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海賊GAME  作者: niyuta
海賊の生活
28/73

大型ルーキー!カナエ!!

カナエ、それにしても素晴らしい新人が入ってきてくれたものだ。


この【海賊GAME】はいかに良い人材を集められるかが勝負の鍵を握る。


理由は海賊行為による略奪品がほぼ平等に分配されるからだ。


いきなり中央突破を試みて、相手の矢の雨をカトラスで弾きながら必死に戦うブルグンの子分達も、ほとんど観客気分で後方から見ている新人の仲間達も取り分が一緒なのだ!


平等と言う名の、なんたる不平等だろうか?


つまり、有能な人物による少数精鋭が一番良い事になる。能力が低くあまり働かなくても、一人分の取り分を持っていくからだ。


その点、カナエは良い!かなりの働きをするのに、他の者と同じ取り分しか持っていかない。


もっと正確にいうなら、皆、完全に取り分が一緒というわけでも無いようだ。


まず、俺は皆の二倍近い取り分がある。


そして生意気にもブルグンも少し皆より取り分が多い。


自分が分配役であるのをいいことに勝手な横領かと思い、一度指摘した事がある。


するとブルグンの奴!!


「自分は航海長の役割をしてますので、他の者より取り分が多いのは当たり前」と言いやがった!!


なんだ?コーカイチョーとは!?ほかにもコウハンチョウがどうとかと言っていたが、船乗りの専門用語で来られると俺は弱い。


まあ、ブルグンなら人より多く取っても良いと俺も思っているので、その場は引き下がった……


「すごい!バッチリだ!!」


しばらくしてまた、ブルグンの大声が聞こえる!


俺も船の上では、何もする事が無く退屈なので、ついつい聞いてしまう。


「どうした!?ブルグン!」


俺が近づくと、ブルグンは船首から前方を指差して言う。


「見て下さい!ジークさん……」


俺はブルグンの指差した方向を見る!すると遠くに陸地が見えた。


「あれがどうした?」


「……陸地です!」


「……」


ああ、陸地だ……それで?


「……」


「……」


ブルグンは海図を広げて覗き込んでいる。


「……ブルグン?」


「……」


「ブルグンさん?」


「えっ?なんです?ジークさん」


「……」


えっ?えっ!?ええっ!?


どういう事だ?俺はおかしくなってしまったのか?


最初、ブルグンが「すごい!バッチリだ!」と言って……


俺が……


「ジークさん!ボーッとして無いで、これを見て下さい」


ブルグンは俺の目の前に海図を広げる!


そして陸と海が交わる、ある一点を指し示した!


「ほら、ここ!俺たちここに出てきました」


「さっきカナエが予想した地点がここです。そしてまっすぐに、北上してここに着いたんです」


ズレてるじゃねえかっ!!


俺から言わせりゃ、かなりズレてる!!


この海図の縮尺がどれくらいのものか分からないが、案外ズレてるぞ!!


「かなり正確でしょ!?」


なんだとっ!?こいつは頭があまり良く無いのか?ズレまくりではないか!!


こんな奴にコーカイチョーというのを任せて良いのか?


「すごい奴ですよ!カナエは!」


カナエと組んで、俺をたばかってるんじゃ無いだろうな?


いったい、こいつらはどれだけ経度を測れないのだ!!よもやそこまで経度についてグダグダだと、わざとしか思えん!!


早速、ブルグンは仲間に指示を出して船を転進させた。


「おい、おい。せっかく現在地が分かったのだから、もっと陸沿いを行けばいいんじゃねえのか?」


「……ふー」


えっ!?今こいつため息をつかなかったか!?


「あのですね。この俺たちが乗る船は中型のスループ船です」


「ああ……」


「そしてこの辺りの陸近くの海は浅瀬や岩礁が多いんです……」


そういう事か。


ブルグンはまた得意の海図を出して来る。


「……だから、この場所からイースラント港に行く時は、このルートが最適です」


ブルグンは海の上に道でもあるかのように、海図の上に指を走らせる。


ああ、そうですか!!勝手にやって下さい!!


今度、ブルグンが寝ている時に、この海図を燃やしてやる!!


俺が一人イライラしていると、マストの上の見張りが叫ぶ!!


「前方に船を発見!!」


なんだとぉ!?


獲物か?


俺が今いる場所が船首だが、前方に船など見えない。まだまだ肉眼で見える距離では無いようだ。


「ジークさん、これを!」


ブルグンはそう言うと、望遠鏡を俺に渡してくる。


それを受け取った俺は望遠鏡を覗き込んで探すが、見張りが発見したという船はなかなか見つからない。


うん?あれか!?


まだかなり小さい!


望遠鏡でようやく見えるかどうかだ。


もうすぐ、イースラント港に着く。最後に一仕事するか……


俺が考えていると、その船はこちらから見て左に進路を変えつつある。俺たちに気付いたようだ。


しかし、こちらはまだジョリー・ロジャーを掲げてはいない。


少し気が早すぎるような感じがするが……


俺は望遠鏡を覗き続ける。船は方向を変えようとしても、すぐにそちらに進める訳ではない。


今、お互いの船は真向かいを向いて近づきつつある。


うん?カラフルだ!?甲板の上がカラフルである。ピンクや赤やら!あれは女性のお召し物では無いのか?


あの船にはたくさんの女性が乗っているぞ!!

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