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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第2章
246/268

埼玉県秩父市

「うーん!やっぱり、蕎麦は新蕎麦に限るわね!」


 柏木洋子はざる蕎麦をすすりながらつぶやいた。

 コシあるシャキッとした麺。

 新蕎麦特有の香り。


 大満足である。



 ここは埼玉県秩父市。

 山口モータースで聞いてきた店に来ている。


 やはり、旬の時期だけあって店は混雑している。

 蕎麦湯を飲むのも早々に店を出た。


 この店に入る前に、秩父神社への参拝をしてきた。


「それにしても、ポスターどこにも貼っているのねぇ」


 アニメの女の子の描かれたポスターがこの店にも貼っている。

 秩父を舞台にしたアニメ。

 ちなみに、TVで見たことがある。

 その時は洋子も、うるっと感動して泣いてしまった。


「でも、こんなにタイアップしているとはねえ・・・」


 どこもかしこもポスターが貼ってある。

 こんなに自治体を上げてタイアップしているとは・・・



「さて、次の目的地に行く前に、ヒータををつけておかないとね」

 ヒーターにバッテリーをつなげて、スイッチをオンにする。

 愛車に乗り、ヘルメットをかぶった。


 今回の目的は、ウェアのヒーターのテストでもある。

 そのため、標高の高い場所に向かおうとしている。


 国道140号線を西に向かう。

 市街地を抜け、だんだんと民家が減っていく。

 山あいに入っていき、ワインディングになっていく。


 空気が冷たくなっていく。


 日帰り温泉施設を通り過ぎ、T字路の信号を左に曲がる。


 すると、急な登り道。

 どんどん、標高が高くなっていく。


「雪も凍結も無いみたいね。よかった」


 11月では、さすがに関東では雪はまだない。


 やがて見えてきた信号。

 青に変わるのにかなり時間がかかった。


 左に曲がって、その理由がわかった。


 ダムの上を通る道。


 道が狭いので、片側通行なのである。

 ダムの上を渡ってカーブを曲がると信号待ちしている車が2台待っていた。



 この先は山道。狭いうえにカーブが多く見通しが悪い。

 対向車はそこそこやってくる。


 対向車に注意しながら、ゆっくり愛車で登っていく。


 

 すると、急に道が広くなっていた。

 相変わらず急なカーブの登り道ではあるのだが。



 やがて、左に見えてきた広い駐車場。

 料金を払って中に入り、愛車を停めた。

 (料金は、自動車の半額だった)


「ふう・・・」


 空気がかなり冷たい。気温が低い。

 だが、ヒーター入りのウェアのおかげでぽかぽかである。

 上着だけではなく、下半身にヒーターが入るとかなり違う。


「このウェア、当たりだったわぁ」


 勧めてくれた山口モータースに感謝しないと。

 お土産でも買って行こうかしら。



 周りを見渡す。ずっと登ってきたので、標高が高い。

 まさに、人里離れた山奥。

 別世界といった雰囲気が漂っている。


 この場所こそは、秩父の山奥に鎮座する三峰神社である。 

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