気付かぬ、落とし穴!
俺の素早さが跳ね上がったようだ!!
ベルンの攻撃が……遅い!!
今にも俺の頭に直撃するかと思われたベルンの振り下ろしだったが、俺はかろうじてそれを避ける!!
多分、俺は今、常人にはあり得ないスピードで動いているはずだ!!
俺は言う!
「ベルン!お前に少しだけ……俺の本気を見せてやるよ!!」
「な、なんだとぉー!?」
キッーン!!俺とベルンの剣が交差する!!
俺の力に押されたのか、ベルンの剣が少し弾かれた!!
俺はショーテルをベルン目掛けて真横に振り抜く!!
ベルンはそれを、剣を縦に構えて受け止めた!!
しかし、ベルンは体が小さい!!
今の俺のMAXバワーを受け止めることは出来ない!!
ガッチィーン!!
俺の一撃はベルンを身体ごと吹っ飛ばす!!
ベルンは転倒することは免れたが、かなり体勢を崩した!!
「らぁ!!」
俺はベルンの脳天目掛けてショーテルを振り下ろす!!
体勢の崩れているベルンは、いつもの華麗なステップで俺の攻撃をかわすことは出来ない!!
ベルンはレイピアを横一文字に構えた!!
俺としては、ここからフェイントを入れる事も可能だが!!
しかし!!
俺は構わずショーテルを振り下ろす!!!!
ガッチィーン!!
ベルンは、ブルグンの時のように、剣と剣のインパクトの瞬間、レイピアを絶妙なタイミングで引いた!!
俺のショーテルはその勢いを殺される……
「らぁっっ!!」
……ものかぁ!!
俺は全ての力をショーテルに込めたっ!!
へし折れろっー!!
ベルンのレイピアが軋むっ!!
きしむっ!!
き……し……むっ!!
この忌々しいアイドル顔がっっ!!
パッキッーン!!
俺のショーテルはベルンのレイピアをへし折った!!
そして俺の剣がベルンの頭上に迫る!!
死ねっー!!
お前さえ倒せば、後は雑魚ばかりだ!!
「オーバー・ヒート」無しでなんとか出来る!!
しかし!!
ベルンは俺のショーテルが頭に直撃する前に、かろうじてかわす!!
ズシュッー!!
俺の剣はベルンの頭を外れて、奴の右肩を斬り裂いた!!
「うぐっ!!」
よしっ!!やった!!
トドメだぁ!!
ブンッ!!
しかし、俺の次の一撃は空をきる!!
ベルンは大きく後ろに跳び、俺と距離をあけた!!
くそっ!!なんて反射神経だ!!信じらんねぇっー!!
追うかっ!?
俺は一瞬迷うが、おそらくベルンはもう戦えない!!
ここで深追いする必要は無い!!
俺はここで一度あれを解除することとする!
「オーバー・ヒート停止」
俺の身体から力が抜ける!!
海賊力を無駄遣いでき……んっ!?
おかしいぞっ?
俺の後ろのブルグン勢は大喜びだ!!
ベルンは右肩を押さえ、俺を睨みつけている!!
そして周りを囲むパウル勢は、どうも俺に恐れをなしているようだ!!
周りから見れば形勢は俺に有利のように見える!!
しかし!だがしかし!!
俺は大変な事実に直面していた!!
……なんだ!?これは?
か、身体が思うように動かない……
どういうことだ?
いや、理由は推測が付く!!
疲労だ!!
体力(HP)や生命力(VIT)が減っているのだ!!これは当たり前の事!!
戦い続ければ傷も受けるし、疲労もする。
体力(HP)や生命力(VIT)が減るのは当たり前だ!!
「オーバー・ヒート」は自分のステータスがMAXになる。つまり使っている間は気付かない!自分の体力(HP)や生命力(VIT)が減っている事に!!
くそっ!!身体が重い!!スマホを見て自分の今現在のステータスを見ないとまずい!!
背に腹はかえられない!!
俺は上着のポケットからスマホを出した!!
周りのパウル勢は俺に恐れをなして襲っては来ない!!
今ならスマホぐらい見れるだろう。
メニュー画面からすぐに自分のステータス画面を開く。
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【ステータス】
Lv : 1
HP :12
STR :18
VIT :8
INT :27
AGI :13
LUK :12
PIR : 2
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
し、信じられない……
最初の数字なんて覚えていないが、おそらく軒並み下がっている……
「体力(HP)」は「10」の後半だったはずだし、「生命力(VIT)」は二桁だったはず……
何よりも俺に衝撃を与えたのは「海賊力(PIR)」の「2」だ!!
まずい!!まずいぞ!!この展開はまずい!!
ゲームの展開的にまずい!!
もうすぐアレが来るはずなんだ!!ゲームなんだから来るに決まっている!!
俺が思い悩んでいると……派手な銃声と共にアレは来た!!
ドッンッ!!ドッン!!
「お前らぁっ!!何を怖じ気づいていやがる!!ぶっ殺せっ!!」
出たっ!!
海の悪魔パウル・ハウゼンだっ!!