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「鑑定…」
これだ、とミツキは思う。これ習得しとけば、とりあえず説明とか出てくるんじゃない?
ミツキはすぐさま自分の残りスキルポイントを確認する。10000!?ま、まぁいいや、これだけあればいくらなんでも足りるだろう。
「えっと、習得に必要なのは……100!?たったの?」
こんなに少なくていいのだろうか。若干肩透かしを食らった気分である。
(…まぁでも、元からこの世界にいる人たちにとっては、そんなに必要なスキルでもないってことなのかも)
予備知識があれば、別にいちいち鑑定のスキルを使わずとも、生活していくのに支障はないのだろう。
何はともあれ、少量のポイントで鑑定スキルが手に入るのはありがたい。ミツキは早速鑑定を習得することにした。
“鑑定 習得にスキルポイント100が消費されます。 習得されますか”
またあの癇に障る声が聞こえてくる。ミツキは出来るだけ心を無にして「はい」と答える。
“鑑定 習得しました”
声が止むのを確認してから、ミツキはすぐに鑑定スキルを使う。MPを確認したが減っている様子はない。鑑定スキルにMPは消費されないらしい。とってもありがたい話である。
「えっと、とりあえず…」
自分のステータスを鑑定してみることにした。
HP……ヒットポイントの略。肉体面の残容量を示す。ゼロになると死に至る。
MP……マジックポイントの略。精神面の残容量を示す。ゼロになると気絶し回復するまで目覚めない。
物理攻撃力……物理での攻撃によるダメージ力に影響。
物理防御力……物理での攻撃によるダメージ軽減に影響。
魔法攻撃力……魔法での攻撃によるダメージ力に影響。
魔法防御力……魔法での攻撃によるダメージ軽減に影響。
素早さ……攻撃速度の上昇、回避率の上昇に影響。緊急時の逃走にも影響。
器用さ……攻撃命中率の上昇に影響。あらゆるアイテム生成の成功率に影響。
運……状態異常付着率の回避に影響。
魅力……状態異常付着率の上昇に影響。
自動HP回復……自動でHPが回復する。レベルが上がるごとに回復速度が上昇、回復量増加。
アイテム生成……アイテム生成が可能になる。レベルが上がるごとに成功率上昇、生成アイテム量増加。
水魔法……水の祝福を得る。レベルが上がるごとに高位の水魔法を使えるようになる。
毒耐性……毒攻撃による耐性が上昇。
「うーん…」
なんていうか、予想の範疇、といったところである。
けれど有益な情報もあった。
「状態異常付着率…かぁ」
これは、どういう意味だろう。
(精神攻撃とか、精神汚染的な?それとも風邪とか、そういうレベルの話なのかな…)
よくわからない、とミツキは思う。もし後者なら、運を上げておけば風邪や病気に罹る確率がぐんと減る、ということなのだろうか。
(でもそれなら魅力って…)
こちらは状態異常付着率の上昇、とある。ということは、やはり攻撃にのみ有効なのだろうか。
(それとも誘惑とか、魅了とか、そういうこと?)
確かに美男美女を前にすると、ある種の緊張状態に陥る。それもある意味状態異常と言えば、そうなのかもしれないが…。