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日本ワインに酔いしれて  作者: 三枝 優
第1章 健司と美月
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シャトー酒折ワイナリー 甲州にごり 2020

「いらっしゃ〜い」

”いい天気”にやってきた。

「あらぁ、二人一緒に来るのってめずらしいわね」

「あ・・・そうかも」

別々に来て、ここで合うことのほうが多かったかも。

それまでと、今の違いは・・一緒に住んでいるということ。

健司の部屋に美月が一緒に住むようになってすでに3週間になる。


今日は、美月の家に二人で行ってきたのだったがそのせいで疲れ切っていた。

「まずは、このワインください。あとカキフライを」

「了解しました〜」


山梨県甲府市 シャトー酒折ワイナリー 甲州にごり。

今年取れたばかりのぶどうで作られた新酒だ。


爽やかな酸味と甘みとコク、それと・・ちょっとピリッとする。

炭酸が含まれているのだろうか。

「このワイン美味しいです・・・」

疲れていると甘めのワインが美味しい。

「はい、カキフライおまちどうさま〜」

「お、いい香りだね」

カキフライをほうばる。サクッとした衣と、中から出てくる熱々の海の香り。

そこに、このワイン。うん、やっぱり合うね。

「健司さん、このブイヤベース頼んでいいですか?」

季節限定の料理である。

「もちろんいいですよ」

やがてやってきたブイヤベース。

巨大なエビが中央にあり、ムール貝やイカなどの魚介が山盛りだった。

「これも、ワインに合いますよ」

美月が美味しそうに食べる。

「これは、余ったらリゾットにできますよ〜」

店員のミキちゃんが告げる。

これは頼まないといけないな。


「それにしても、荷物ですか・・」

「そうですよ、お母さんったらひどくないですか?」

美月の母親は、美月が実家においてある荷物を健司の家に送ろうとしていたのであった。

「さすがに、うちには入らないなぁ」

「そうでしょう?」


引っ越すか・・・?どうせ引っ越すなら・・・

一瞬、頭の中を考えがよぎった。

しかしすぐに、その考えは捨てた。

どう考えても、美月の母親の思う壺である。

外堀を埋めようとしているに違いない。


「リゾットお待ちしました〜」

先程のブイヤベースのスープを使ったリゾット。

これもうまい。


「そういや、TVの街紹介番組でこのあたりを紹介したんだって?」

「そうなんですよ〜、私もちょっとだけ映りましたよ〜。店の看板も」

「へえ・・それは見たかったなぁ」

ミキちゃんはちょっと自慢げである。

「ところで、よく一緒に来ていた方って最近来ないけど何かあったんですか〜?」

ミキちゃんが美月に聞く。

「そう!それです!健司さん。聞いてください!」

「どうしたの?」

「どうやら、ミキちゃんに彼氏ができたみたいなんです。」

「へえ・・」

実は健司はミキちゃんから報告を受けて知っていた。

「それが、いつもなら頼みもしないのに紹介してきたのに、今回は紹介どころか

彼氏ができたってことも教えてくれないんですよ!」

「なるほど、そうなんだ」

「変な人に引っかかってないといいんですけど」

「じゃあ、今度我々とミキちゃんと彼氏で食事でもしようって誘ってみたら?」

「あ、それいいです!!」

そういや、彼氏は未成年だけどこの店に入れるんだろうか?



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