飴 『詩』
懐かしい。よく舐めてたなぁ。
散歩していて、ふと手に取ったのは、小さな飴
店から出て、その飴を持ちながら歩いた
袋を開け、立ち止まり、空に届くように高く上にあげ、太陽の光を浴びさせる
飴から透ける空の色は、少し濁って見えた
その色は空と同じ青
その青は空よりも深い青
その丸い飴には小さい頃の一つの世界を閉じ込めていた
小さな世界に映るのは懐かしい記憶ではなく、自分で傷をつけた残骸
ーねぇ、⬜︎⬜︎⬜︎。夢は何?ー
ー夢は⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎になること!ー
ーねぇ、⬜︎⬜︎⬜︎。幸せって何?ー
ー幸せは⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎だよ!ー
鎖で繋がれていた翼が、斧で切り落とした翼がもう一度空を見たいと沸騰する
上にあげていた小さな世界を下ろし、地に近づけた
同時に時も経ち、透き通る色は腐敗していく
ーなぁ、⬜︎⬜︎⬜︎。お前の夢って何だよ!笑ー
ー俺か?そうだな。安定した仕事に就く事じゃね?今の世の中は…ー
違う
ーなぁ、⬜︎⬜︎⬜︎。お前の幸せってなによ?ー
ーんー。俺の幸せかー。強いて言うなら、…ー
違う
未開拓の地にタカラを求め、方角を知らずに進んだ道は、正しいと思っていた道は、誰かが歩いた道だったと気づく
今までの道を振り返る
なぁ、俺。夢はなんだ。
ー僕の夢は⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎!ー
地に近づけた小さな世界を、もう一度、空に上げた
飴から透ける空の色は、少し綺麗に見えた
なんだ。変わってなかったんだな。
小さな世界を口に入れた
苦かった
でも最後には、あの頃の味がした
小さかった頃の味が…
私は進んでいた道を引き返した