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異世界行ったら健康体  作者: 宮村
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 そしてふたつめである。どうやら属性攻撃を続けると、その属性の魔法威力が上昇していくらしいのだ。


 らしい、などとなんとも情報が曖昧なのは、実際に試すことが出来ていないせいである。現時点でミツキの所持魔法は水系統のみで、破魔系の魔法はひとつも習得していない。その為威力が上がっているかの確認が出来ないのである。


 ちなみに闇属性→呪殺系魔法、聖属性→破魔系魔法になるらしい。



 水分補給の休憩がてら、ミツキは未習得スキル一覧を流し見する。


(あー…、破魔系魔法、あるなぁ)


 いつの間にやら習得可能状態になっていた。


 ただどんな効果なのかは不明である。確認出来るのは破魔魔法Lv1、の表記のみである。鑑定しても、破魔魔法が使えるよ!くらいの情報しか出てこない。


(そう言えば、水魔法のレベル自体は上がってるけど、スキル習得ってしたことなかったなぁ)


 そもそもミツキにとって水魔法は喉を潤したりシャワーを浴びたりするだけのもので、それでモンスターを攻撃しよう!などという発想にはこれっぽっちも至っていなかった。


(でもこないだみたいなこともあるし、少しは使える魔法がないとこの先不便なのかなぁ…)


 あれ、そうなるとまず水魔法のスキルを習得すればいいの?それとも破魔魔法をとりあえず使えるようになるのが先?


(わ、わからん…)


 一体何が最優先事項なのか、さっぱりわからない。ミツキは思わず頭を抱えた。スキルポイントだって有限ではない。幻視スキルのように大量のスキルポイントを消費するスキルがこの先必須になる可能性だってあるのだ。


 そもそもミツキの魔法適性はそれほど高くない。対して実にならないものに時間と労力をかけたくない、というのがミツキの本音である。


「こういう時、誰かに相談できたらな…」


 ぽつり、とそうこぼす。反射的に浮かんだのはユーリの顔であったが、ぶんぶんと頭を振る。無意識に頼ってしまおうとしている自分の弱い部分を垣間見たようで、ミツキは少しだけ嘆息する。


(なんでもひとりで、出来るようにならなきゃ)


 実際は、誰かの手を借りて生きて行くのは仕方のないことである。けれど、気構えはあるに越したことはない。


 ミツキは出来るだけ、自立した生活を心がけたいと思っていたし、またそうありたいと願っていた。


(時間やお金をたっぷりかけてもらった。病気には勝てなかったけど、きっと私は幸せだった)


 だから、というわけではないが、今生ではあまり人に頼った生き方はしたくないと思っていた。家族が自分の為に使ってくれたお金と時間は、きっと有限のものだった。この世界にきて、ミツキは殊更にそのことを実感していた。


(自分の時間を犠牲にして、私への時間を作ってくれていた。それはきっととても特別で、大変なことだったに違いない)


 だって今自分は、自分のことだけで限りなく精一杯なのだ。自分の時間を自分の為だけに使っているはずなのに、こんなにも毎日はあっという間に過ぎて行く。

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