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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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朝日町ワイン ロゼ/中口

今日のワインは朝日町ワイン ロゼ/中口

「で、結局あんたらは付き合うことになったのか。」

これはさっぽりして、飲みやすい。

フルーティーな香りがいいね。

「誰と誰が付き合うだって?」

「あんたと美月に決まってるだろ。」

「付き合ってるだなんて、ありえないだろ。しばらく会ってないし。」

「会ってないんじゃなくて、会わないようにしているんじゃないのか?」


今日も、遅い時間に”いい天気”に来たんだが・・・

ミキちゃんにつかまってしまった。

なんか、やたらと絡んでくる。


「また泊まったらしいじゃないか。おかげでこちらはアリバイ作りに協力させられて大変だったんだぞ。」

「あれは、泊っているというより酔いつぶれて動かなくなったというのが正解だ。」

「その後、メールで連絡とってもそっけないらしいじゃないか。一度《《やった》》らもういいのか。」

「はっきり言って、一度もやっていない。」


するとびっくりした顔をする。


「なんで、やってないんだよ。不能か?それとも・・・」

「なんで、やること前提なんだよ。」

「そりゃあ、あんなかわいい子が泊っていくようなチャンスだったらどんな男だって・・・・ねえ。」

「それは思い込みなんじゃないか?俺は少なくとも違う。」

「ふうん・・・」


それより、気になっていたことを聞いてみる。


「あの子は何であんなの無防備なんだ?いままでどんな相手と付き合ってきたんだよ。知ってるんだろ。」

「あぁ・・・・それはたぶん・・・」

たぶん?


「あの子は、今まで誰とも付き合ってないんじゃないかな。彼氏がいたって聞いたことがないよ。」

「はぁ? じゃあ、もっと謎だぞ。なんで、あんなに無防備にぐいぐい来るんだ?」

「それは、たぶん・・・

  あの子はラブコメ小説とか好きでよく読んでたからなぁ・・。あと少女漫画も好きだったしなぁ。」

「ラブコメ・・・・・?」

「何か、そういう展開にあこがれとかあるんじゃないか?朝チュンとか。」

「えっと・・・それってなんかオタクっぽい感じがするんだけど。」

「あの子は、少なくとも高校の時は立派なオタクだったぞ?」


まじかよ


「それと、私が知る限り・・・アンタが初恋の相手だからね。」


おいおい


「あの娘を泣かしたら容赦しないからね。」


なんだよそれ。重すぎるっての。


「そんなの、俺には無理だっての。」

甘くてフルーティーなはずのワインが、ずいぶん苦く感じた。

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