を躍らせていた。


 でも、足音が複数あるのが暗い中でも分かった。


 きっと1人じゃ上に乗っている何かが動かせられないから、先に見つかったクラスメイト皆んなで来たんだろうと思っていたら、ようやく上の物が避けられたらしく、床板が開き暗かったその空間に光が差し込まれた。


 やっと()()()()()()()


 けれど、開かれた床板から顔を覗かせていたのはクラスメイトの皆んなではなく、知らない大人の顔であった。


 あれ? おじさん誰?


 ボクが訪ねるもその言葉に対して返答はなく、けれどおじさんの口元が動いているのは分かったけど、声が聞き取れない。


 おじさんの周りには他にも誰か居るみたいでおじさんが慌てる様な表情を浮かべながら何か叫んでる様に見えるけど、やっぱり声が聞き取れない。


 何をしているんだろ? 早くそこを退いてくれないかな、ボクは上に上がりたいのにと思いますおじさんに再び声をかけるも、おじさんはまるで何も聞こえてないかの様に振る舞っている。


 そして、おじさんはボクが梯子に居るのに下に降りようとして来たから、仕方なくボクは下に降りる事にした。


 何やってるんだよ!


 ボクはおじさんが何をしたいのか分からなかったけど、次の瞬間にボクは度肝を抜かれる光景を目の当たりにする。


 おじさんがその場に屈んだと思うと次の瞬間には、おじさんに抱き抱えられているボク自身の姿がそこにはあったのだ!


 抱き抱えられたボクの額から赤々とした液体がポタポタと額を伝って床に垂れていた。


 それは紛れもなくボクの血であった。最初にボクが感じた『濡れてる』の正体はボクの血であった。


 そしてボクは、気がつく前の事を思い出した。


 ()()()、かくれんぼをしててこの床下収納に隠れようとした時、大きな地震があったのだ。ちょうど上から中を覗き込んでいる時に揺れが起こって、ボクはそのまま床下収納に落ちてしまい何かに頭をぶつけてそのまま意識が遠退いしまったんだ。


 そしてボクはおじさんの表情を見て、ボクがどうなったのかを察した。


 そっか、ボクは()()()()()()()()


 きっと、落ちた時の打ち所が悪かったのと発見されるのが遅かったんだろう。


 受け入れたくないけど、事実は変わらない…


 あれ? また意識が遠退いていく… そっか、お迎えが来たんだ…


 消えゆく意識なのか、はたまた魂の残滓なのか何なのかは今のボクには分からないけど、最後に思ったのは…


『見つけてくれてありがとう』


 そして、ボクの何かは消えた……

最後まで読んで頂いただきありがとうございます。

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