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中露戦争  作者: 集束サイダー
国境
2/55

中国への侵攻

今回は戦車と空戦です。

2015年8月19日PM23:59


「そろそろだ・・・」

ロシア軍戦車部隊の隊長、ダニエル・ボロディンが時計を見ながら言う。既に戦車のエンジンはかかっており、辺りは鼎の沸くが如しだ。


時計が真夜中を指す。

「よし、進め!連邦万歳!!」

ダニエルが叫ぶと、T‐90を中心とする戦車達が唸りをあげて走行し、隧伴歩兵もBMP-3やハンビーに乗って中国の国境を越えた。


中国の国境警備隊員達は、小銃を手にだんだん大きくなる音に反応して小屋から飛び出した。

「うわ!!何だ!」

「ロシアだ・・・ロシアの戦車が来た!!友軍に報告しろ・・・っ!」



刹那、T-90の一両が彼らのいる建物へ向け主砲を発射し、彼らは文字通り消しとんだ。



五十両をこえる数の戦車が中国国内になだれ込み、国境警備隊は壊滅状態になった。


その姿はさながら「満州」にソ連赤軍が攻めてきたときの関東軍のようだった。


警備隊の一人が89式対戦車ロケットランチャーをT-90の側面に発射。


89式の500mm以上の装甲を貫通可能といわれる成形炸薬弾がT-90の側面に命中し、爆発反応装甲が作動するも、なすすべなくT-90は沈黙した。


89式ロケットを撃った兵士は、すぐさまロシア兵にAK-100を撃たれて崩れ落ちた。


中国軍戦車部隊の編成は99式戦車一両、96式戦車が十四両、88式戦車が三十四両だ。


「よし、奴等を視認できる距離だ。暗視装置の確認をしろ・・・全車、撃ち方始め!!」


99式戦車の車内で中国軍戦車部隊隊長が叫び、T-90が視界に入ると、沈黙していた中国軍戦車部隊が一斉に射撃を開始した。双方の距離、約七千メートル。


だが、いくら砲弾の中でも人角の貫通力を誇るAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)をもってしても、七千メートル先の最新鋭戦車の装甲を貫通することは出来なかった。



弾丸は次々とT-90に弾かれ、風に流された弾丸はあさっての方向に着弾した。


ダニエルの戦車にもAPFSDSが着弾するが、装甲に弾かれ、棒高跳びの棒のように回転しながら弾かれていった。


「ふっ、奴等APFSDSが当たれば何でも抜けるとでも思ってやがんのかっ!さすが中国共産党の犬、考えが浅はかだぜ!!」


揺れる車内でダニエルは毒を吐く。


「全車、楔型になれ」

ダニエルが各戦車に命令し、全体の陣形が楔型になる。T-90戦車が先頭に並び、その後ろにBMP-3などの装甲車、ハンビー、歩兵と続く。


これはかつてのナチス・ドイツ軍が「パンツァー・カイル(戦車の楔)」とよんでよく使用し、最も装甲の硬いティーガーIから順にパンター、IV号、突撃砲、兵員輸送車と続いていく陣形だった。



「距離六千、各車、砲発射式ミサイル用意!!」


ダニエルがそういうと、各戦車が9M199『レフレークス』対戦車ミサイルを装填する。このミサイルは射程七千五百メートルで、T-90だけじゃなく、中国軍の99式戦車も発射可能だ。



