63)灯(ともしび)
これが、私の好きな詩です。
でも、たぶんだけど、あまりにも私自身がこの詩のなかに入り込み過ぎていて、私以外の人が読むと、けっこう暑苦しかったりするのかなぁ、というような感想を持てるくらいは、冷静ではいるつもりだが、実際のところは、好きと公言している私が読んでも、暑苦しさは、否めない。
でも、好きなんだから、しょうがないやん。
と、あさっての方向見て、ヒューヒューヒューと、吹けない口笛、吹くわ。
傷つかない、振りするわ。
だから、その傷に、ふれないでね?
不器用だけど、純粋なヤツ、って目で見てくれたら嬉しいなぁ。
てか、お願いだから、そういう目で見て、よ。
(もっとしたたかに、いきたかったなぁ)
4月なのに、粉雪の舞うバルコニーから
この街を見下ろしてみる、
イルミネーションが灯るころ。
声を上げられない不幸で、闇だらけの街に
休みの日でも、変わらず、
でも、銘柄はお店と違って
お馴染みの安酒をかっ喰らって
酔っても 酔っても
ますます冷たく暗い眼になるばかりだ。
ふるさとのオレンジ色を思い出す。
あの幼いころから変わらずに
あたたかな掘りごたつの中は
あのころから 絶好の 最後の 隠れ家
そこでならあたたかい家というまぼろしの
純真無垢な幸せを感じられたかもしれない。
いまは、わすれた。
あまりに遠い記憶なので
嫌なあの人このととか、おもいかえせずに、
奇跡の思い出をかき抱き、そう思うのか?
どちらが幸せかなんて、ほら
比べられないていうでしょう?
光かがやく過去は夢の中の
思い出補正がかかっているみたい、
隣に住む水商売のお姉さん、
夜は華麗なおんなのふりして、
紙芝居のようなカサカサの衣装を
綺麗にシワ伸ばし、ピカピカに着飾って
都会の人もよいところはあるからさ。
ってさ。
私、バカ騒ぎしたいんだ 今夜も
心 ほんのり 酔わしてさ
夜空に浮かぶ
あれは、星座なの、酔っぱらいの星座なの?
ポツ、ポツ、ポツと 光っている
アメ玉を 舐めたいんだけれど
私の一番好きな家族を
秋田犬のタロも入れちゃって
あの田舎の家をさ
生まれてからずっと育ったあの山間の町をさ
なんで春一番が吹くころには
夢の世界のけがれのなさで、思い出すのかな?
駅のゴミ箱に捨てられた
新しいドーナツ店の紹介チラシ
あれ、割引券付きじゃないのかな、
なら、配ってもあまり意味ないですよ?
私、アメ玉を食べたいな、
チロチロ チロチロ 舌で転がしたい
でも私の食べたいアメ玉って
夜空に浮かんで ポツ、ポツ、ポツと 光っている アレ
闇に堕ちても道はあり
夜空にあっても手は届く
それが私がどうしても
欲しいといってる アメとドーナツ。
舞い散らかされたチラシの裏に
世界の抜け道が書かれているという噂は、
どこのお店でも通用しなくって、
月が照らす悲しみの量が違いすぎるから、
カシコイ 見て見ぬ振りとか するつもりかな?
どこにも ひとりだけで幸せになれる人は
いないこの街で星を見上げても
寂しさ降りしきるばかりさ。
(じゃ、ダメじゃん)
独り寝の寂しさに耐えられず、
ちょっとでも好きな人を
探そうとするなんて、
なーんか、不潔です?
(……ガ、ガキが。)
寂しいから、寂しいと言って、
なにがわるいんだよお。
(って、こっちも……ガキか?)
それにしても、それにしても、
あと少しスマートに、いきたかったなぁ。
(もっとしたたかに、いきたかったなぁ)
お読みくださり誠にありがとうございます。
またお会いできる日を楽しみにしています。
でわ。




