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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第2章
264/268

ヒトミワイナリー ゴクローサワー

”え・・・え・・・?どうしたらいいの??”


 柏木洋子は慌てていた。


 峠の下りのワインディングロード。

 下りのカーブは苦手であるため、スピードを押さえて走っていたのだが。



 いつの間にか、背後から・・・


――――



 休日。

 県内で、ツーリングに有名と言われているY峠に来てみた。

 有名と聞いたのでせっかくだから来てみたのだが・・・


 途中の展望台からの眺めは良かったのだが、峠の頂上に来てみると思っていたのと違った。

 売店もドライブインもない。

 展望台もなく、ちょっとした駐車スペースと自動販売機しかない場所であった。


 ワインディングを走るのが好きなバイクにはよいのであろう。

 しかしながら、洋子にとっては期待外れであった。


 仕方なく、来た道を戻ることにした。



 


 峠のワインディングを下っていく。



 やがて・・・・ミラーに映る、後ろにぴったりくっついてくる姿に気が付いた・・・



”・・・え・・・ど・・・どうすればいいの?・・・”


 ただでさえカーブばかりの道である。

 抜かせるポイントもあまりない。



 しかも、背後に迫って来ていて・・・煽っているのは・・・


 自転車であった。



 いわゆるロードバイクと呼ばれる自転車。

 下り道で、洋子の乗るオフロードバイクにぴったりとくっついてくる。


”え・・?ど・・・どうしよう・・・。左から抜かせればいいの?それとも右から・・??”



 ぴったりとくっついてくる自転車。

 ゆっくり走っても抜かしていく気配が無い。


”え・・・ほんとに煽ってきているの?・・どうしよう・・・”



 そう思いながら・・・やがて麓に近づいてきたとき右側にコンビニが見えてきた。


”・・・あそこに入ってやり過ごそう・・・”



 ウィンカーを出して駐車場に入ってバイクを停車させた。

 ヘルメットを脱ぐと・・・


 同じ駐車場にさっきのロードバイクが入って来ていた。


 自転車を押して、こちらに近づいてくる。


”え・・え・・どうしよう!?”


 不安に思って、スマホで警察を呼ぼうかと思っていた時。

 そのロードバイクの男性は、ニヤッと笑って声をかけてきた。


「やっぱり!ヨーコちゃんじゃないか。こんなとこで会うと思わなかったよ」

「へ?」


 その男性がサングラスを外す・・・・

 すると、行きつけの店である”いい天気”の常連のリンさんであった。


 な・・・なあんだ・・・



「り・・・リンさんだったの!?やめてよ~!」

「えぇ?」

「煽られていると思って怖かったんだから!」

「え・・・・あぁ、ごめんごめん」


 苦笑いするリンさん。


「自転車は、前を走ってくれる風よけがあると楽に走れるのでつい・・・」

 ポリポリと顎を掻いて謝ってくる。

 ほっとした洋子は、思わず泣きそうになった。


――――



 次の週の金曜日。


 ”いい天気”で洋子はリンさんと再び会った。


「ヨーコちゃん、こないだはごめんごめん」

「もう・・いいわよ」

「お詫びにいっぱい奢らせてくれよ」



 出てきたのは・・・


 滋賀県東近江市 ヒトミワイナリー

 ゴクローサワー


「えぇ・・・」


 さわやかな酸味とコク。

 飲みやすい辛口の白の発砲ワインである。


 とても美味しい。

 とても美味しいのだが・・・・・



”これ・・・本当に謝罪しているのかしら?”


 ラベルに描かれているのはブドウの被り物をしたファンキーな人物が正座している。


 謝っているのか、バカにされているのかよくわからないラベルである。


”ううむ・・この感性がわからん”


 まじまじとラベルを眺める洋子であった。


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