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161)《あのころ》の恋のお話など



あかるい未来が待っていた

あのころ、

ちょっとやすっぽい夜が

そこにはあった



光を求めて

まるで怒ったように

カミキリムシが飛ぶ

だれもが忘れたい

悪い春の風が吹き

その街には

舞い散る桜の花さえ

咲くことはない夜が明けても


かちんこちんに


凍ったこころのいちぶが

それが一番やさしい

思いやりだという

嘘話としてそのままそこに

凍っているから

掠れた声が漏れ


酔いたい………


という

小さなお願いが


神さまに

すみやかに聞きとどけられたなら

ただそれだけで微笑んでくれる

きみをみていた


そのとききみは


どれだけ

魂を冒涜されるかなしみに

冒されていたのだろうか?


信じられないことだが

そんなそぶりをまるでみせもせず

ただ微笑んでいられたきみを

心のそこから

なんて素敵なんだって

震えながらみつめていた


あゝ、まだ肌寒い

ちょっとやすっぽい夜だけれど

あかるい未来が待っている


そんな

春の風が吹く


あの街の、

あの部屋での嘘話。



いや、ほんとうは、

《ただ、きみが好き》って、

恋のおはなし………






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