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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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水庭

スタッフの方に案内されて、フロントがある建物を出ていく。

歩いていく先には、緑の木々の間に点在する建物。

コテージ・・というには石造りの立派なもの。

そのうちの一つに案内された。

扉を開けて、中に案内される。


まず入ったのは、広々とした部屋。

ソファがありくつろげるリビングだ。

何畳あるんだろう・・ものすごく広い。

「お荷物はこちらに置かせていただきますね。」

「ありがとうございます。」

「何かお部屋でわからないことはありませんでしょうか?」

「大丈夫です。ありがとうございます。」

「それでは、何かありましたらフロントまでご連絡ください。」

「はい、ありがとうございます。」


私はソファに座る。

根も前のテーブルに置いてあるものに目を見張る。


リビングに早乙女さんも入ってきた。

「早乙女さん・・・これって・・・」

テーブルの上にあるものを指さす。

早乙女さんもちょっと驚いた顔になる。

「サービスしすぎだ・・」


テーブルの上にはフルーツの盛り合わせの入ったお皿。

氷の入った器に入っているシャンパン。

そして花束。

メッセージカードもある。

「これ・・・早乙女さんが注文してたんじゃないんですか?」

「いや、たぶんサービスだよ。」

私が今まで泊まったことのあるホテルとはずいぶん違う。

サービスで、シャンパンがついてくるって・・・

「まぁ、フルーツを食べる前に部屋の中を案内しましょう。」

「あ・・・はい。」

ホテルに来てからすっかり度肝を抜かれた私は言われるがまま、ついていった。

「この扉を開けると洗面所があって、その中のこっちがトイレですよ。そしてお風呂がこちら」

洗面所も広かった・・・

私の自宅の部屋より広いかも。

「こっちが寝室です。」

リビングと別に寝室があるんですね・・びっくりです。

寝室も広い・・ベッドが1つ。

ダブルベッドより大きなベッド。



ベッドが一つ!?

その事実に心臓が止まりそう。

ベッドが一つって・・・そういうことよね。

ドキドキが止まらない・・・




寝室を出て、リビングに戻るのかと思いきや。

早乙女さんは、もう一つ扉を開ける。

「それで・・・こっちが・・・」

扉の先には廊下が続いていた。

その先には・・・

「和室になってます。」

和室も広かったが・・・それだけではなかった。

廊下と和室の一面はガラス張りになっていて。

そこには池が広がっていた。

よく見ると廊下の足元にガラスがはめ込まれていて、その下も池になっている。

つまり、廊下と和室は池の上に建てられているようだ。

広々とした池。

壮観な眺め・・・まるで別世界。

「この和室は気持ちいでしょう・・・こちらに持ってきて食べましょうか。」

「は・・・はい・・」


このホテルに来てから驚くことばかりである。

早乙女さんが、フルーツとシャンパンを持ってきた。

「この部屋が”水庭”という名前の理由がわかったでしょう。」

私は恐る恐る聞いてみた。

「早乙女さん。このお部屋って・・もしかして・・・」

にっこり笑って早乙女さんが答える。

「もちろん。スイートルームですよ。」


瀬戸美月。生まれて初めてスイートルームなんてものに入りました。

どうしてこうなったのでしょう。


“ぽんっ”

小さく音を立てて、シャンパンの栓が開いた。

それをグラスに注いで、渡してもらった。

「まぁ、まずはこれを飲んで。ちょっとは落ち着くかも。」


ちなみに、物凄く美味しかったです。

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