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異世界行ったら健康体  作者: 宮村
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8

「ふー、お腹いっぱい!」


 口の端についた果汁を舐めとり、ミツキは満足げな吐息を漏らす。こんなに食べ物が美味しいと感じたことは、今までなかったかもしれない。


(これってそもそも、美味しい果物だったのかな?それとも私の体が健康だから、殊更美味しく感じるのかな…?)


 生前のミツキは小食だった。というのも薬の副作用で常に吐き気に悩まされていたせいである。


 少し食べては戻し、を繰り返しているうちに食事の時間が苦痛に感じることさえあった。


 それが今はどうだ。何を食べても美味しく感じる。食べることがこんなに楽しいだなんて、ミツキは今まで知らなかった。


 やっぱり健康って素晴らしい…!とミツキは幸せをかみしめる。いろいろ思うところはあるけれど、やはり自分の選択に間違いはなかったのだと、今なら確信をもって断言できる。


 だってミツキは、こんな瞬間の為に、今まで生きていたのだから。






「さてと…」


 お腹も膨れたことだし、次はやはりこれだろう。


 ヴェルナーを撫でながら、隣に浮かぶウインドウに目を凝らす。


 さて、先ほどと違いはあるだろうか。


「お、MPが減ってる…」


 さっき見た時は満タンだったMPが、40ほど減っていた。


「えっと他には…」


 ざっと見たところ他にステータスの変動は見られない。ということは、食料調達のスキルを使うには今のところ40のMPが必要というわけだろうか。


「これってどうやって回復させるのかな…」


 回復方法を知っておかなければ、そう頻繁に食料調達を頼むわけにはいかない。今回の調達で食べきれなかった分はまたアイテム化して持っていてもらうとして(しまっておいて、と言ったところ煙のように消えたのでした…)、食料の名前なんかも覚えておく必要があるだろう。


(こういう時、メモとかできたら楽なんだけどな…)


 あいにく紙もペンもスマホもない。頼れるのは己の記憶力のみである。


「ま、最初からなんでも上手くやろうとしちゃダメだよね」


 出来ることからコツコツと、がモットーのミツキであった。



「あ、そう言えばこのスキルポイントってなんだろう」


 ミツキはウインドウのいちばん下に書かれている箇所に目をとめて考える。


 普通に考えれば、スキル習得に必要なポイント、ということになるだろう。


(こういうのって、大抵レベルがあがる時に加算されるものだよね?)


 そしてそれらはプレイヤー自らが必要と思うスキルを習得する際に消費されるものである。と、いうことは…


「どこかに、習得できるスキルの一覧とか、ないのかな…?」


 全部じゃなくても、現時点でのレベルで習得可のものがあるなら、確認しておきたい。


 ミツキはうんうん唸ったあげくに、「スキル習得一覧!」と叫んだ。


 すると、またしても画面が切り替わる。「おおー!」と心の内で歓声をあげつつ、ミツキは食い入るようにそこに浮かんだ文字に見入った。



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