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海賊GAME  作者: niyuta
海賊の生活
27/73

ブルグン、経度を測定する

そもそも、この木片はなんだ!?


それなりに大きな木片だ!これで太陽の高さを測るとか!?


……全く分からん!!


今更だが、こいつらの言っていた経度とは緯度・経度の事だよな?


緯度は確か……赤道から北に何度か、南に何度かが緯度だ……確かそうだ。


経度は……確か……どっかを基点にして東に何度、西に何度というのが経度だ……では、なんで木片!!


ジョークか!?これはブルグンのジョークなのか!?


俺は頭をフル回転させる!!学校の期末テストでもこんなに真剣に考えた事は無い!!


……しかし、分からない。


どうしても経度と木ぎれが結びつかないのだ!!


「ブルグン!逆に聞こう!!」


俺は堂々と言う!


「あ、はい」


そしてブルグンは真面目に返事をする。


「お前こそ経度の測定の仕方を分かっているのか?」


「なっ!ば、馬鹿言わないで下さいよ!ジョークさん」


「ジークだ!ジーク!」


「こっちは何十年、海で生活していると思ってるんですか?経度ぐらい測れますよ!!」


その割には、カナエが経度を測定出来ると知った時、感動してたではないか!?


「じゃあ、見てやるよ!俺が!」


「えっ?」


「お前が本当に経度の測定の仕方を知ってるか見てやる」


俺は余裕の表情で言う。


「……分かりましたよ。やって見せますよ」


馬鹿め!単純な奴だ!


「ほらよ」


俺はブルグンに先ほど渡された木片を返す。こんな物でどうやって経度を測ると言うのだ!!


俺は腕組みをしながらブルグンを見る。


俺から木片を受け取ったブルグンはトコトコと船のヘリに歩いて行った。


それから、それから?


ブルグンは木片を握った手を船のヘリから外に出す。


ふん、ふん。それから?


ポチャンッ!!


ブルグンは木片を海に捨てた……


えっ!?


えっえぇ……


ブルグンは海に落ちてプカリと浮いた木片を見てご満悦だ!!


えっ……


しばらく、進む船から置いてけぼりとなって海に浮かぶ木片を見ていたブルグンだったが、自信に満ちた表情でこちらに戻ってくる……


「……」


「……」


「……」


もう……こいつを殺すしかない。頭がおかしくなりそうだ……


なぜ、こいつは海に木ぎれを捨てて、浮かんでいるのを見ただけでこんなにも、どや顔をしているのだ?


どうすればいい?俺はどうすれいい!?


「ふざけるな!!」とブルグンに突っ込めばいいのか!?「なんだ、さすがに経度の測定の仕方は知っていたか……」と乗っかればいいのか!?


どっちだ!?


「何ノットですか?」


カナエがブルグンに聞く。


「12ノットだ」


ブルグンが得意顔で答えた。


ノット?ノットってなんだ?


カナエはブルグンの「12ノット」に一瞬驚いて、納得した表情を作る。


「さすがですね」


カナエは海図を開いて、ある地点を指差して言う。


「昨日の夜中がここでしたので、それからは風の強さはぼぼ変わっていません」


「……」


「方角はこちらですので、今はこのあたりですか?」


そう言って、カナエは海図のある一点に指で小さな円を描いた。


……俺は推理する。


なんだ、さっきの木片は船の現在の速さを確認する為に海に投げ入れたのだ。周りに何も無い海の上では自分が乗る船が、どれぐらいのスピードで進んでいるか分かりづらい。しかし、海の上にプカリと木片が浮いているだけで、自分がどれくらいのスピード進んでいるかが分かる。


では、ノットと言うのは船の速さの単位なのだな。


そして船の進んだ方向と、スピードと移動した時間を計算して、自分の船が今どこにいるのか調べるのだ!


そんな方法でしか今いる場所の経度が分からないのか!?


そんな原始的な方法しかないのか!?信じられない!!


「では、なんで、さっきブルグンはカナエが経度が測定出来ると驚いていたんだ?お前も出来るじゃねえか」


俺はブルグンに聞いた。


「いや、カナエは望遠鏡で星を見て経度を測定出来るんです」


それはそんなに難しい事か?緯度も星の位置で確認しているのでは無いのか?


「木星の衛星の食を観測して、計算で経度を割り出すんです」


ブルグンが言う。


なんだとっ!?


どこまで、この話は本当なんだよ!!


さっきまで、お前ら、原始人並みに海に木片浮かべてたじゃねえか?


それが、なんでいっきに宇宙まで話がいっちまう!?


このゲームは、どこまでがリアルなんだよ!!


ブルグンはなんか、カナエのその隠れた能力にウキウキしてるし……もういい!!


緯度・経度の話は、二人で勝手にやってくれ!!


そもそもなんで、経度の話になったんだ!!俺はブルグンに聞いてみる。


「いえね。カナエが、言うんです」


「何をだ?」


「略奪品の蓄えが増えたんで、いったん港に戻った方がいいんじゃないかって……」


「おおっ!!俺もそう思っていたんだ」


するとカナエは広げた海図を指差して言う。


「現在、私達はこのあたりにいます」


「……」


「このまま北上すれは、このあたりに出ますので、後は陸伝いにイースラント港を目指すのがベストと思います」


「一直線にイースラント港を目指しては駄目か?」


俺が言う。


「……」


出た!またブルグンのキョトン顔だ。


「ブルグンッ!!次またお前!!キョトン顔をしたら、俺はお前を殺す!!」


「えっ!?なんで!!」


「なんでもだ!!とにかくイースラント港を直接目指しては駄目なのか!?」


「だから!緯度は正確に測れますが、経度は正確には測れません!」


「……」


「だから、今、自分はこのあたりにいるだろうと目星をつけて、陸を目指し、最終的には陸づたいで行くしか目的地に着く方法はありません」


なんで!!そんな不便なんだ!!


しかし、仕方がない!


俺はカナエの提案した航路でイースラント港を目指す事に決定した。

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