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海賊GAME  作者: niyuta
海賊の生活
23/73

ハルバードのサガ

敵海賊の船はすごい勢いでこちらに向かって来る!!


「あのジョリー・ロジャーは!?」


少し驚いた声でブルグンが言う!!


「なんだ?有名な奴なのか?」


俺は少し心配になりながらブルグンに聞いた。


「これは少しまずいかもしれません」


「なんだ?強い奴なのか?」


「はい。あのジョリー・ロジャーはハルバードのサガです」


「……」


そんなん言われても知らねぇよ。なんだよ!そのハルバードのサガって!?


俺が考えていると……


ドッーン!!


くそっ!!大砲を撃って来やがった!!


「ブルグン!こちらも撃ちかえせ!!」


ブルグンは慌てて仲間に指示を出して砲撃で応戦する!!


しかし、お互いに大砲の弾などそうそう当たりはしない!!


そんな腕などは無いのだ!!


かろうじて、こちらの弾があちらの甲板に二発ほど当たったようだが、だからといって、向こうの船が沈みそうな気配も無い!!


大砲は、よほど砲手の腕が良くない限り、威嚇にしかならないそうだ。


やはり、このゲームは【海賊GAME】!!


結局は「接舷攻撃」!もしくは「移乗攻撃」しかない!この言葉は先日ベルンに教えてもらった!!


つまりは敵の船に乗り込んでの斬り合いだ!!


「船を接舷しろ!!」


俺の掛け声と共に、ブルグン達は向こうに、引っ掛けフックと呼ばれる、例の魚の釣り針のような物を投げ入れる!!


ここからは力技である!!


グッ、グッ、グッグッグ!!


グッ!!ドッシーン!!


船と船が接舷した!!


「切り込め!!」


俺は黒闇のショーテルを振りかざして叫ぶ!!


海賊共の怒号が響いた!!


まず、海賊ジークの新しい仲間達は後ろに下がらせ、敵の海賊船に乗り込んだのはブルグン率いるブルグン勢とベルン率いる元パウル勢だ!!


その後にすぐに俺も続く。


俺は敵船に乗り込むなり、そのハルバードのサガと言うのを探した!!


ブルグンに聞いたところハルバードとは槍の先に斧をつけたような形の武器だそうだ!!


俺は内心で、船上で長い得物は御法度では無かったか!?と疑問に思ったが、しょせんは行き当たりばったりのたかがゲームだ!そこは完全に無視する。


とにかく、そのサガと言うのは、とんでもない強さらしい!!


俺はいち早く、その親分を叩き潰せばすんなり決着がつくのでは無いだろうか?と考えた。


探すまでも無い!敵の船に乗り込むとハルバードのサガはすぐに見つかった!!


なんて体躯だ!!サガはガッシリとした身体つきでとにかくでかい!!


ブルグンのようなデブッチョとは違う!!


全身が筋肉のような男だ!!


「お前がサガか?」


近づいて俺が言うとサガはニヤリと笑う!!


「いかにも」


俺の首筋がピリピリする!!


とにかく強そうだ!!迫力が違う!!


「いい子分に恵まれたな」


サガは羨ましそうに言う。


んっ?


その言葉に俺は周りを見た!


なんだ!?


こ、こいつらなんて強さだ!?


ベルン!!ブルグン!!そしてその子分達!?


皆が皆、凄い勢いで敵海賊を倒している!!


特にベルンの強さは容赦が無い!!まるで優雅にダンスを踊るかのような動きで敵を薙ぎ倒して行く!!


むっ!!遠くにいるカナエもなかなかの強さだ!!


「……」


一気に敵の大将を叩き、我が軍を優勢に持ち込む俺の作戦はどうすればいいのだ!!


あいつらのあまりの強さに、サガの子分はどんどん削られ、すぐに敵はサガ一人になりそうだ!!


いや、おかしいだろう!?それでは俺が出遅れたみたいではないか!?


俺は慌ててサガに攻撃を仕掛けようとする!!


するとサガは言う!!


「残念だが……良い子分ばかりでは無さそうだな……」


そしてその目は悲しそうに俺の背後を見ている!!


どっ、どういう意味だ!!


俺は気になり後ろを振り向く!!


すると!!


信じられ無い!!


カトラスだ!?


カトラスが俺の頭上に迫る!!


敵に回り込まれたか!?いきなり背後を取られるとは!?


いや、違う!!


仲間だ!!仲間に命を狙われたのだ!!


今、まさに!!


俺の脳天に向けてカトラスを振り下ろそうとするのは……あの時に仲間になった……オドオドしたひ弱そうなおっさんだった!!


しかし今のおっさんに、ひ弱くオドオドした印象は無い!!


目は自信に満ちている!!


この目は何かをやり遂げる瞬間の目だ!!


あのオドオドした目は演技だったのだ!ひ弱そうな印象ももちろん嘘だったようだ!!


もうカトラスは目の前!!


俺が「オーバー・ヒート」を唱えるより早くカトラスは俺の頭上に届くだろう。


俺は目をつむる!!


「ジー……」


遠く、ベルンの声が聞こ……


キュイッーン!!


……


…………


………………


……どうなった!?


俺は死んだか?今度こそゲーム・オーバーか?


「……」


いや、おかしい。意識はある。ゲーム・オーバーになっていない!!


俺はそっと目を開ける!!


すると、なんと目の前にはカナエが立っている!!


さっきまであんなに遠くにいたのに、なんて速さだ!


どうもカナエが裏切り者のおっさんのカトラスをはじき返してくれたようだ!!


「やはり……」


カナエはそう言うと愛剣のシャムシールを振り上げた!!


今にも俺を殺そうとしていたおっさんはびっくりした目でカナエを見る!!


「まさか、お前……」


ザシュッ!!


「……がはっ!!」


おっさんはカナエに斬られて甲板の上に倒れる!!


たいして苦しんでいる様子は無い。


「助かった……」


俺がハッと敵海賊サガを見ると、そちらはすでにベルンがやっつけていた!!


いつものことながらベルンは悪魔的に強い。


しかし俺は叫びたい!!


なんだ!こりゃ!?


裏切りだ!!


なんちゅうゲームだ!!あり得ないだろ!!!!


今までだいたいのことは許してきたが、仲間が裏切るゲームなんて聞いたことが無い!!


ロール・プレイング・ゲームで仲間とパーティを組んでて、その仲間が後ろから斬りつけてくることがあるかっ!?


仲間になったキャラが裏切って後ろから攻撃してきたら、おちおち前を歩けないだろ!!4人パーティだったら、4人が一列に横に並んで歩かなくてはいけなくなってしまうわっ!!


「大丈夫ですか?ジークさん?」


「ジークさん…大丈夫ですか?」


仲間がみんな駆け寄ってくる。


俺は呆然としたまま、死体となった動かぬおっさんを見ていた……

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