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異世界行ったら健康体  作者: 宮村
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「とりあえず、こんなもんかな」


 素早さに+10、運に+20、魅力に+20を振り分けで、ミツキはふう、とため息を吐く。


 あまり深く考えた上での結論ではないけれど、今のところはこれでよしとしておこう。


 魔法系の能力にも惹かれる部分はあるけれど、なにせMPが少ない。一応水魔法なるスキルは所持しているようだから、使えないことはないのだろうがすぐにガス欠になるだけだろう。



「ああ、そうだ。他の習得できそうなスキルも見ておかなきゃ」


 安易な判断は危険だが、生活に直結するようなスキルがあればすぐにでも欲しい。


 鑑定を習得しただけなので、残り使用可能なポイントはまだ9900もある。全部使ってしまう気はないけれど、ある程度は惜しみなく使う勇気も必要だろう。


「えーっと…」


 じっと目を凝らしてウインドウを見ていく。


(やっぱり、ヴェルナーの時とは並んでるスキルが違うなぁ)


 種族の違い、能力値の違い、まぁ色々影響はあるだろう。


 だが一緒の部分も少なからずある。


「食料調達や薬草採取は、こっちにもあるなぁ」


 自分でも習得しておいた方が無難だろうか、とも思う。が、その下、ヴェルナーの時には空欄だった箇所に、見覚えのないスキルを見つけた。


「アイテム採掘…」


 これは、とミツキは思う。もしかしなくとも、これはアイテム生成に必要不可欠なスキルではなかろうか。


(アイテムを作るにも、材料が必要だもんね)


 花冠の時は偶然だった。編み方を知っていたのも、咲いていた花を使ったのも本当にただの偶然だった。


 けれどこれから先もアイテム生成をしていくのなら、他の生成方法や材料、材質の知識なども必要となってくるだろう。その為には何はなくともまず材料の確保である。


「これ、決定」


 習得必要ポイントは200である。うん、まだまだ余裕。



 ミツキはさらに目線を下へと滑らせる。


「コイン入手率上昇…?」


 これもヴェルナーの時にはなかったスキルだ。


「コイン…お金、ってことかな」


 そういえば、とミツキは思う。アイテム一覧のところに、それらしい項目があったような気がする。


(こっちの通貨って、なんて呼ぶんだろう)


 ミツキの目にはすべて日本語に見えている。だが、他の人たちにとっては果たしてどうだろう?


 こればっかりは、他の人間に出会わなければ確認のしようがない。


 鑑定スキルを手に入れたとはいえ、まだレベルは1である。知り得る情報もまだまだ少ない。


(今の状態のまま他の人と会話をするのは、どう考えても危険な気がする)


 早く誰かに会いたいと思っていたけれど、出会ったその人が良い人なのか悪い人なのかの判断も、今のままでは出来ないだろう。


(だって、嘘を吐かれても、私にはきっとわからない)


 幸いヴェルナーが傍にいてくれる。危険が及べば助けてはくれるだろう。だがいかんせんヴェルナーとは意思の疎通は出来ても会話は出来ない。いや出来るっちゃ出来るけど、ミツキの知りたい情報をすべて聞き出すことはさすがに困難に思えた。


(喋れないんだから、無理ないけど)


 意思の疎通がとれるだけマシである。多くを求めてはいけない。



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