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第2話『小柳灯里②』





時は現代、西暦2020年。




我々の生活には、『スキル』と呼ばれる特殊能力が欠かせないものとなっている。




有史以前から、人類は過酷な生存競争の中で命を繋いできた。




その過程の中、人類は特殊能力を得た。




それらは個々の遺伝子の違いのごとく、一人一人多種多様である。


人々はスキルの差異を活かして、互いに協力し合った。




そして、大きく文明を繁栄させていく。






✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎




「それで初めの文明が四大文明でしょ!理系だけど流石にわかるよ〜エリナ〜」




「そうね。あんたを見くびってたわ」




クールな雰囲気を持つ、ボブヘアーの少女「西宮エリナ」は淡々と言った。


灯里とエリナは、高校1年生の頃から週に一度は遊びに行くほどの大の仲良しである。




「私、1年生の時世界史得意だったんだよ。初めに重宝されたのは『水の力』で、特にエジプト文明のファラオたちは、そのスキルゆえにー」




「はいはい。灯里が世界史得意なのは分かったから」




「えーんエリナつめたいなぁ。それよか、今日の映画あれでしょ、『スキルが発現しなかった世界』の話だよね。すごいよ、SFでもそんなの思いつかないって」




「あたしこの監督好きなんだよね」




「ねー、エリナ聞いてるー?」




エリナのそっけない態度に、灯里は唇を尖らせた。


エリナはそんな灯里の態度に、ぷっと吹き出した。




「あはは、ったく灯里は。あたし達、今年は受験生だってのに、全然緊張感ないね」


「あったりまえだよ。まだ4月だよ?先のことなんて分かんないって」


灯里は肩をすくめて、ポップコーンをつまんで食べた。


「そんなもんよねえ」


ふう、と息をついてエリナは天井を仰ぐ。


「エリナは?」


「あたしはもう音大一本。せっかくの自分のスキルを活かさなきゃね。担任にも伝えたし」


エリナはにっと微笑んで見せた。


灯里は、目をキラキラと輝かせエリナを見る。




「かっくいい…!」




「そ、そう…?」


エリナは恥ずかしそうに灯里から目線をそらした。


「エリナのスキルって本当に素敵!私もそういうのが良かったなあ」




エリナの持つスキルは、「様々な音が出せる」というものである。文化祭でのラストステージ、エリナのアコースティックギターと、口頭サックスの演奏は凄すぎて惚れ惚れした事を記憶している。




エリナは照れ臭そうに笑った。


「私なんか、『光のスキル』だよ!?なにそれって感じ!」


「そうかな?灯里の能力、あたしは好きだよ」


「私は全然好きくない!!私のスキルの出番は停電した時だけ!光るだけ!」


灯里はぷりぷり文句を垂れた。


「あーあ。なんでお母さんのスキル、まんま遺伝しちゃったのよ。せめてお父さんの『熱のスキル』だったらなぁ…お湯沸かせたのに。」


「弟くん、ハイブリッドなんでしょ?」


「そうなの!『火花のスキル』だよ。いい感じに混ざってさ!羨ましいホント」




『10時20分より2番スクリーンで上映されます、「if〜イフ〜」のご入場を開始します。チケットをお持ちの上…』




灯里の話を遮って、案内のアナウンスが響いた。


「あっ、ねえもう入れるよ」


「ん。行こっか」


2人は立ち上がる。


チケットを持ち、入場しようとしたまさにのその時であった。






ジリリリリリリリ!!!!!!








鼓膜をつんざく非常ベルの音と、聞いたこともない爆発音が耳を貫いた。













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