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中露戦争  作者: 集束サイダー
国境
6/55

黒河市街

 中国 北京


「主席!ロシア軍が黒河を越えて黒河市に突入、現在激しい戦闘が行われています!」


男が周銀平国家主席に報告するが、周銀平は毅然として答える。


「凌順君。そこは想定の内だ。便衣兵には奮闘してもらわねばな。それと、第二砲兵軍に東風21型ミサイルニ基と東風5型ICBM一基を用いて黒河市周辺と、ロシアの首都モスクワに一時間後、核攻撃を行うよう命令しろ。それと、モンゴルのウランバートルに第十五空挺軍を降下させ、モンゴル政府に揺さぶりをかけろ。」


銀平が言い、銀平の秘書がメモ帳にメモをする。


(な、なんという破天荒な事を!!朝鮮の時もそうだが、そう易々と核を使っていいのか!?それに・・・何でモンゴルを襲うんだ!?)凌順と呼ばれた男はそう思った。


「は!?じ、自国領に核攻撃を行うのですか!?」


「命令だ!!ロシアの奴等にこれ以上好き勝手させるな!!・・・それと、黒河の兵たちには最期までロシアの奴等をあの街に釘付けにしてもらおう。彼らが最期まで共産党、いや中華人民共和国に一命をもって尽くしてくれると思うと涙がでてくるよ。」


周銀平は葉巻に火をつけつつそういった。


「主席!それは正気の沙汰ではありません!!モンゴルは我々に一切の関与もしておりません。なおかつ自国領に人民ごと核攻撃を行うなどと一国の主席が考えるようなことではごさいませんよ・・・!?せめて、せめて自国領に核を落とすのは・・・人民にどう説明したらよろしいのですか!?」


「それについては黒河市の事について言及しないように人民に念を押せ。」


「しかし・・・モンゴルには何故」


「凌順君。モンゴルはな、かつて肥大化し世界を支配しようとして、我々の先祖を追い詰め、無惨に殺し、我々の力によって弱体化したあとも、こざがしい真似をして、我が国の製品には手を出すくせに我が国の人民には暴力を振るっているのだよ。それに、今のロシアとの戦争の際には、彼処に我が国の部隊を常駐させておけば地理的にも有利だ。」


「そ、それは・・・そう・・・ですが・・・ええと、ロシアのモスクワのみを潰しても」


「あまり私の言うことに反論すると君は勲章をはぎとられて労働改造所で素手で硫酸バッテリー液の処理をさせられることになるぞ・・・」


「くっ・・・も、申し訳ありません。ご無礼の数々、誠に・・・」


「もういい。今回は私に免じて許してやろう。だが次は君を段ボールに詰めて労働改造所に送りつけてやるぞ。」


「はっ!心得ます!!」


「では凌順君。頼んだぞ!!」


「失礼します。それでは!」


倒置的に凌順は言い、彼は部屋を後にした。


ドアの前で凌順は、小声で「自国に核を使うなんて・・・信じられん・・・」と呟き、拳を強く握った。手の甲の薬指と小指の第三関節のあたりにYの字の血管が浮かび上がっていた。



そして、周銀平は退室した凌順から目を離し、側の秘書に、

「ちょっと凌順君を監視しておいてくれ。何かよろしくないことを考えられたら色々困るのでな。」と言った。







黒河市では激しい戦闘が行われている。中国軍は街のいたるところに機関銃陣地を構築し、ロシア軍に十字砲火を喰らわす。


T-90が電柱を踏み倒し、中国軍の機関銃陣地を同軸機銃で蜂の巣にせしめる。そのT-90の目の前に中国軍の69式対戦車ロケットランチャーが着弾する。


『こちらケイソ1。第二分隊へ、可能な限り援護する。RPGを持った敵兵士を叩いてくれ。』



「了解だ!建物の中に入って戦車を撃とうとする敵を排除しろ!!」


第二分隊隊長のオサーの言葉で、分隊がT-90を囲むように二手に別れた。


セルゲイは、OSV-96を片手に持ち、、サイドアームのスチェッキンを構えつつ、相棒のベロフと共に赤い屋根の一軒家の中に進入した。


一階には誰もいない。銃声が聞こえるので敵は二階にいるようだ。


音をたてずに階段を登り、書斎のドアの前に立つ。だが、OSV-96がデッド・ウェイトで困る。


「ここだな。ニンジャのようにゆっくりドアを開けるぞ。」


「ああ。援護は任せろ」


そう言い、セルゲイはゆっくりドアを開けた。コピー用紙が床に散乱し、窓から三人の中国兵がブルハップ式の小銃を撃っている。距離はニメートル程だ。


中国兵の一人がリロードをしようとして壁に張り付いたが、その時にセルゲイ達に気付き、仲間に叫んで敵の襲来を知らせた。


仲間の二人が気付き、セルゲイとベロフに銃を向けるが、それより先にセルゲイのスチェッキン・フル・オートマチックピストルが火を噴いた。



中国兵らは倒れ、セルゲイは

「ケイソ1へ!!赤い屋根の一軒家は制圧した!!撃つな!!」と無線で戦車に呼び掛ける。



中国兵のスリングの付いたブルハップライフルを手に取り、死体からマガジンポーチもはぎ取る。外ではT-90が別の建物に機銃を撃ち、上空ではJ-10が機銃を撃ちながらSu-25を追尾し、そのJ-10にロシア軍のSu-27が追いすがっている。


後ろを振り向くと、ベロフが階下にAK-101を撃ち込み、69式対戦車ロケットランチャーを持った中国兵が血をほどばしらせ階段を転げ落ちた。


「クリアだ!」

彼らは家を出て、戦車の側に付いた。


『ケイソ1、前進する!』


T-90が履帯の跡を道路に付けつつ進む。中国兵の銃弾が命中して金属音をたてる。


挿絵(By みてみん)


セルゲイはOSV-96を後方の中国兵に向かって射撃し、二人の中国兵が機関銃ごと吹っ飛んだ。



前方にBMP-3をコピーした中国の97式歩兵戦闘車がニ両現れ、100mm低圧砲をT-90に発射するが、爆発反応装甲に打ち消された。


T-90が主砲を発射し、一両の97式が大穴を穿たれ炎上した。



ふとオサー分隊長が、

「聞け!!十時方向から友軍の装甲車と第四分隊が到着する!注意しろ!」

と分隊メンバーに無線で言った。


すると、残った97式が突然炎上し、十時方向からBMP-3歩兵戦闘車と第四分隊が現れた。


『こちら第四分隊だ。BMP-3も連れてきた。これより貴隊の前方につく。』


第四分隊の隊長がそういい、歩兵約十人とBMP-3一両がオサー分隊の前方についた。





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