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海賊GAME  作者: niyuta
乙女の野望
60/73

それは私です

ここはどこなの?


凜は?


まだ、ゲームは続いているの?


もうっ!!いやになっちゃう!!


なんなのこれ!ありえないでしょ!!船が難破なんて!!


……ここはどこかの海岸かしら?


目を覚ました私が周りを見ると、そこは何も無い浜辺だった。


乗っていた船が沈没して、私はここに流されてきたようだ。


あ、どうしよう!ケータイ濡らしちゃった!?


私は慌てて、ポケットに入れたケータイを取り出して画面を見る。


「あ、動く」


良かったわ。ケータイは壊れて無いようだ。


しかし、ここはどこなの?あたりは真っ暗だから何も分からない。


どうしよう?一度、凜を捜したほうがいいわよね?


私は服に付いた汚れを払って、遠く明かりがトモる方向へと歩く事にした。


真夜中なのか、あたりは真っ暗だけど、私は少しでも明るい方を目指して歩く。


あら、あそこに騒がしそうなお店屋さんがあるわね。


私はゲームの中とはいえ、こんな夜中に、そんな騒がしいお店に入るのは少し怖く感じた。しかし、私にはあの能力があるから大丈夫よね。


私はお店の扉をあけて中に入る。


ここは酒場というところね?店内には肉体労働者のような人達がたくさんいてお酒を飲んでいた。


私はテーブルの一つに座る。


どうしよう?まずは、凜を探さないといけないわよね。どうすればいいかしら……


簡単なのは、いったんこの【海賊GAME】を終了して現実世界で直接、凜に会って、どこにいるのか聞く事だけど……でも私自身がどこにいるのか分からなければ合流のしようがないわよね。


「ご注文は?」


ひゃっ!


いきなり声を掛けられ、私はびっくりして飛び上がる。そうで無くても周りは恐そうなオジさんばかりで緊張しているのだ。


「……えーと、ご注文は?」


もう一度、ウエイトレスさんは私に聞いてくる。


私はウエイトレスさんの方を見てびっくりする……


胸デカッ!!


えっ!?アリなの!?こんなの!


「……お客さん、見過ぎですよ」


ウエイトレスさんは、苦笑いをしながら私に言った。


綺麗なヒトだ。唇の下に小さなホクロがあるのが、また色っぽい……


「あ、すいません……余りに大きいので……」


私が言うとウエイトレスさんは困った顔をする。


「……ところで、ご注文は?」


「えっ、あ、じゃあ、オレンジジュースを」


するとウエイトレスさんは今度は変な顔をして私を見る。


あ、あれ?酒場だからジュースは置いて無いとか?


「オレンジジュース?オレンジジュースっていうのは無いけど、レモネードでいい?」


「あ、はい」


良かった。優しいウエイトレスさんで。


私が周りをキョロキョロしていると、周りのオジさん達も私を少し気にしているようだった。


そんなにジュースを頼んだのはおかしかったかしら?


レモネードはすぐに運ばれてきた。どうしよう?ここはどこですか?と聞いた方がいいかしら?しかし、こんな酒場でジュースを頼んだから、周りの人は私の事を変に思っているわ。


これ以上、変に思われてもいけないかしら?


私はウエイトレスさんに、ここはどこですかと聞くのを止める。


でもこのヒト凄い綺麗だわ。この【海賊GAME】のクリエイターさんはかなり期待出来そうね。


これなら、私の求めている人材に巡り会えるかも。


私が求めている人材とは……


……超美形な男の子!


そう、私はこの【海賊GAME】を、私の趣味を満たしてくれるキャラを探す為にやっているのだ。


私がこれからどうしようか迷いながら、レモネードを飲んでると……


「聞いたか?あの、パウル・ハウゼンがやられたんだってな」


「ああ、聞いた、聞いた」


隣のテーブルのおじさん達の噂話が聞こえてくる。


パウル・ハウゼンて、えっ、あの海賊のこと?


「まさか、信じられないよ。どこの誰が……」


え、え、え!?あの恐い顔のオジさん、有名な海賊だったのかしら?


この人たちに、私と凜がやっつけたって教えてあげた方がいいのかしら?


でも、こんなガラの悪いオジさん達に話しかけるのは、ちょっと恐いかも……


隣のテーブルでパウル・ハウゼンの噂話をしている、そのオジさん達は私から見てちょっと恐そうなお顔だった。


私がいろいろ考えていると……


「おい、そのパウル・ハウゼンを倒したのは、どこの誰か知らねえか?」


隣のテーブルのオジさん達に、どこからかやってきた、少しかっこいいお兄さんが話しかけた。


「誰だよ。お前?」


隣の二人組のオジさん達は、楽しくお酒を飲んでいる最中に、いきなり話しかけられて凄い不機嫌そうになっている。


「俺の事はいいよ。知ってるのか、知らねえのか、早く答えろ。他の奴に先越されるじゃねえか」


え、え、強気なお兄さんね。恐くないのかな?ガラの悪そうなオジさん達だけど……


「俺たちは今、楽しく酒を飲んでるんだよ!痛い目見たく無ければ消えろ!」


お兄さんの表情が変わる。


「ああ!?ちょっと聞いただけだろうが!!なんだ?痛い目って?やろうってのか!?」


え、え、え?ケンカが始まっちゃうの?いや、どうしよう?巻き込まれたりしないわよね?


「表に出ろや!!」


オジさんの一人が言う。


「おお、相手してやろうじゃねえか!!」


ガラの悪そうなオジさん二人はお兄さんを挟むようにして表に出る。


すると店内でお酒を飲んでいた他のオジさん達もゾロゾロとついて行く。


みんなケンカを見物に行くようね。


どうしよう?みんな着いて行っちゃったわ。


私だけ店内に残るのもおかしいかしら?


私は仕方無く、皆に着いて表に出る。


お店のすぐ目の前ではあのお兄さんと、ガラの悪いオジさんの二人が睨み合っている。


そしてその周りを見物客の人達がズラリと囲んでいる。


私は後ろの方でそれを見ていた。ならず者同士の決闘?これもこのゲームの醍醐味なのかしら。


「兄ちゃん、人が気持ち良く飲んでる時に絡んでくんじゃねえよ!!」


オジさん二人は太くて短い剣を構えて叫ぶ。


「うっせえよ!!ただパウルを倒した奴を知ってっかって聞いただけだろうが!?」


お兄さんは剣を構えて、余裕そうにニヤニヤと笑ってる。


「そんなのどこの誰だか知らねえよ!自分で探せよ!」


私が、「そのパウルを倒したのは私です」って名乗り出たら、このケンカはおさまるのかしら?


「ちっ、役に立たねぇな。でやるのか、やらねえのか?どっちだ!?」


お兄さんが威風堂々と言う。相当、強いのかしら?あのお兄さん。二対一なのに全く怖じ気づいた感じがしないわ……


「やってやろうじゃねえか!」


二人のオジさんは姿勢を低くして剣を構える。そしてお兄さんに近づいていく。


するとお兄さんは呟いた。


「く、く、く。無敵モード発動」


発動?あの人もこのゲームをやってる人かしら?


あの能力を使えるのかしら?


だとしたら、あのオジさん二人はやられちゃうんじゃ無いの?それはかわいそうね……


パウルを倒した人が分かればケンカはしないのかしら?名乗り出た方が良さそうね。


「パウルを倒したのは私です!」


私は右手を大きく上にあげてみんなに聞こえるように言った。


すると、あの強気なお兄さんが私を見てニヤリと笑ったような気がした……


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