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第14話 夢魔ちゃんは最強の恋のおまじない「アインス、ツヴァイ、ドライ」にメロメロです。

あるての法力によって250年振りに巡り逢えた2人。


レナは「私達の事は気にせず二人の時間を大切にして下さい」と言いその場を去り、あるても一緒にその場を後にした。

部屋の中に抱き合う二人、私とハムレットだ。

今私はハムレットの胸の中にいる。

ハムレットの私を抱きしめる腕が強くなるのがわかる

その温もりを感じながら私もハムレットを抱き返す。


「ハムレット、会いたかったわ…ずっと…ずっと…。貴方の事忘れた日は一日たりとも無かった…」


「カーマイン…」


会えなかった250年と言う時は長すぎて、言葉よりも抱き合って、その肌の温もりを先に確かめ合った。


「良かった、この腕の中からカーマインが逃げなくて…。アインス…ツヴァイ…ドライ…って覚えてるかい?」


「一、ニ、三、ね。子供の頃にやっていた護身術ごっこ…後ろから抱き付かれて捕まった時とかの…。」


「そうさ、(アインス)…両腕を外側に力入れて、(ツヴァイ)…その力を抜き身体を細めてしゃがみ、(ドライ)…そして逃げる。俺はやっと逢えたカーマインが逃げていきそうで怖いんだ。」


「私は何処にも逃げないわ…私こそ貴方が逃げないようにしっかりと捕まえておかなくちゃ…」


私もハムレットを強く抱きしめると、その250年ぶりの温もりを肌で感じ、そしてその抱擁が私の心を安心させる。


「話したい事…沢山あった筈なのに…突然で、びっくりして、何を話したら良いか分からないわ…。ねぇハムレット、あなたの事聞かせてよ。貴方の250年を、知りたいわ…。」


二人はそっと離れると、布団の上に座る。

私はハムレットに少し身体を預ける様にすると、ハムレットは話し始めた。


「そうだな、250年精霊世界に居たわけだけど、平和だったよ。俺の肉体は再生不可能だったから魂を霊木に移植されちゃったけと、のどかで平和だった。」


「家族みたいな皆と一緒に暮らしていたんだ。ちょっと強引で姉みたいなあるて様、なんか心配で気のおけない妹みたいなひい、抹茶はもう親友であり悪友であり、もう弟の様な、でも兄でもある存在だったかなぁ。」


「俺がそんな身体になったのはドラキュラの呪いのせいなんだけど、人狼(ワーウルフ)として村を襲い、抹茶を人狼(おれ)の凶爪にかけ、抹茶の身体をあんなにしたのは俺なんだ。でも、抹茶は俺を許してくれた。彼のおかげで、呪いに支配され闇の…負の感情に苛まされる心を優しく溶かされていったんだ。俺は抹茶に救われたんだな。そんな抹茶だったから俺は抹茶にレナと会わせてやりたくて、抹茶を助ける為に自らを犠牲にしたのかも知れないね。俺も…恋人と会えない辛さはもの凄く良く解ってたから…。」


と言うと、ハムレットは私の()を見つめて来た。

私も恋人と会えない辛さは良く解っていた。その恋人が今、目の前にいる…私が欲してやまなかったハムレットが…。


私はハムレットの首に手を回すとその唇に唇を重ねると、ハムレットは手を私の太股に伸ばし、内股に忍ばせて来た。


「ち、ちょっとハムレット…」


私はハムレットの手を制するように身体を起こした。


「その先はだめよ、ハムレット…その身体は今はハムレットでも抹茶さんなのよ、そして抹茶さんの身体はレナさんの物…。たとえレナさんが良いと言っても私達がそういう事、する訳にはいかないわ。」


「そうだな…そうだよな…。」


私もそれは解っているのだけど、本当は今この場で全てをハムレットに委ねてしまいたかった。今を逃せば二度と会うことは出来なくなってしまう…。


ハムレットも同じなのであろう。

心では理解しているのではあるけれど、身体は目の前の私を欲している。

だって…目が私の胸欲しそうにHな視線を送り続けているもの…。


…………

…………………………そうね。

私も少し自分に素直になろう…でも、レナさんを裏切ら無い程度に…






「ハムレット、私の()を見て…」


ハムレットは私の瞳を見つめると、魅入られたように目を逸らすことが出来なくなっていた。


「身体が熱くてたまらないでしょう?でもその続きは残念だけどしてあげられないわ。身体が抹茶さんに戻った後で、抹茶さんがレナさんに鎮めて貰うのね。」


「えっ…そんな…」


「私は夢魔よ、ハムレット…貴方に呪いをかけたわ。」


「呪い…?」


「そう…呪いよ。私が欲しくて堪らなくなる呪い…今その身体を鎮められても魂までは鎮められない、魂の奥底で私を欲しくて堪らなくなるなるわ。それを鎮められるのは私だけ。ハムレット、私が欲しければ生まれ変わった来世で必ず私に会いに来て…この続きはその時よ。250年後で待ってるわ!」


嘘だ…私はハムレットに呪いなんてかけてない。ただ、ハムレットが自由意志で私に会いに来てくれる様に、淫気でその気にさせて私の存在を本能の記憶に強く刷り込んだだけ…。

