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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第2章
248/268

秩父ワイン 源作印 白 三峰神社ラベル

「うわぁぁぁん!!嫌い嫌い嫌い!!」


 暗闇の中、柏木洋子は叫びながらバイクを走らせていた。


 ここは、国道140号。雁坂トンネル。

 埼玉県から山梨県へと抜ける道である。


 洋子の、いちばん嫌いな物。

 それは、長いトンネルであった。


 空気が澱んでおり、排気ガスが溜まっている。

 しかも、このトンネルは交通量が比較的少ない。


 すると・・・延々と暗い道が続く。

 孤独感が半端ない。


「うわああん!!まだなの!出口はまだなの!!」


 どうせ誰も聞いていない。

 思いっきり叫んで孤独感を紛らわせる。

 そして早く出口が見えてくるのを願って走り続けるのであった。




 トンネルを抜け、山梨県に入ると埼玉県側とかなり雰囲気が変わった。

 埼玉県側は切り立った山の中であり、人家もほとんどない山奥。


 ところが、山梨県側は陽の光に照らされて明るい。

 道の駅や公園もあり、人里感がある。


 だが、長いトンネルで精神的にダメージを追った洋子は、ゆっくりと山道を降りていくのであった。



 本当は、あちこち回ってから帰る予定だったのだが、疲れ切っていたので道の駅花かげの郷まきおかに寄ってお土産を買いそのまま帰宅したのであった。






 自宅に帰って来た洋子は、寝る前に一杯だけ飲むことにした。


 空けたワインは・・・

 秩父ワイン 源作印 白 (三峰神社ラベル)


「あら、おいし・・・」

 お土産品だったのでそれほど期待していなかったのだが、思っていた以上に美味しかった。

 山梨県産の甲州種を使っているようである。


 このワインなら、明日お土産として山口モータースに持って行っても恥ずかしくない。

 

 こんど、このワイナリーに行って見てもいいかな・・・


 期待以上の味に、秩父を再訪することにしたのであった。

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