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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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親の許可

部屋の前では瀬戸さんが待っていた。

怒った顔で文句を言ってきた。

「帰ってくるの遅いですよ。ずっと待ってたんですから。」

いや、約束してないよね。

「しーっ。近所迷惑だから。」

鍵を開けて部屋に入る。

仕方なく、瀬戸さんも入ってもらう。

「いや。なんでうちに来たの?」

「だって、一人で旅行だなんて・・・誘ってくれればいいじゃないですか。」

「いや、だって独身の男女で旅行なんてだめだよね?」

なぜ誘うこと前提なんだろう?

「だいたい、店で話せばいいじゃないか。なぜうちに来るの。」

「だって、ミキちゃんがいたじゃないですか。話しづらいかったんです。

 それに・・・」

(それに、なんかミキちゃんの態度がおかしかったから)

「それに?」

「なんでもないです。」

頬を膨らませて怒った顔をする。

「とにかく、今日はもう遅いから帰りなさい。」

「無理です。もう終電ありません。」

「タクシーを呼ぶから、それで帰りなさい。」

「早乙女さんが旅館に電話して予約を変更するまで帰りません。」

「こんな夜中に電話なんかできないよ。」

「じゃあ、明日電話しましょう。私もいっしょに確認しますから。」

電話でタクシー会社に電話する。

「すぐ来るそうだから、まずは帰ってくれ。」

「えー」

かなり不満げである。

幸いタクシーはすぐに来た。

なんとか瀬戸さんをタクシーに乗せ(押し込んで)帰らせた。


はぁ・・・


------

”ピンポーン ピンポーン”

誰だよ、昨日寝るの遅かったんだから・・・

朝8時。

仕方なく起きて玄関に向かう。

扉を開けると瀬戸さんがいた。

「おはようございます!」

「おはよう・・・ほんとに来たんだ。」

「もちろんです!」

勘弁してくれ・・・

「着替えるから、リビングで待っててくれ。」

「はあい」

顔を洗い、髪をセットする。

ひげをそり、とりあえずTシャツとジーパンに着替える。


リビングに戻って、ソファに座って待っている瀬戸さんの向かいに椅子を持ってきて座る。

「まだ朝早いから宿には電話できないよ。」

「えー。もう大丈夫じゃないんですか?」

「そもそも、結婚していない男女が泊りがけの旅行なんてだめでしょ。」

「そんなの、今どき普通なんじゃないですか?」

「瀬戸さんは男の人と泊りがけで旅行に行ったことはあるの?」

すると顔を赤くして、目線をそらしつぶやくように言う。

「わ・・・私は無いですけど・・・」

「だからダメだって。」

「大丈夫ですよ。問題ありません。」

はぁ・・ため息をついて考える・・。

「じゃあ・・・瀬戸さんのお父さんに男の人と泊りがけの旅行に行く許可をもらったら宿に電話してもいいですよ。」

「え”・・・」

いきなり顔色が真っ青になった。

赤くなったり、青くなったり忙しいな・・

「お・・・お母さんじゃダメですか・・・?」

「だめ」


暫くうつむいて考えこんだのち、意を決したらしい。

「じゃあ、家に電話します。頑張ります。」

キッチンで、電話で話す瀬戸さん。

長いこと話している。


「だから・・・大丈夫なの。娘が信用できないの?・・・・お母さんに代わって・・・だから・・・・」


30分以上たってから、疲れた足取りでリビングに戻ってきた。


しかし、Vサインを作って、にっこり笑って言う。

「早乙女さん。私やりました。・・・許可もらいました。」

まじかよ。


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