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海賊GAME  作者: niyuta
海上の略奪者
16/73

決着!!ジーク対パウル・ハウゼン

このクソゲーはリアルを追求する。たまに美少年好きな女の為に、リアルを無視する事もあるが……


リアルを追求するから、ゲームのキャラといえども疲れる。戦えば「体力(HP)」や「生命力(VIT)」が減るのだ!


もしかして自分以外のゲームのキャラクターにはそんな高尚な設定は無いかもしれないとも思ったが、そんな事は無い。


ブルグンの戦いぶりがそれを証明してくれた!奴はパウル勢を蹴散らし、ベルンと戦った時には確実に疲れていた!!


ギンッ!キュイッーン!!


パウルは全身から汗をダラダラと流しながらフーフーと肩で息をしている。もう体力も限界だろう。


それはそうだ!MAXパワーの俺の攻撃を延々と受け続けているのだ!!


疲れない訳が無い!!


俺はショーテルを天高くかかげて叫ぶ!


「我が名はジーク!この世界の覇者となる男だ!!」


天高くかざしたショーテルを、俺はパウル目掛けて力一杯振り下ろした!!


パウルはフラフラになりながら剣を横一文字に構えて、俺の剣を受けようとする。


しかしっ!!


ガッチィーン!!!!


俺のショーテルは奴の構えた剣を叩き折る!!


そしてパウルを斜め斬りに叩き斬った!!


ズシュッー!!!!


「うがぁぁぁっー!!」


パウルは断末魔の叫びを上げる!!


そして、その場に膝をついた。


……


ズダーン……


海の悪魔と呼ばれた男は……静かにその場に倒れる。


……勝った……


…………俺は海の悪魔と呼ばれる男パウルに勝ったのだ!!


……しかし……俺もその場に両膝をつく。


そしてパウルの横に静かに倒れた。


「海賊力」が尽きてしまった。


「……」


俺はしばらく息を殺して周りの様子を伺う。「海賊力」がきれてもすぐにゲーム・オーバーにならないという事は「体力(HP)」や「生命力(VIT)」は「0」になっていないようだ。


しかしもう、指一本動かす事は出来ない。


どうしたものか?


次第に周りが騒がしくなる!!


「船長っ!?」


「船長ぉー!!」


一瞬、状況が飲み込めていなかったパウルの子分達であったが、ようやく自分達の親分がやられた事が分かったようだ!!


いかに頭の狂った親分であっても、そして仲間を撃ち殺すような奴であっても、自分達の大事な親分である……


「仇を取れっー!!」


「船長の仇を取れっー!!」


……やはりそうなるか。


俺はもう指一本まともに動かせない状態だ。抵抗することは出来ない。


パウルを倒したのに、雑魚にやられてしまうのはもったいないような気がするが、それも仕方ない。


今さらジタバタするつもりは無い。出来れば拷問は無しで一思いにやって欲しいものだが……


身動きは出来ないが気配で分かる!!


パウルの子分が俺に飛びかかって来ようとする!!


パウルの子分の一人が俺に向かって剣を振り上げた!


こんな時に言いたい言葉が俺にはある。


万事休すだ……


ドンッ!!


うんっ?


ムンクか!?


今、俺に対して剣を振り上げたパウルの子分に、ムンクが身体ごと体当たりをしたようだ!!


駄目だ!!ムンク!!殺されてしまう!!


「ジークさんを救えっ!」


ブルグンの子分達だ。ブルグンの子分達が俺を助けようとしてくれている!!


さすがはこの激戦を生き残った奴どもだ。武装解除されて武器の無い状態でも、パウル勢に挑み、中には武器を奪い取った者もいる!!


