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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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デート?③

「早乙女さん。私は早乙女さんと一緒にいると楽しいです。

 でも、早乙女さんはどうだったんですか?」


そう聞かれた。

どう答えればよいのだろう。


観覧車の中。二人きり。


瀬戸さんの真剣なまなざし。

そのまなざしを直視できなくて

つい外の景色に目を向けてしまう。


「その、楽しくなくはなかったよ。正直、楽しんだと思う。」

「本当ですか?でも、何か早乙女さんから、まるで義務のように付き合ってるんじゃないかと思って・・」


どう答えればいいのだろう。

いままで、こんなに直接的に聞いてくる女性はいなかった。


「その・・・瀬戸さんのせいじゃないんだ。俺の問題なんだけど・・・」

「はい。」

瀬戸さんは真剣に聞こうとしている。

へたにごまかしても来てくれなさそう。


「俺は、以前いろいろあったから、他人と、特に女性とどう接していいかわからなくて。だから、瀬戸さんともどう接していいか・・わからなくて・・」


前回、つきあった彼女と・・・いろいろあった。

それ以来、女性とはいつも引いた態度になってしまう。


「だから、瀬戸さんが悪いんじゃない。俺に問題があるんだ。  ごめん。」

「早乙女さんは悪くないです。謝らないでください。」

瀬戸さんの目に涙が浮かんでいる。

正直どうすればよいかわからない。

「私、今まで男性に友達もいなかったし、付き合ったことも無いんです。だから、私も男性とどう接していいかわからないんです。」

「でも、早乙女さんとは一緒にいると楽しいし。おいしいもの一緒に食べるとうれしいし・・・」


「だから、早乙女さんにも楽しんでもらえたらと思っていました。」

「そっか・・・」

「早乙女さん。迷惑でしたか・・・?」

「迷惑ではないよ。どうすればよいかわからなくて。戸惑っているだけ。」


瀬戸さんも外の景色を見る。


「綺麗な夕焼けですね。」

本当にきれいな夕焼けである。


「早乙女さん。今日は楽しかったです。本当にありがとうございます。」

「ごめん、最後にこんな風に気を使わせて。」

「いいんです。」


観覧車を下りた後、二人で駅に向かっていく。

帰りの路線は別方向。違う電車になる。


「早乙女さん。またメールしてもいいですか?」

「うん、大丈夫だよ。」


駅の改札前で話す。

「また、一緒に遊びたいですけど。嫌だったら断ってくださいね。」

どう返事していいのか。


「そうだね、またどこかに行くのもいいかもね。」


瀬戸さんは微笑んで答える。

「ありがとうございます、よかったらまた誘ってください。」

「うん、今日はありがとう。」

「いえ、私こそありがとうございました。」


そう言って、瀬戸さんは改札の向こうに去っていった。


その後、メールが来た。

”今日はありがとうございました。本当に楽しかったです。”


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