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そして、春が来た  作者: 加護景
教会
21/33

幕間2


 失敗した。

 何も変えることができなかった。

 世界に色を、季節を取り戻すことができなかった。

 花も、草も、土も、すべては幻となってしまった。

 

 雪と氷で閉ざされた世界。

 もうここから出ることはできないのだろうか。

 ずっとこのままなのだろうか。

 神に抗うなど、無謀だったのだろうか。

 

 体が軋む。頭も働かなくなる。

 体の機能が停止する。

 バランスを失い、そのままゆっくりと道の上に倒れ込む。

 

 ちらちらと、雪が舞っている。

 舞い散る雪が体を覆っていく。

 このまま、雪と同化していくのだろうか。

 きっとそうなのだろう。

 このモノクロの世界の一部となるのだろう。

 そう思うと悔しくてたまらない。

 憎くて、憎くて、たまらない。

 

 せめて、もう一度、もう一度春を。

 写真に手を伸ばそうとする。

 しかし、もう手は動かない。

 花を……色を……春を……

 そのままゆっくりと意識をうしな……

 

 さくり、と小気味の良い音。

 新雪を踏む抜いた音だ。

 誰だろうか。

 呼びかけようと、声を出そうとするが、出ない。

 意識はあるのに体のありとあらゆる機能が働かない。

 金縛り状態だ。

 

 さくり、さくり、と新雪を踏む音は次第に大きくなる。

 やがて、ぴたり、と音が止む。

 

 あなたは……と呼びかける声。

 聞いたことがある声だった。

 まだ、終わりではないかもしれない……

 そう、心の中でほくそ笑んだ。



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