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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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渡邊葡萄園醸造 Nasu Wine Merlot 樽熟成 2004

「とても・・・似合っています。素敵ですよ」


 ディナーのために着替えた美月と健司。

 美月の服装は、黒のスラックスにえんじ色のベロアジャケット。足元はブーツである。

「ありがとう、うれしいです」

 このコーディネートを選んだのは、ミキちゃんではあったのだが。


 健司は、美月をエスコートしてディナー会場に入った。

 ディナー会場は、今回もメインダイニング。

 あいかわらず、素敵なレストランだ。

 スタッフの方に席に案内してもらう。


「いらっしゃいませ。来ていただいて本当にうれしく思います。」

 メニューを渡してくれる。もちろん、レディファースト。

「こちらが本日のメニューになっております。」

「魚料理は、金目鯛になっております。メインの肉料理はこちらの3種類からお選びいただけます。」

 鶏肉・・ジビエ・・ステーキ。今回も那須北和牛のステーキにした。

「食前酒はお持ちしたほうが良いでしょか?」

「お願いします」

「かしこまりました。」

「おまたせしました、こちらはゆずを使ったリキュールになります。」

 グラスに注いでもらい、目線の高さにあげる。

「乾杯」


「いい香り・・」

 ゆずの香りが漂うお酒。


「こちら、ドリンクのメニューになります。」

 メニューを見ながら・・・気になるワインがあった。

「これ・・頼んでもいいですか?」

「はい・・・これって気になりますね」


 選んだワインは

 栃木県 那須塩原市 渡邊葡萄園醸造 Nasu Wine Merlot 樽熟成 2004

 

 いつもなら、白ワインとかから頼むのだが、気になってしまったのだ。

 何しろ、2004年のヴィンテージワインらしい。


 グラスに注ぐと・・思ったより淡い色。注いだ瞬間から香りがする。

 

 口に含むと。まず樽の木の香り・・そのあと果実のまろやかさ・・そして最後に少しの渋みと苦み。

 複雑で繊細な香りの変化が楽しめる。


 ソムリエが教えてくれた。

「このワインは開けたばかりだと少し渋みが強いのですが、開けてからしばらくするとまろやかになるんですよ。」

「なるほど・・」


「美月、どうかな?このワイン。渋みがるので好みではないかもしれないけれど」

 美月はあまり渋みのあるワインが好みではない。

「だけど、それほどではないし。いい香りなので、おいしいですよ」

 よかった、気に入ってくれたらしい。


「それで、引っ越すとしたら何時頃なんですか?」

「先輩とも相談だけど、3月末に部屋が開くっていうことだから4月中旬ごろになると思うよ」

「それじゃあ、それまで準備しないといけないですね」

「本当にいいの?」

「もちろんです!」


「それじゃあ、それぞれの両親にも報告しないといけないですね」

「ちょうどお正月に行ったときに報告しましょうよ」


 なにか、とんとん拍子に話が進んでいってしまいそうだ。

 そういうタイミングみたいなものがあるんだろうか?

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