ひとりじゃない
女の子は、てくてくと夢のなかをあるいていきます。
いつものように花のかんむりを頭にかぶせて、てくてくとあるきます。
女の子のさきをいくように、ぱたぱたと二匹の鳥さんたちがはばたきます。
ときおり、みちにある木々にとまりながら、じめんのはっぱをついばみながら。
女の子はあるきながら、男の子のことをかんがえていました。
夢からさめて、さきへとすすむだいすきな男の子。
泣いていないかな?
さびしがっていないかな?
わらっているかな?
でも。
いちばんの思いは、男の子にあいたい、でした。
涙がこぼれそうになると、オカメインコのかんたがかたにとまります。
そして、はげますように、女の子のほっぺにとさかあたまをあてて、
「ひよ」
となきました。
はんたいのかたにも、セキセイインコのもながとびのってさえずります。
「ぴ」
げんきをだしてね、とやさしく女の子のかみをくちばしでつっつきました。
ありがとう、とそっと鳥さんたちにおれいをいって、女の子はふたたびあるきだします。
涙をぬぐってまえをむいて。
ここは、おうちからかなりはなれたところにある木々のおいしげる森です。
たくさんの木が、あたりにはえていますがけっして暗くはありません。
こもれびが、きらきらと女の子のあるくみちをてらしています。
じめんはみどりのきれいなこけが、日のひかりであざやかなじゅうたんとなっています。
耳をすませると、水のさわさわした音がどこからかきこえてきます。
そして、木々のあいだを、たくさんの魚たちがおよぎまわっていました。




