美形!キター!!
周りのオジさん達はみんな、私を見る。
え、え、えっ?みんなどうしたのかしら?凄い注目……
「かーはははっ!お前かぁ!?」
お兄さんは私を見て笑っている。
「お前がパウルをやったのか?」
かっこいいお兄さんだけど、ちょっとガラが悪いし、恐い……
「はい、私です」
「……」
お兄さんは少し考えると私に言った。
「お前、俺と勝負しろ」
え、え、え?なんで?なんで、いきなりそうなっちゃうの?
お兄さんは私に剣を向ける。
えっ、どうしよう?
周りの見物客のオジさん達は遠巻きに私とお兄さんを見ている。
あれ?さっきのオジさん達二人は?いなくなっちゃったわ。
お兄さんは剣を構えて、少しずつ私に近づいて来る。
やだ……恐い……
助けて……凜……
……どうしよう?逃げる?あの能力を使えば逃げられるかしら?
私がオドオドしていると……剣を構えてお兄さんはこちらにドンドン近づいてくる。
私がガタガタと震えていると、目の前に立ったお兄さんが言う。
「容易い!」
そしてお兄さんは剣を振り上げた!!
私は特殊能力を発動しなければいけないと焦るけど……
お兄さんの剣が振り下ろされる!!
キッーンッ!!
あれ?お兄さんの剣を誰かが弾いた!?
も、もしかして凜?
私が剣を弾いた人を見ると、凜では無かった……
誰かし……
どきゅーん!
出たー!!キタッー!!!!
美形!!キタッー!!!!
私を助けてくれたのは、すっごい美形の男の子だったの!!
私に剣を振り下ろそうとしたお兄さんは、美形の男の子を見て叫ぶ!!
「なんだ!?てめー!!」
すると美形の男の子は言ったの。
「僕が相手だ」
きゃー!!かっこいい!!正義の味方だわ!!
「はっはー、俺に勝てると思っているのか!?」
恐いお兄さんは美形君に攻撃をする。
ギンッ!!
「くっ!!」
キュッイーンッ!!ギンッ!!
美形君はどうにか、恐いお兄さんの攻撃を弾くけど、お兄さんの方が強そう。速いし、力もありそうだし。
ギンッ!キュッイーン!!
「くっ!!」
まずいわ。美形君が苦戦してる?
ど、どうしよう。私を助けようとして……
あ、あの能力を使って美形君を助けないと……すると、遠くの方から声がする。
「あ、あっちです!」
警察かしら?
私が声のする方を見ると……
最初に恐いお兄さんとケンカになりそうだったオジさん二人だった。
いつの間にかいないと思ったら誰かを呼びに行ってたのかしら?
「今、ベルンさんが相手してるあいつです。ジークさん」
どきゅーん!
あらあら、まあまあ。また出たわ!ハンサム!!凄いじゃない!やるじゃないの【海賊GAME】!!クリエイターさん、頑張ってるわね!!
「ベルン!大丈夫か?よくやった!後は任せろ!!」
あら、まあ!こちらの超美形な男の子と、あちらのハンサムな方は知り合いなの!?
いいわ!!夢広がるわ!!
ギンッ!!
ハンサムさんは恐いお兄さんに、ヘンテコな剣で攻撃をした。
「ブルグンはまだかっ!?」
ハンサムさんは、自分をここに連れて来た恐いオジさん二人に聞く。
「まだ、あそこに!」
ガラの悪いオジさんの一人が、ハンサムさんのやって来た方向を指差して言った。
遠くの方に、こちらに向かってドタドタと走ってくる人影が見える。
「ジークさーん。待ってくださいよー」
遠くの方から聞こえる。またハンサムな人がやってくるのかしら?
私がワクワクして待っていると……
待っていると…………
はいっ!!ブッブゥッー!!
そう何人もハンサムは続かないか。
残念なお顔ね。
そのお顔の造作の良くないおデブなオジさんは汗をダクダクとかきながら、こちらに走ってくる。
「ブルグン!!お前は周りを警戒しろ!!一人で行動しているとは思えん!!」
「はいっ!ジークさん!」
おデブなオジさんはハンサムさんに返事をする。
「ベルン!お前は俺の援護だ!!」
ハンサムさんは、そう言うと恐いお兄さんに連続で攻撃を繰り返す!!
「ジークさん、そいつはたぶん、イカれ海賊のロイトです」
「毎回、思うが、そんな事言われても知らねえよ!」
ギンッ!!
恐いお兄さんとハンサムさんは何度も火花を散らして剣と剣で戦う。
かっこいい!!凄い迫力!!
周りの見物客の人達は、数人を残してみんなどっかにいってしまった。大事になってきたので、とばっちりを恐れたのかしら。
「ジークさん、ロイトの子分らしき奴らがいました」
おデブさんがハンサムさんに言う。
「よーし、ブルグン!!そっちは任せた!!叩き伏せろ!!」
おデブさんは四十歳くらいのオジさんなのに、ハンサムさんの方がえらいのかしら?
「お前っ!!最近、吹き上がってる、不死身のジークって海賊だな!?」
恐いお兄さんがハンサムさんに言う。
「違う!!俺は断じてジークという人物では無い……」
「……」
「……俺の名はデブッチョ海賊ブルグンだ!!」
ハンサムさんは威勢良く言う。
「ジークさん!ひどい!!騙りだ!それに俺にはデブッチョなんて通り名無いし!!」
おデブなオジさんが心外そうな声で言う。
「こいつの子分達が復讐に来たら恐いじゃねえか」
このハンサムさん、案外、卑怯……
「復讐になんか来ねえよ。お前はここで死ぬんだからな」
恐いお兄さんが凄みながら言う。
「お前の為にも、そうある事を……願いたいねっ!!」
ガッツィーン!!
ハンサムさんは余裕の表情で言う。