しかし……


結果は見えている。多勢に無勢だ……


せっかく俺を助けてくれようとしたブルグン勢の生き残りも、すぐにパウル勢に制圧されてしまう。


パウル勢の中でも、パウルを船長と認めて従っていた者と、恐ろしいからいやいや従っていた者がいるのか、全てのパウル勢が敵討ちに積極的では無かった。


しかし、船長の仇とばかりに俺を狙ってくる海賊共は30人程、今のブルグン勢より断然数が多い。


俺はようやく少し身動きが出来るようになったばかりだ。


俺としては、刺し殺される激痛を受けてから、ゲーム・オーバーになるより平和裏に「航海をやめる」ボタンを押してゲームを終了したい。


しかし、パウルを倒した後、俺は甲板にぶっ倒れた。その時にスマホを落としてしまっている。


スマホは、すぐ目の前に落ちているのだが、たったそれだけの距離を俺は取りに行けない。


敵討ちを目論むパウル勢はブルグン勢の生き残りを制圧した後、また俺に近づいてくる。


手には怪しく光るカトラスを持っている!あんなもので首を切り落とされたりしたら……どれだけ痛いだろうか?


「パウル船長の仇!」


海賊が剣を振り上げた!!


振り上げられた剣は太陽の光を反射して眩しく光る!!


今日、いったい何度目になるか分からないがあれを言うしかないな!


……万事休すだ。


海賊は剣を振り下ろした!!


「ジ、ジーク!!」


遠くにムンクの叫び声が聞こえ……


キュイッーンッ!!


うん!?


俺を襲う海賊の剣が弾かれた!!


誰だ!?


俺が剣を弾いた人物を見るとそこには……アイドルが立っていた!!


「この人は……殺させないぞ……」


手に握っている武器は、アイドル顔には似合わない無骨なカトラスだ。


こいつのレイピアは俺が叩き折ったので、落ちている死体の剣を拾ったのだろう。


「ベルンさんっ!?」


周りのパウル勢は驚く!!まさかパウル一味のナンバー2ベルンが俺を助けるとは思わなかったのだろう。


「……」


「……」


パウルの仇を打ちたい子分達とベルンの間で険悪な空気が流れる!!


ベルンは並外れて強い!!彼に迫力があれば、仇を討ちたいパウル勢も敵討ちを諦めたかもしれない……


しかしベルンの容姿はというと、このクソゲームが、可能ならば、ちょいオタで美少年好きな女も取り込めないだろうかと、お遊びで出したキャラだ。


確認した訳では無いがそうに違い無い。


つまりは顔が可愛すぎる!!


虎よりも強いチワワが目の前に出てきたとしよう。こころの中では虎よりも強いと分かっている。


しかし見た目がチワワなのだ。中途半端に舌が口から出ていて、あのまん丸い目でこちらを見ていたら……


「ベルンは大怪我をしてる!!パウル船長の仇の邪魔をするならやっちまえっ!!」


もちろん、こうなる……


周りを囲む三十人近いパウル勢がベルンに向かって掛かってこようとする。


それに対して、ベルンは利き腕の右肩に大怪我をしていた!!


頑張れ、ベルン!と言いたいがベルンが数の暴力にねじ伏せられるのは時間の問題だろう……


「お前らっ!!アイツを救えっ!!」


この声はっ!?


正義をこよなく嫌うブルグンでは無いか!?


俺が声のする方を見るとブルグンが愛用のカトラスを振るい、ブルグン勢を囲んでいるパウル勢を蹴散らしているところだった!!


さすがブルグン勢の生き残りは強い!!手に武器を拾い、敵討ちを目論むパウル勢を突破してこちらに向かって来る!!


ムンクとあの部屋の連中も武器を拾ってやってくるではないか!?


そして足ののろいブルグンも遅れてこちらに向かって来る!!


危ないかと思われたベルンは、怪我をしていながらも奮闘した。


そして俺の周りを、ブルグン、ベルン、生き残りのブルグン勢、あの部屋の男達が囲む!!


総勢三十名ほどかっ!?


あの奴隷部屋の連中は戦いにおいて戦力にはならないが、しかし敵はブルグンとベルンに恐れをなした!!


最後のあがきとばかりにパウル勢は襲っては来たが、勝負はすぐにつく!!


英雄ジークと愉快な仲間たちの完全勝利である!!


ここから不死身の海賊ジークの伝説が始まる……


……と思っていたのだが……


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