38)天使強奪
たったひとつの、この「よりぬき」詩集の決まりごと(40ユニークP以上)さえ、無視し、ただ私が気に入っているから、という理由だけでここに選ばれたこの詩。
いや、でも、そんなこといってたら、どの詩ならこの詩集にいれないのさ、とかなっちゃうから、ね?
ダメだよ、そんなことは。
とは、わかっていて、考えていて、それでもどうしても、この詩だけは、入れたいのです。
ほんとうに、個人的に大好きすぎて。
わかり辛かったら、ごめんなさい。
好きな人を、目の前でさらわれそう、というような内容の詩ではある。
あと、歌。
さみしい〜よるは〜
あな〜たに 会いた〜い〜
こない〜あな〜たを〜
おま〜ち〜は しない わ〜〜
天使の〜くちびる〜
わた〜しに ちょうだ〜い〜
あなた〜の 天〜使〜を
わた〜し〜が もらうわ〜〜
それは夜中の2時過ぎだった
ヘンな歌うたって千夏が沙耶ちゃんを
奪いに来た。
合い鍵で、ドアーを開けて、
うた歌いながら死に神みたいに真っ青な頰をして
目の焦点も合わず
私とは視線も合わせずに、
髪の毛は濡れていた
そういえば
外はつめたい雨が、さやさやと降っていたっけ
まるでロックオン済の獲物のように
一直線に沙耶ちゃんへ向かい
その腕を引っ張って引きずり起こし
そのまま私には目もくれず
沙耶ちゃんを両腕で軽々と抱え込み
滑るようにこの部屋から出て行く
『待ってッ!」
その声に反応し
一度玄関で立ち止まり、
今度は私の目を
殺したいほどの眼力で睨みつけ
『あなた〜の 天〜使〜を
わた〜し〜が もら〜うわ〜〜』
お読みくださり、誠にありがとうございます。
また、お会いできる日を、楽しみにしています。
でわ。




