大事な出会い
まどの外をグッピーのむれがサッ、とよこぎりました。
グッピーたちの身体は日の光にてらされて、二人と一匹がいる部屋の中に色とりどりの光をちらしていきます。
男の子と女の子はかわりばんこにかんたに餌をあげます。
かんたはぴいぴいと元気よく鳴きながら餌をついばんでいます。
しばらくしておなかいっぱいになると、うとうとしだしました。
赤い目をしばたかせて、眠気にまけないようにがんばります。
かわいいひなは、ぴっ、ぴっ、と小さくなきながらついに夢の世界にいくのでした。
男の子と女の子は、それをいとおしげにながめます。
「だいぶたいじゅうもふえた?」
「うん、みるみる大きくなっていってるよ」
二人はかんたの成長するはやさにいつもおどろかされています。
かんたの卵は、女の子があずかったものでした。
きもちのいいある朝に、目がさめた女の子がまどを開けると、ばさばさと羽音がまいおりてきました。
朝日を切りとったかのようなすばらしい毛色、ぴんっとりっぱに天をさすトサカ、そしてまっかなほっぺ。
そのりっぱなオカメインコが、女の子のうでにとまりました。
「あら。鳥さん、おはようございます」
女の子は、あいさつをしました。
オカメインコはなにか言いたげなかおをして、きゅるると鳴きます。
じっと女の子が見ていると、そのオカメインコは女の子の手のひらまでおりてしっぽをふりふりしだしました。
そして、ぽこっと卵をうんだのです。
オカメインコは女の子のかおをじっと見て、ぴぃっ、とかんだかく鳴き、ためらうかのようにつばさを広げて、次のしゅんかんとびあがりました。
たかく、たかく、オカメインコはのぼっていき、ついに朝日にきえていなくなりました。
「あったかい」
卵からぬくもりを感じます。
とつぜんのことに女の子はびっくりしましたが、この卵を守ることにきめました。
しかし、オカメインコの卵を育てるのは生まれてはじめてのことです。
どうしようかと考えていると、大好きな男の子のかおがぽんっ、と頭のなかにうかびました。
男の子は鳥さんに詳しくて、お母さんと一緒に育てたことがありました。
女の子はいそいで卵を布にくるむと、ねぼけまなこで起きてきたお父さんにそれを見せて事情をはなしました。
すると、すぐにクッキーの小さな缶を見つけてくれました。
女の子は、われないようにそっと布にくるんだ卵を缶に入れます。
そして、いそいで男の子のもとへとむかいました。