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海賊GAME  作者: niyuta
海上の略奪者
18/73

俺は当たり!ブルグンはハズレ!!

少し鼻にかかった甘ったるい声だ。


「ああ……」


「ここ座っていいかしら?」


お姉様は俺の隣の席を指差して言う。


「……」


彼女は俺に体を密着させる様に隣に座って来た!!


いかん、めちゃめちゃ緊張する。


人肌があったかくていい匂いがする。


……クソゲーよ。今まですまなかった。文句ばかり言ってしまって……


お前は素晴らしい……リアルだ。


「……貴方、強いんですってね?」


お姉様は俺の耳元で囁いてきた。


「私、強い人が好きよ……」


「そ、そうか?」


もうとろけてしまいそうだ。早くして。100ピース・オブ・エイトですか?200ピース・オブ・エイトですか?


お金でしょ?お金なんでしょ?


ブルグン達はニヤニヤとこちらを見ている。気をきかして席を外そうかどうしようかと、迷っているようだったが、俺が今日の相手を決めてしまえば、自分達も相手を決めてイチャつく事が出来る。


ブルグン達はブルグン達で周りを囲む女達を値踏みしていた。


「私も仲間に入れて下さるかしら?」


うん?


俺が振り向くと……


な、なっ!?


なんだとっ!!


ま、まさか?


ここにも、お綺麗なお姉さんがっ!?


こちらのお姉さんは俺の左隣に座る、つり目のお姉様とは対照的に、おっとりとして可愛い笑顔の人だった。


二人の共通点を無理矢理探すなら、本当に無理矢理探すなら……二人とも……美しすぎる!!と言うところだけである。


可愛いお姉さんはつり目のお姉様とは反対側の、俺の右隣に座った!!


いやぁー、こっちの可愛い感じのお姉さんもいい匂いがする。


つり目のお姉様より自然な感じのいい香りだ。


俺は驚く!!


なんという引き出しの多さ!!【海賊GAME】!!


海賊なんかで攻めずに、違うゲームで攻めた方が断然いいぞ!!お前!!


しかし、二人の美しいお姉様が俺の隣に座ったのがよく無かった。


俺たちは五人!!周りを囲む女性陣は大勢!!


そして俺たち五人は容姿もマチマチである。俺はそこそこ?しかしブルグンは醜男。


ブルグンの子分三人は恐い顔つき!!


やはりお姉様達も少しでもかっこいい男から金をもらった方が良いだろう。


一人、また一人とお姉様方が俺たちのグループに雪崩れ込んで来る!!


「お前ら飲めー!!ここは我らがジークさんの奢りだ!!」


な、なにぃ!?


「きゃー、やったー!」


周りの美しいお姉様方が騒ぐ!!


うおっ!?


いま、さりげにホッペにチューされたぞ!!


恐るべしは金の威力だ。それとブルグン達がいたのも良かった。


俺=当たり


ブルグン=ハズレ


上手い具合に上記の図式が出来上がった。美しいお姉様方の、美しいお姉様方による、俺の争奪戦だ!!


良きかな。良きかな。


こんなに大っぴらに酒を飲むのは初めてだが、俺はおおいに飲んだ!!


いい気分だ!!


酒は何故か、ラムという名の酒が出てきた!!


これが酒というものか?匂いは甘いくせに、飲むと喉がひりつくぐらいに辛いのだ!!


最初はヒィヒィ言いながら飲んでいたが、途中からはいやに飲みやすく感じる。


お姉様達は皆が俺の身体にベタベタと触ってくるし、俺の手を取って自分の身体を触らせてくる。


そしてとうとう、来たる時が来た!!


「ねえ、今晩、5ピース・オブ・エイトでどう?一緒に抜け出さない?」


あのつり目のお姉様が俺の耳元で囁く。


俺の耳に暖かい息がかかる。


おっ、うぉっ!おおっ!?


5ピース・オブ・エイト?そんな安いの!?


行く行く!!


女性は苦手だが、逆にこれはゲーム!!気にする事はない!


俺は酔っ払った状態でうんうんと頷き、立ち上がろうとする。


しかし立ち上がれない。


つり目のお姉様とは逆に座る、あの可愛いお姉さんがしっかりと俺の手を握っている。


さりげに、つないでいる手を俺は放そうとするが、俺が席を立とうとしているのを悟った可愛いお姉さんが……俺を潤んだ目で見てくる。


「……私とに……しない?」


ガッーン!!


【海賊GAME】よ?お前は恐ろしい奴だ!!


しかし力の入れ所を完全に間違っているぞ!!


もう超リアル恋愛ゲームとかでいいじゃねえか!?


「オーバー・ヒート」なんかいらねぇよ!!


「片手剣」スキルや「両手剣」とかもういいよ。


ステータスに「魅力」とか入れて、そんなんでいいじゃねえか!?


俺としてはこっちの優しそうで色っぽく可愛いお姉さんの方が好みだ!!


俺は宣言しよう!!


綺麗なお姉さんは好きですか!?


いいや!!俺は可愛いお姉さんが好きです!!


「……早く行こうよ……」


つり目のお姉様が胸を俺に押し付けながら言う。


しかし可愛いお姉さんは、手を離してくれない。


俺の好みは可愛いお姉さんではあるが、今更、可愛いお姉さんとは抜け出せないだろう。先につり目のお姉様に誘われて、俺はついつい承諾してしまったからだ。


くそっ!!


周りを見るとブルグン達は自分の相手を見つけて上手いことやっている。


逆に当たりクジであったのがいけなかったか?


ハズレクジ達……つまりブルグンとその子分達は、もうそこそこの容姿の女性達が引いてしまっている!!


俺の両隣に座るつり目と可愛いお姉様は、ここの女性陣の中では群を抜いてお綺麗だが、当たりクジは俺一枚で、他のハズレクジは引かれてしまったのだ!!


となると俺を逃したら、このお姉様方は、今日の商売上がったりである……


ああ、頭がグルグルする……


目が回る…………


「……ねえ、行こうよ?」


……何か聞こえる。この声は可愛いお姉さんか?


握られている手を引かれているような気がするが、逆の腕を誰かが離してくれない…………


だ、駄目だ……


よく分からない……


酔っ払っているという状態か?


俺は十七歳なのでお酒などそう飲むことは無い。もちろん、全く飲んだことが無いとまでは言わないが、回数が少ないので、こんなに酔っ払ったという経験も無……い……


駄目だ……目が回る。お姉様方に飲ませられすぎた……


パウル相手に戦っても気を失わなかった俺が、意識を失った……

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