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海賊GAME  作者: niyuta
乙女の野望
66/73

まずやるべきは削りあい

なんだ?このゲームは?


なぜ、難破した?由紀とはぐれてしまったでは無いか。


私は暗闇の中、軽く頭を振る。少し海水を飲んだのか、胃のあたりが気持ち悪い。


あれ?私はベッドに寝ているのか?なぜ、ベッド?


「気がつきましたか?」


女性の声がする。


私がそちらを見ると美しい女性が私を見ていた。


美しいと言っても由紀の可愛らしさにはかなわないが……


いや、念の為に言っておくと由紀の可愛らしさと言うのは、見た目の可愛さでは無い。何をしでかすか分からない破天荒さが彼女の魅力の一つだ。誰かが守ってあげないといけない気分にさせられる。


「お加減はいかがですか?」


女性は心配そうに私に声をかけてくる。


どうもこの女性が、遭難した私を助けてくれたようだ。


「ありがとう。大丈夫です」


さて、どうしたものか?まずは由紀を探さないといけないな。


「私は海岸にでも、うちあげられていましたか?」


「はい」


私を助けてくれた女性は儚げな感じの美しい女性だ。由紀の十分の一の元気も無いように思える。


「近くに私と一緒に誰か人が、うちあげられていませんでしたか?」


私は儚げな女性に聞いた。


「……いいえ」


女性は小首を傾げて答えた。


まさか、由紀とはぐれてしまうとは……一人プレイでは、こんなゲームやる価値は無い。


ゲームを終了してしまおうか?


しかし、それでは私は由紀の部屋で一人ぼっちになってしまう可能性がある。


おそらく、由紀は私とはぐれてもかまわず、【海賊GAME】を続行中のはずだ。


つまり、私だけゲーム終了して目覚めても由紀はまだ寝ているわけだ。


……これは、ゲームの中で由紀を捜すしかないな。


「仲間とはぐれてしまいました。私はその人を捜さなければいけません」


「そうなんですか……」


「まず、ここはどこですか?」


「ここはアーガルと言う港町です」


うむ、現在地が分かっても由紀の居場所は分からない……と。


「地図はありますか?」


私は女性から地図を借りて現在地を確認する。


難破した船に一緒に乗っていたのだ。そう離れた場所には流されていないだろう。


私は由紀を捜すためにその儚げな女性に別れを告げると女性はこう言う。


「今は真夜中ですよ。朝になるのを待たれた方が良くはないですか?」


私は迷う。確かに普通であればそうだ。しかし、これはゲームの中。ゲームの中で何もせずに朝を待つと言うのはどうだろう?


時間がもったいないな。


「いえ、仲間のことが気になりますので……」


女性は私を引き止めるが、私としては早く由紀と合流しないと心配だ。


女性はなおもしつこく私を引き止める。しかし私は強引に部屋を出た。


怪しいな……


私は思う。こうまで見ず知らずの自分を心配して引き止めるのは逆に怪しい。


誰かの差し金か?


私は自分の武器を握りしめる。自分が眠っている間に武器を取り上げないところをみると、それ程の悪意は感じられないが……


私が女性の家を後にして道を歩いていると、急ぎ足で走る三人の男達とすれ違った。


こんな夜中に人とすれ違うのには何か違和感を感じる。


私は物影に隠れて、その三人がどこに向かうのか後をつけた。すると案の定、その三人は私が今出てきた女性の家に入って行く。


女性がどこかに知らせたのだろう。しかし三人組はこの【海賊GAME】の世界での警察が着そうな服装では無かった……


……つまり他のプレイヤーの子分か?


このゲームの最終目的は分からないが、最初にやるべき事は削り合いだ。


他のプレイヤーを潰した時のメリットが大きい。まずは他のプレイヤーをゲーム・オーバーにして自分の力をためた方が良いだろう。


女性の家から慌てて出てきた三人組は、道をこちらに向かって走って来る。私は物影でじっと息を殺した。あたりは真っ暗闇だ。そう簡単には見つからないだろう。


走ってきた三人組は私の目の前を通り過ぎて走り抜ける。私はこっそりと三人組の後をつけて走った。


しばらく走って町をウロチョロとしていた三人組だが、そのうちに諦めたのかトボトボと歩き出す。


私を探しているのだろうが見つかる訳が無い。私は彼らの後ろをついて歩いているのだからな。


三人組は多分、海の方に向かって歩いているようだ。風の匂いでなんとなく分かる。


自分達の船に戻るつもりなのだ。そこには他のプレイヤーがいる可能性が高い。


この【海賊GAME】にはプレイヤーでない海賊の船長も多くいるようだが、私を捜索していたという事は、あの三人組の親分はプレイヤーのはずだ。


ゲームのキャラクターがワザワザ私を探す理由が無い。


三人組が港に着くと、そこは静まりかえっていた。波の音だけが闇に響いている。


三人組は小さな小舟を漕いで自分達の船に戻っていった。


「だいたいの場所は突き止めたな」


私は遠くからその光景を眺めながら呟いた。


どうせ、由紀とははぐれてしまったのだ。早く合流したいところだが、そう簡単には再会出来ないだろう。由紀と再会するまでに、ボーナスポイントでも稼いでおくか。


私にはあの能力がある。そんじょそこらの奴には負けないだろう。


私は三人組の親分を返り討ちにすることに決めた……

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