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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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朝ごはん・そしてチェックアウト

朝早くに目が覚める。

この和室は窓が大きく、障子で囲われているのみなので朝日に照らされて眩しい。

障子を開けて外を見ると、朝日に照らされた池と緑が美しい。

あぁ、よく寝た。

そして、リビングに行くと・・・

・・・明らかに不機嫌な瀬戸さんがいた。


「私・・女性としての魅力がないんでしょうか・・・?」

思いっきり、率直に聞いてくる。

いやそういうわけではないんですけどね。

年齢差もあるのでそういう気にならないってだけなので・・・

「いや、親御さんにも知られているので別々に寝たほうが良いと思いますよ・・」

苦しい言いわけなのはわかっている。

「でも・・期待していたのに・・・」

小さい声だけど聞こえてるからね・・

瀬戸さんの頭をなでながら、なんとかごまかそうと言ってみる。

「ごめんなさい。でも瀬戸さんのことを思ってのことだからね。」

すると顔を赤くした瀬戸さんが・・

「わかりました。今日は我慢します。」

なにを我慢するんでしょうね・・・

「さぁ、朝ごはんに行く準備をしましょう。ここの朝ごはんは食べる価値ありですよ。」

「はい!」

ーーーー

朝ごはんも、昨日と同じレストラン。

だけれども、和食である。


案内されたのはテラス席。

爽やかな朝の風を感じられる席である。

日光はパラソルが遮ってくれるので、高原の涼しが程よく感じられ快適である。

テーブルにつくと、大きなワゴンをスタッフの方が押してきてくれる。


「おはようございます。サラダの野菜をこちらからお選びいただけます。またドリンクもお選びいただけます。にんじんジュース・小松菜のジュース。高原のとれたてのミルク・豆乳・オレンジジュース・グレープフルーツジュース・トマトジュース。あとはお好みでシャンパンもご用意しております。」

「瀬戸さんはどれにします?」

「朝からシャンパンはどうも・・・にんじんジュースをいただけますか?」

ちなみに、周りの客は意外とシャンパンを飲んでいる。もちろん私は朝にシャンパンを飲んだことはない。

スタッフの方が、料理を持ってきてくれる。

お重と椀物、そしておひつ。

「こちらのご飯はお釜でたいた炊きたてのご飯になります。こちらの卵は地元の養鶏場から採れたてを用意いたしました。卵かけご飯にする場合はこちらのごま油を一滴垂らすとより美味しくいただけます。」

そうなのだ、ここの朝ごはんの売りは卵かけご飯。

絶品である。

「ここの卵かけご飯は美味しいですよ、ぜひ試してみたください。」

「はい、ぜひいただきます。」

炊き上げたばかりのご飯に、地元で取れたばかりの卵。

ほんとに美味しい。

他の料理も、本当に美味しい。酒の西京焼き・サラダ・卵焼き・佃煮・味噌汁などなど・・・

ここの朝食は最高である。

「おいしいです・・・今まで食べた朝食で一番おいしいです。」

問題なのは食べすぎることかな・・・

お昼ごはんがいつも食べられないほど、朝ごはんで満足してしまう。


食後の黒豆茶を飲みながら、このあとのことを相談する。

「このあと、チェックアウトしたらココファームに行こうと思うんですけどいいですか?」

「はい、昨日飲んだワインも美味しかったのでぜひ行ってみたいです。」

美味しいご飯で、期限が治ったらしい瀬戸さん。

「じゃあ、部屋に戻って支度したら行きましょうか。」

「はい!」

その後も、お茶を飲みながらゆっくりと会話する。

さて、ではお土産屋さんによったあとにワイナリーに向かいましょう。



ただし、その前にチェックアウトがあるんだけどね。

ーーーー

(瀬戸さん視点)

準備を済まして、レセプションに向かいました。

本当に素晴らしいホテルでした。

まるで、お姫様になった気分にさせてもらいました。

あまりに素敵で・・・いつもでも泊まっていたいと思うホテルです。

チェックアウトするのが残念。

また来たいなあ・・・





レセプションに来て、早乙女さんが支配人さんと話します。

「チェックアウトをお願いします。いつもながら素晴らしい宿泊でした。ありがとうございます。」

「光栄でございます。こちらにてお待ちください。今計算してまいります。」

ソファに案内されて座ります。

ハーブティをすぐに出していただきました。



計算・・・



その時、ようやく思い出しました。

そういえば割り勘・・・って話でしたよね。

スウィートルームなんて、今だかつて泊まったことありません。一体いくらなんでしょう?

だんだん背筋が寒くなってきた私に、早乙女さんが声をかけてきます。

「どうしました?顔色が悪いようですけど。」

「いえ、何でもありません。」

なんとか作り笑いでごまかします。

「お待たせいたしました。明細はこちらになります。」

支配人さんが請求書らしいものを持ってきました。

見る暇もなく、早乙女さんが答えてしまいます。

「こちらのカードでお願いいたします。」

「了解いたしました、少々お待ちください。」

流れるような対応・・・慣れているってすごいですよね。


支配人さんが再度持ってきた”領収済”と印が押されてきた請求書。ちらっと見えた金額。


私がこの間もらったボーナスがなくなる金額。

お姫様になるのって・・・大変なんですね・・

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