5話
こんにちは、今回は5話になります。
それでは本編です。
『お兄ちゃん、待ってよ
私はどこにも行く気は無いって
行くならお兄ちゃんだけで行ってよ』
そう言いながらも私はなんでか
お兄ちゃんの手を振り払えなかった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんなりに
私に優しくしてくれているのは
わかっていたから
私もそれに答えようっていう気持ちは
あった。
『アリス、ほら
着いたよ、大丈夫?
疲れてない?』
お兄ちゃんは私の身長に合わせて
しゃがんで聞いてくれた。
お兄ちゃんは6年生だし、私より
身長が高かった。
『大丈夫、女の子はいつも元気でいなさいってママから言われてるし
お兄ちゃん、一緒にブランコしよう』
私はお兄ちゃんの手を引いて
ブランコを始めた。
『アリス、ちょっと
向こうにいるから
終わったら、こっちに来てね
それじゃあまたね』
お兄ちゃんはそう言うと
向こうに行ってしまった。
せっかく一緒に遊ぶ気になったのに
残念だった。
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『アリス、ああやって見ると
普通の女の子なのにな
アリス、お前の忘れさせられた
記憶は思い出さない方がいいものなのかもしれないね』
僕はアリスの身に起こった
あの事について思い出していた。
あの日、僕達は家族で
川遊びに出かけていた。
でも、アリスは僕達と
はぐれてしまって、みんなで探す
事になった、でも、2日や3日探しても
見つからずに、アリスが見つかった
時には全身、水で濡れていて、体も冷え切り
目には光がなくて、危ない状態だったらしかった。
そこからアリスは入院して
その時に体に今の魔法を埋め込まれた。
退院して来たアリスは見つかった時とは違っておかしいくらいに明るかった。
あの時は理由を聞いても、父さんや母さんは教えてくれなかった。
でも、後で僕だけに教えてくれた。
ほんとはもっと治療時間がかかるのに
無理やり魔法を埋め込んで
アリスの閉ざされた心を開いたそう
だった。
『アリス、何があっても
守るから、もうアリスは傷つけさせないから』
僕がそう言うと、アリスが
こっちに走って来た。
僕が手を振ると、アリスもこっちに手を
振り返してくれた。
考えるのをやめた僕は
アリスを久しぶりに膝の上に
抱っこした。
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『お兄ちゃんに抱っこしてもらうなんて
久しぶりかも、お兄ちゃん
大好きだよ、あのね
お兄ちゃんだけはアリスの味方でいてね
もう私はパパとママすら信用できないから、信用できるのはお兄ちゃんだけだし』
私はそう言うと、お兄ちゃんの
温もりを感じていた。
私の体は冷たいけど、お兄ちゃんは
暖かかったから
『アリス、お昼ご飯
食べようか、何食べたい?』
私はお兄ちゃんにそう聞かれて
また悩んでしまった。
お兄ちゃんの作るものはどれも
美味しいから選べなかった。
『じゃあ、お兄ちゃんの作った
パンケーキが食べたい
クリームいっぱいのやつ』
私はお兄ちゃんにそう言うと
お兄ちゃんは笑顔で答えてくれた。
『わかったよ、それじゃあ
買い出しして帰ろう
それと、アリス
母さんと父さんの事を信用できない
なんて、悲しい事言うなよ』
お兄ちゃんにそう言われたから
わかったって返事をすると
またお兄ちゃんに手を引かれながら
歩きだした。
それから買い物をして、お兄ちゃんと一緒に学園寮でパンケーキを食べてから
また一緒にゲームをして遊んだりした
1日だったので
私も、昨日の事を忘れられました。
1つ気になったのは、みんながなんでか
私の起こした騒動の事を知らなかった事です。
私が怪我をさせたクラスメイトの子さえ
普通に接してくれた。
後、私はお兄ちゃんの寮に住む許可が
でていました。
でも、本格的に住むってなったら
女子寮になるそうでした。
まあ、当たり前の事なんだけどね
ママに電話したら、アリスが
どうしてもっていうなら寮でもいいよって言われたから
私は今日からお兄ちゃんの部屋じゃなくて女子寮の開いている部屋に
移動する事になった。
荷物はママが送ってくれるって言っていたから安心だった。
とりあえずお兄ちゃんの部屋に
戻って、自分の荷物を持って
今から卒業まで暮らす部屋に向かった。
ママが心配だからって2人部屋にしたらしかった。
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『ここだね私の部屋は
お邪魔しまーす』
私はカートキーで鍵を開けると
部屋に入った。
私のルームメイトは
私がよく知っていて、一番恨んでいて
一番仲のいいルナだった。
一瞬で楽しい気持ちがなくなって
ルナを壁に押し当てていた。
『アリス、ルームメイトだったんだね
私も今日から寮なの
よろしくね
でね、アリス
怖いからその手を離して
私アリスに何もしてないよ』
ルナは本当に泣きそうな顔でこっちを
見ていたから、私は思わず手を離した。
でも、ルナは絶対に許さないと決めていた。
どんなに性格が戻っても
私にした事は許せないから
いかがだったですか?
次回からアリスは学園寮の自分の部屋での生活が始まります。
読んでくれてありがとうございます