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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第2章
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年内最終日

 ”いい天気”年内最終日の12月30日。

 

 最終日だけあって、常連たちでにぎわっていた店内。

 それも、深夜になるにつれようやく空席ができてきた。


 そんな、ラストオーダー直前の23時前。

 カランコロンと入口の扉が開いた。


「いらっしゃ~い」

「まだ。だいじょうぶかしら?」


 入ってきたのは柏木洋子である。

「もう、フードがラストオーダーですけどいいです~?」

「了解。じゃあ本日のパスタと山梨甲州ちょうだい。あとフィッシュアンドチップスも」

「ありがとう~ございます~」


 カウンターの席に着く洋子。


「おう、ヨーコちゃん今日も遅いな」

 常連のおっちゃんの一人である、新沼岳士が声をかける。


「あいかわらずよ。仕事が忙しくて」

 ため息をつく洋子。


「はい、山梨甲州ですよ~」


 透き通った白ワインがグラスにそそがれた。

 すっきりとして、どんな食事にも合うワインである。


「大変だねえ。おつかれさま。明日からは休みかい?実家には帰らないの?」


 岳士のかけた声に、またため息をつく洋子。

 

「明日も仕事よ・・・明後日も、そのあとも」

「へ?」


 ぽかんとする岳士。


「しょうがないの。正月とかに接続検証とかはこの時期じゃないとできないの。だから正月休みなんかゼロよ・・・ゼロ!」


「はぁ・・・たいへんなんだな・・・」


 そこに、本日のパスタ・・・魚介のペンネが運ばれてきた。


「ねえ、ミキさん。明日とか元旦とかも店開けてくれない?私、ここが開いていないとお正月どうやって生き延びればいいかわかんないの・・おねがい」

「え~・・・さすがに・・・勘弁~」

「だよねえ・・・しかたがないからお正月はカップ麺で食いつなぐしかないか・・」

「ええ・・・」


 世間はお正月気分。だが、柏木洋子にとって正月は戦場なのであった。


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