ロシア軍の戦車は中国軍の戦車一両一両をロックオンし、全車が発射体制に入った。


ダニエルは息を吸い込み、言った。

「全車、撃ち方・・・あん?」


突如、爆音が聴こえる。だんだん音が大きくなり、上空にカモノハシのような鶴のような機体が現れた。



『ヤーブラカマラカ1より全機、ロケット弾を斉射したら反復でそれを繰り返す。いいな、編隊を崩すなよ!』


『了解!』


その機体は、Su-27をベースにした戦闘攻撃機、Su-34「フルバック」だった。


Su-24「フェンサー」の後継機であり、ロシア軍に配備が進められている。


「しまった・・・くそ、今回は空の奴等に譲るしかないか・・・全車、撃ち方止め!!」

ダニエルは落胆した。既に四機のSu-34は中国軍戦車部隊にロケットを発射し始めて、敵の戦車が炎上していた。


Su-34は、しつこく何回も戦車隊を空襲し、96式戦車が砲塔を吹っ飛ばされ、88式戦車が横転し、99式戦車が上面をやられて炎上した。



ヤーブラカマラカ隊がロケット弾を撃ち尽くした頃、中国軍の戦車で満足に動ける戦車はいなかった。



「はぁ・・・」

ダニエルは溜め息をついた。


せっかくロシア精強の戦車部隊の実力を見せつけられると思ったら、空軍の攻撃機にむざむざ獲物を横取りされたのだ。



そのとき、Su-34に対してミサイルが飛来してきた。


『ヤーブラカマラカ2、ミサイルだ!お前に向かってきている。あっ!ヤーブラカマラカ3!お前にもだ!フレアを撒いて回避しろ!』


Su-34の隊長機の無線が聞こえる。そして、Su-34の二機がフレアを撒きながら上に上昇していく。


この真夜中ならフレアの効果は大きいらしく、ミサイルはたちまちフレアの中に突っ込み、爆発した。



『ふう、助かりました・・・』


『ヤーブラカマラカ全機!!七時方向に敵戦闘機二機!!散開しろ!!』


隊長機の号令の後、四機のSu-34は上に向かって散開していった。


『まるでアクロの空中開花みたいですね!!』

四番機の機長が軽口を叩いている。


『よし、全機降下しろ!!』

隊長の言葉で、全機が反転し、降下する。


ふと、正面からさっきのミサイルの主であろうJ-10戦闘機二機が隊長機とヤーブラカマラカ3に狙いを定め、ミサイルでは間に合わないと判断したのか、機銃を発射しながら上昇してきた。


『くっ!』

『いああああ!?』

隊長がスティックを左下にひく。機体が反時計回りにロールし、副操縦士が変な悲鳴をあげる。機銃弾が回りを掠めて飛んでいく。


J-10とすれ違い、J-10が夜空に吸い込まれていく。下では友軍戦車が旧式な中国戦車を撃破していた。



さらに右上に上昇し、J-10と付かず離れずを維持しつつJ-10をかわす。


『ヤーブラカマラカ全機、状況報告!』


『こちらヤーブラカマラカ2。異常はありませんが、トールの奴がのびてます。』


『ヤーブラカマラカ4、異常なしです!ただ電子レンジの中でボルシチがチラシズシみたいになってます!!』


『こちらはヤーブラカマラカ3・・・隊長、俺とリューレイは無事ですが、機体が十発ほど貰って電子レンジが大破しました。まあ、どうでもいい事ですが』


『大丈夫か?』


『はい。油圧、電圧、フライ・バイ・ワイヤなどは正常。飛行に支障はありません。』


『了解。だがこのJ-10をどうしようか・・・んっ!?』


突如、降下していた二機のJ-10に白いまっすぐな煙が伸び、巨人に張り手をくらったかのようにJ-10が二機とも撃墜された。


J-10を撃墜した戦闘機は、すずめのような可憐な形をした戦闘機だった。


『こちらフルンゼ隊。ヤーブラカマラカ隊、あとは任せろ。Su-25「グラーチェ」の編隊が間もなく到着する。貴隊は帰還してくれ。』


四機のMiG-29は、ダイヤモンド編隊を組みつつ、増援のJ-11を二機撃墜し、華麗に飛び去っていった。



『ヤーブラカマラカ隊、RTB』

隊長がそういうと、全機が翼を翻し、北の方角に飛んでいった。





中華人民共和国 北京


主席官邸に一人の男が入ってきた。

「周銀平国家主席、本日零時、ロシアが我々に宣戦布告しました。それと同時にロシアが黒竜江省に武力侵攻し、現在も戦闘が続いている模様です。」

男は、中国の国家主席である周銀平に戦争開始の報告をした。


「何!!・・・ならば・・・日本海に空母「黒竜江」を配備してやつらをおさえつけろ。それと、例の作戦を実行する準備を整えてくれ。」

周銀平は男にそう言った。


「はっ」


男は頷き、部屋を後にした。


「ううむ・・・ついにロシアと戦争か・・・よし。人海戦術こそがかの大国を滅ぼせる最良の手段だ。」


周銀平は一人呟いた・・・

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