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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第2章
233/268

道志道

 緑に囲まれたワインディングを走って行く。

 軽快なエンジン音。

 運転するのはやはり楽しい。


 だが、そろそろ疲れてきた。

”そろそろ休憩しようかな”


 そう思っていたら、案内板が見えた。

 ちょうど良いタイミングで現れた”道の駅 どうし”。

 

 ウィンカーを出して左に曲がり駐車場に入る。

 エンジンを停止させ、愛車から降りる。


 頭を振りサラサラの髪をかき上げる。

 ミラーでショートボブの髪がはねていないか確認。キラッとピアスが陽光にきらめく。


 ふと見ると、小さな男の子がこちらを見上げていた。

 ポカンとしている。


 柏木洋子は、男の子にニコッと笑いかけて手を小さく振る。

 男の子は、真っ赤になって固まってしまった。


 売店の方に歩いていく洋子を見送った男の子。

 ため息をついて言った。


「かっこいい・・・」



 洋子は、缶コーヒーを購入して休憩がてら周囲を散策。

 道の駅の裏には、きれいな川が流れている。

 山あいの自然。空気がおいしい。

 レストランもあって、おいしそうだが・・・まだ昼ご飯には時間が早すぎる。


「さて、そろそろ行こうかな」


 愛車に戻って来た洋子は、愛車に乗り《《ヘルメットをかぶった》》。


 YAMAHA SEROW250。

 オフロードタイプの中型バイク。

 小柄な女性でも、足つきが良く扱いやすい。


 洋子は、白色と緑色のカラーリングの愛車を気に入っていた。

 セローちゃんという愛称で呼んでいる。

(女性によくあるが、洋子も愛車に愛称をつけている)


 柏木洋子はバイカーであった。

 一人で遠くまでツーリングに行くのが趣味。 

 ツーリングする目的地としてワイナリーもいいかな・・と思ったのだった。

 まぁワインよりもバイクで走る方が主目的ではあるのだけど。


 

 視線を感じてそちらを見ると、離れている向こうからさっきの男の子がじっと見つめている。

 洋子は男の子に手を振ったのち、軽快なエンジン音を響かせて走り出した。



 バイクに乗った美人のお姉さんに一目ぼれした少年。

 将来、彼はバイカーになるのだがそれはまた別のお話。




”教えてもらった通り、この道は走りやすいわね”


 ワインディングもほどほどで、急カーブと言うほどではない。

 比較的、道は広く整備されていて走りやすい。

 ツーリングのルーとしてお勧めだとのことだったが、そのとおりだ。


 道志道を抜けると、山中湖。

 左に曲がり、湖の周囲の道を走る。


「うわ!うわあ!!これはあがる!!」


 走りながら、洋子は叫んだ。


 走っている道の先に、巨大な富士山がどん!と鎮座している。

 本当に巨大である。富士山と言うものがこんなに大きいと思っていなかった。

 洋子は本当に感動したのである。


 これだけでも、このルートを通ったかいがあった。


 うん、このルートにはまた来よう。

 とっても、気に入った。




 山中湖から138号を通って河口湖に向かう。

 北口本宮冨士浅間神社によってお参りしたのち、137号に入る。


 河口湖の辺りは観光地らしく、観光ホテルやお土産屋さんも多く見かける。


 そこを通り過ぎて、峠道。といっても、すぐに長いトンネルを抜ける。

 まぁ、これくらいの長さならまだ許容範囲ではある。



 トンネルを抜けて長い下りの先。しばらく走ったのち、20号線を右に。

 すぐのところにある、浅間神社にお参りをしたのち、もう一度20号に入る。


 すると・・・もうすぐに、今日の目的地。

 そこは、山梨県甲州市勝沼町。


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