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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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井筒ワイン マスカットベリーA 遅摘み2018

「いらっしゃい・・・あーー!おひさしぶりー!」

行きつけの店に久しぶりに顔を出した。

2か月くらい来ていなかった・・・というか店を閉めていた。

「ひさしぶり、ミキちゃん。無事再開できてよかったね。一人だけど席は空いている?」

「大丈夫ですよ~。こちらです~。」

店員の女の子に案内してもらい席に着く。

「お久しぶりです。来ていただいてありがとうございます。」

シェフのダイさんもあいさつに来てくれる。

「再開おめでとうございます。これ、お祝いです。」

持ってきた紙袋を手渡すと、驚いた顔をする。

「ありがとうございます。驚きました。」

「あーーー、覚えてくれてたんだー!。」

ミキちゃんがのぞき込む。

「中身はワインですよ、店に来ている人におすそ分けするなりして下さい。」

一つは、ココファームワイナリーの”陽はまた昇る”。そしてもう一つは・・・

「ごちそうさまです!」

常連の男性がうれしそうにグラスをあげてくる。

「どちらを開けるー?」

「そちらの青いほうがいいかな、”陽はまた昇る”は飾っておくといいんじゃない?」

「りょうかーい」

「あ・・・注文・・・。」

「あはは、忘れてた。なんにする?」

「じゃあトリッパの煮込みで。」メニューを見ずに注文した。


トリッパの煮込みが来た頃。ワインが開けられた。

グラスにちょっとずつ分けられた赤ワイン。

「なにこれ、すごくいい香りなんですけどー。」

ちゃっかり自分の分も確保したミキちゃんが言う。

「えーっと。井筒ワイン マスカットベリーA 遅摘み?」

「まあ飲んでみてよ。ではかんぱーい!」

「「ごちそうさまです!」」


飲んだ反応がどうか・・・みんなの表情を見る・

「まじか・・・」

常連の一人が言った。

そうであろう、そうであろう。

芳醇な香り。あふれる果実感。その感想が聞きたかった。

「これ・・・高いんじゃないでしょうか?」ダイさんが言う。

「いや・・ソンナニ高くはないよ。ただもうほとんど手に入りにくいけど。」

「え?」

「昨年の日本ワインコンクール金賞を取ったので。もう市場にあまり出回ってない。」

うちにはあと何本かあるけどね。

長野県塩尻市井筒ワイナリー マスカットベリーA「遅摘み」2018

ワインコンクールで賞を取るとみんな買い占めるからなぁ。


このワインとトリッパの煮込みは、思った通りよく合う。

「ほんと、ありがとうございます。」

「おいしいですー。ありがとうございますー」

「いえいえ、この店が再開してもらってほんとによかった。

 せっかくの開店を祝わないとね。」


料理がおいしい行きつけの店があるということはほんとによい。

この日常が戻ってきたことがほんとにうれしいのだ。



ちなみに、ミキちゃんはヒロインにはなりません。

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