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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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カーブドッチワイナリー ファンピーロゼ2018

水曜日 珍しく早めに仕事を切り上げる。

といっても、20時くらいだが。

すっかり夜遅くまで仕事する癖がついてしまった。


そのまま、”いい天気”に向かう。

だいぶ暑くなってきた。

もう夏だな。


”いい天気”に入ると、平日だというのに結構にぎわっていた。

「いらっしゃいー」

「席空いている?」

「あそこだったら空いていますよ。」


案内された席の隣は、ミキちゃん。その隣には瀬戸さん。

「こんばんわ。」

「こんばんわ、早乙女さん。遅いんですね。」

「働きすぎなんじゃないの?」

瀬戸さんに会うのは久しぶりだったな。

「ご注文なんになさいますー?」

「じゃ、ヤングコーンと・・・ファンピーロゼで。」

旬のヤングコーンと合うだろうと選んだのは。

新潟県カーブドッチワイナリー、ファンピーロゼ2018。

冷やして飲むのが最高だ。

そういや、この間の約束。隣のミキちゃんに話しかける。

「来ないだ、一杯おご・・・」

すると、必死に”黙れ”とのアイコンタクト。

なぜに?

「早乙女さん、ミキちゃんと何かあったんですか?」

「いや・・・この間、ここで合った時に話したくらいだよ。」

しどろもどろになりながらミキちゃんはごまかしている。

なぜ、ごまかすのか謎である。

これは貸しとしてもう一杯おごってもらおう。


「お待たせー」

料理がやってきた。

「そういえばー。そろそろ夏休みなんでしょ?予定はあるのー?」

瀬戸さんとミキちゃんに聞いている。

「予定は・・・ないですね。」

「私も、彼氏と別れたばっかだからなぁ。すっかり予定が開いちゃったよ。」

「二人でどっかいけばいいのにー」

「いまから予約なんてなかなか取れないでしょうね。」


すると今度はこっちに聞いてきた。

「早乙女さんはー夏休みどうする予定なの?」


「うーん。実家には日帰りで行こうと思っている。それと近場に旅行の予定はある。」

「へぇー誰と行くの?」

「一人旅だよ、相変わらずのね。」

「ふうん・・・」

「なんだよ?」

「いいかげん、彼女作ればー?」

「いいんだよ」


その会話の間、隣の2人の女性は聞いているのか聞いていないのか。

会話にはのってこなかった。

瀬戸さんはつまらなさそうにスマホをいじってるし。


「もう一杯もらえる?それとベーコンとチーズの盛り合わせ。」

「はーい」


するとズボンのポケットに入れていた携帯が振動する。

メールらしい。

誰からだろ?


「はあい、ファンピーロゼどうぞ」

「ありがと」

一口飲んで、携帯を取り出して、画面を開いて内容を確認する。


思わず、吹き出しそうになった。


題名:ずるい!

内容;私も行きたいです!

差出人は、隣の隣に座っている瀬戸さんからだった。

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