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今日から学校と仕事、始まります。①莞

恋アップ、友情ダウン

作者: 孤独

凸凹カップルなんているとしたら、色々な悩みを抱えている事だろう。カップルという響だけで羨ましいと、僻む連中もいる中でだ。



「迎ちゃんを抱けないんだ」

「……坂倉、それは川中さんにアピールしているのに失敗に終わっている俺達に向かっての嫌がらせか?」

「なんでカップルになっているお前等のノロケの悩みを聞かなきゃいけねぇーんだ」


部活動の合間にある休息時間で坂倉から相談を受けた舟と相場。その相談が自分達に縁がありそうでないものだからこそ、キレ気味であった。


「イラッ!死ね!!」

「彼女なんだから余裕で○○○○とかしてろよ!けど、避妊はしとけよ!」

「つ、冷たいな。お前等、……友達だろ?」

「恋の悩みは彼女に言いな!」

「ふざけやがって!このロリコンめ!」


友達とはとても脆いものよ。恋という、性的に来る運命の方が強すぎる。何かを犠牲にしながら、人は乗り越えていくものだ。

舟と相場はこんなノロケを聞いてプンスカ状態になっていた。坂倉の彼女、迎は同級生であるがとっても小柄。一方で坂倉は結構な長身ときたもんだから、抱こうにも差がありすぎて上手くいかない。だいたい、抱く意味はあるのか?と、舟と相場は思っているのだろう。

そんな中、話を聞いた1人の部員が声を掛けてきた。


「そんな悩みがあるのか、坂倉」

四葉よつは!」

「話を聞いてしまった。確かにそれは困った事情だね。私が少しだけ力になってあげよう」


坂倉と同じくらいの長身であり、顔もとてもカッコイイ。女性の憧れ的なイケメン。運動神経良し、成績も良し、性格は……ちょっとよく分からない。一般男性とはズレている。


「やっぱり、恋の相談は友達よりも経験値が高い奴だな!」

「私は”元”女だ。女の気持ちも分かる。抱いてくれない男なんて恋にまで発展できない」

「まーた言ってやがる」


舟と相場はこの四葉が少し苦手であった。悪い奴ではないんだが、……。


「こーやって、ギューっと女を抱きたいものな、坂倉!私もしたいぞ!」

「お、俺で試すなよ!分かったから分かったから!もういいから離せ!」


……まぁ、その。四葉は男に興味がある男なのだ。自らを元女性だと言い張っているようだが、そこらへんが良く分からない。

しかし、四葉なら自分達よりもまともな代案を用意してくれるはずだ。少し怖いが、見張るような形で四葉の意見に耳を傾ける舟と相場。


「それで迎ちゃんに抱きあう方法か」

「あ、ああ。俺が大きいあまりに上手くできそうにない」

「一回、やってみたか?」

「い、いや。身長差がありすぎてまだ一回もやっていない。失敗したら、嫌だしな」



坂倉の現状を聞き入れた四葉は少し考えてから、積極的な助言を言い渡した。



「失敗を恐れずに抱いてみちゃえ!」

「え!?」

「心配する事はない!迎ちゃんが坂倉のことが好きなのは周知の事実!坂倉の失敗だって、受け入れてくれる!思い切ってやっちゃえ!」


特別なテクニックはないのか……っと、少し残念がっていたのは舟と相場であった。


「坂倉は抱きついて嫌われる男ではないぞ!私が保証する!!お前からは良い男の匂いがしている!」


お前の保障は結構怪しいんだけど。


「な、なるほどな。参考になった。お前のおかげで勇気が湧いてきた!やってみる!」

「ああ!やってこい!3人で見守ってあげるから!」




そんなわけで翌日辺りの出来事。

坂倉と迎のデートを後ろから観察するという形で舟と相場、四葉の三人。


「人のデートを覗くって案外イラつくな」

「奇遇だな、相場。俺も同じ気持ちなんだ」

「何を言っているんだい!しっかりと変装してお忍びで来ているんだ!邪魔しちゃいけないよ!」


邪魔しないよう、ぱっと見ても分からない程度の変装をしている3人。


「普段見られない相場達を見るのも悪くないなぁー。はぁ、はぁ」

「お前は迎と坂倉を見ていろ!」


変装が台無しになっているほど、ドンチャン騒いでいる3人。迎もなんで3人がいるのか、不思議に思っているようだ。一方、坂倉は迎の手を引いてあげた。


「べ、別のところ。行こうか」

「ええ」


焦らなくていいさ。今日はまだ映画を観るという選択肢があるそれが終わってからでいい。

その間に覚悟決めて、ちゃんと好きだと伝えよう。本当に心から言おう。


「き、緊張してるの?」

「え?」

「坂倉が握ってくれてる手、ちょっといつもと違うから」


迎の表情も少し照れていて、待っているような顔だ。その答えを欲しているみたいだった。でも、まだその言葉を。

いや。


「別にいいのか?違うかもしれないことを言っても、……しても……」

「う、うん……」


ドキドキしていると分かる迎の手を、離した坂倉。手だけじゃ物足りないから、身体全体で迎の小さい体を抱いてみる。ちょっと体勢が悪くて、抱いているというより迎を持ち上げているみたいな形だ。

突然に抱きつかれて驚いたり、抵抗はなかった。迎は受け入れていた。


「き、君が。迎 知尋が大好きだ!だから、これから俺と付き合ってくれ!」

「…………はい」


カップルとしてのレベルがランクアップした。



「畜生!四葉ー!なにしてくれてんだーー!」

「関係が厚くなったじゃねぇか!!俺はな!あいつ等が壊れる関係になることを望んでいたんだぞ!」

「なーに言っているの。友達なんて、恋の前じゃ薄っぺらいものだよ。大丈夫、私が坂倉の代わりに2人の面倒を見てあーげる!」

「ふざけんな、ホモ!!」



代わりに、友達としてのレベルがランクダウンした。

四葉の評価は上がったという。




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