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48)味噌汁をのんでしみじみいうのよねぇ
(短歌九首)
億劫な日々を過ごして三年目卒業式ではそれでも泣いてた
霜月に出て行った君の忘れもの小さな電気ストーブを出す
誤解だとわかっているけど優しさが私に愚かな期待を持たせる
去年とは違う師走を迎えつつ冷気を切り裂き自転車はゆく
去りぎわに浴びせし吾の暴言を消したし三日月尖りて眠れず
とりあえずビールみたいな手軽さであたしにキスして抱くなこのバカ
味噌汁をのんでしみじみいうのよねぇおふくろのより美味いという嘘
空き瓶が転がるワンルームの部屋で寝てる不幸だなんて知らずに
鉛筆を斜めに寝かしできるだけ優しい線で君を描いた