物凄くひどい事をしているのかも知れない…、最後にちゃんと抱かれたほうが良かったのかな?でもそれだと本当にハムレットと終わってしまう気がしたんだ…。


「カーマイン、呪いなんて嘘だろう?俺たちは呪いに散々苦しめられて来たから間違っても呪いなんて使う筈が無い。でもさ、この世とのお別れの直前にもう二度と会えないかも知れない彼女からその気にさせられた挙句おあずけを喰らわされたんだ、カーマイン、君の事は俺の執念に深く刻まれたさ。必ず会い行く、そしてその時はこの続きだな。」


「やっぱりハムレットには敵わないな、全てお見通しね。」


その時、ハムレットの身体がぶれ出す。

2つの残像が重なりハムレットから抹茶さんへ戻り始めて来たのだ。


「カーマイン、そろそろお別れの時らしいな。」


「そうね、一時のお別れよ。250年後で待ってるわ。でも私は来世のハムレットが判らないから…アインス、ツヴァイ、ドライって声を掛けてね、2人の合言葉よ。」


「解った。その時はカーマインを絶対に逃さないさ。」


もし私の事覚えていてくれて会いに来てくれたら貴方の勝ちよ、その時は…私は絶対に逃げないわ


ぶれているその身体は、少し白く輝きながらハムレットと抹茶さんの残像が重なる様に1つになって行く。

そしてその光が完全に落ち着く頃には抹茶さんに戻っていた。










「どうやら元に戻ったみたいだね。まいまいさん、ハムとは色々話せまし…たァ!?」


元に戻った抹茶さんは私を見ると変な声を上げて固まった。


「ま…まいまいさん!服っ!うわっ、俺もなんて格好を!」


私はさっきまでハムレットとあんな事してたから、当然二人共衣服が乱れていたのだ。

抹茶さんの言葉でその事を思い出すと、私は慌ててしゃがみ込み、掛け布団で身体を隠すようにした。

抹茶さんもなるべく私を見ないようにしながら、転がる自分の服を無造作に掴もうとして転びながら、慌てて部屋の外に出ようとする。


私は慌てて乱れた衣服を取り敢えず正すと、


「あの、気を遣わせてしまってごめんなさい。」


とだけ何とか伝える事ができた。








私は誰もいなくなった部屋で布団の真ん中に座り、ハムレットの余韻を感じている。


「少しだけの短い時間だったけど、250年ぶりのぬくもりは温かかったな。」



なにか心に痞えていたものが取れた気がする。ハムレットは250年後、来世で私を迎えに来てくれるのだろうか?


「未来に帰ろうかな。」


私は何となく気持ちの整理が付いた気がして、その場から立ち上がり部屋を出る。


階段を降りてリビングに行くと、そこにはあるてが一人で茶を飲んでいた。


「抹茶ならレナを連れて部屋を出ていったぞ。」


聞いても無いのにあるてはそう答えた。

まぁ、ある程度は察しているのだろう。


「まいまい、ハムとは色々と話せたみたいだな。」


「ま、そうね。」


「穏やかな顔をしているからな。心の曇りが晴れたのだろう。そろそろ未来に帰るか、私の目的も果たせたし、まいまいも未来に用事が出来たから帰りたそうだしな。」


こういう時のあるてはやたらと勘がいい。…と言うかなんか良すぎる様な?


「あるて…ひょっとして…聞いてた?」


「聞かなくても大体わかるさ。だってハムが抹茶に戻ったらレナと一緒に2階にいるんだ。何をしてるかは音で解るだろう?」


と、天井を見るとキシッ…キシッ…キシッ…と音を立てている。


「まぁ普通は客人のいる前ではそんなことしないし、しかも抹茶がそんなことするなんておかしい。つまりそういう状態にさせられたんだ。まいまい、夢魔の能力でハムに淫気使っただろう?その上でハムとは何もしていないから今の抹茶がある訳だな。」


ぎくっ…


「ではどうしてわざわざ淫気で臨戦状態にしたハムと何もしなかったのか、それは来世で逢いましょう?とか言ったのではないか?正確には魂に暗示をかけて虜にしたんだ。来世、つまりは250年後の世界で巡り合う約束と言うか、そういう算段をつけた訳だが…そんな訳でまいまいは未来に用事が出来た事になるが…間違っているかな?」


あるてはクククと笑いながらこちらを見ている。


「まぁ、細かい部分はともかく大雑把には合ってはいるかもね…(全て当たっているわよ!細かい部分も全て!なんで全て聞いていたみたいに分かるのよっ!)」


「ん?」


あるてが不意に天井を見上げる。


「抹茶、今から5回目だそうだ。まいまいの淫気も強力だな。」


「なんでリアルタイムで回数までわかるのよ…。」


「今レナがそう言ったのが聞こえたからな。」


やっぱり聞いてたんじゃない!私の事も絶対に聞いてたよね?


「そりゃ妖怪は人間よりもた多少耳が良いからな気にしなくても聞こえてしまう事もあるさ。」


いや、あるては絶対に聞き耳立てて聞こうとしていた!


「あるて!」


「…………ごめん。」


「謝るな〜っ!」




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