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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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ルミエールワイナリー 光 赤&白

今日は、若いころに仕事でもプライベートでもお世話なった先輩の家に来ている。

先輩は事情があって転職していったが、その後もいろいろと付き合いは続いている。


その先輩が結婚したとの話を聞いた。

おめでたい事である。

結婚式はやらなかったとのことなので、あまり大っぴらには伝えていなかったらしい。

遅ればせながら、お祝いに駆け付けた。


お祝いに持参したのは、やはりワイン。

山梨県笛吹市ルミエールワイナリー 光 赤と白

紅白のほうが縁起がいいだろうと思ってこれにした。

味もいいので、ちょうどいいだろう。


「早乙女君、申し訳ないね」

「いえいえ、先輩にはお世話になったので。おめでとうございます」

先輩の家は、一戸建て。立派な庭もある。

「素敵なおうちですね」

「いや、賃貸なんだよ」

「え・・これでも賃貸なんですか?」

「そうなんだ、まぁ持ち家でマンションも持っているんだけど職場から遠くて不便でね」

「そうだったんですか」


その時、奥様がお茶菓子とお茶を持ってきてくれた。

その奥様を見て・・ちょっと驚いた。

先輩は照れ臭そうにしている。

先輩は50歳を過ぎている。

だが、奥さんは・・どう見ても30歳前半。若い。

「お若いんですね・・」

つい正直な感想を言ってしまった。

奥さんは、ひっこりと微笑む。

「まぁ恥ずかしながら・・縁があってね」

照れながら先輩は言う。

「なんか、安心しました。私も今、結婚を前提に付き合っている女性がいるんですが。年が離れているので心配だったんですけど」

「へえ。それはおめでたい。いつ結婚なんだい?」

「いえ、まだ付き合って半年もたっていないですよ」

「その女性とはどれくらい年が離れているんだい?」

「15。いや私が誕生日だったんで16ですね」

「じゃあ、うちの方が年が離れているよ。大丈夫」

にこにこと笑う先輩夫婦。

何か勇気づけられる気がした。

「彼女とは家は近いのかい?」

「遠くはなかったのですが・・今は、なぜか一緒に住んでいるんです・・

 ちょっと狭いんですけどね」

「へえ・・もう同棲かい?彼女の親は問題ないのかい?」

「それが、応援させるくらいですので・・まったく問題ないというか・・」

むしろ積極的で困ってます。

「そうか・・それならば、よかったら・・・」





先輩の家から帰るときに、先輩が思いついたように言う。

「あぁ。もしよかったらこれをもっていかないか?」

渡されたのは紙袋に入ったゆず。

「あぁ・・冬至ですか。これ、どうしたんです?」

「いや、隣の方からもらったんだ。ほら」

先輩が指さした先に、隣家の庭にたわわに実った立派なゆずの木があった。

よく見ると先輩の家にの庭にも落ちて転がってきている。

「たくさんもらったので、よかったら持って帰ってくれ」


たくさんのゆず。

今日はゆず湯にしよう。


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