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中露戦争  作者: 集束サイダー
国境
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プロローグ

2015年8月14日


「えー、繰り返します。朝鮮中央通信によりますと、本日未明、朝鮮民主主義人民共和国朝鮮労働党中央軍事委員会第一書記のキム・ジョンリュン氏が『朝鮮半島を統一した』と発表したとのことです。繰り返します・・・」


『北朝鮮が韓国を統一した』というニュースは世界を駆け巡った。


全世界のテレビで特番が開かれ、ニュースキャスターが同じような事を何度も繰り返ししゃべっている。



実は、二日前、突如北朝鮮の砲兵隊が韓国首都ソウルに砲撃を開始したのだ。


北朝鮮の野砲やロケット砲が一斉に火を噴き、ソウルの高層ビルは次々と破壊され、倒壊していった。


割れたガラスの破片が逃げる人々に被害を与え、彼らはガラスを受けぬよう車で逃げまとい、たちまち道路が車で埋め尽くされ、交通網は遮断され、人々は逃げ場を失ってしまった。

だが、北朝鮮軍の砲弾やロケット砲弾は無慈悲に彼らを吹き飛ばしていったのだ。


上空には北朝鮮軍のSu-24「フェンサー」攻撃機がロケット弾などを用いて手当たり次第に市街地を爆撃。


奇襲を受けた韓国軍には逃亡兵が続出し、部隊の統制がとれずになす術なく北朝鮮の砲撃を受けるのみであった。



そして一時間にのぼる砲撃の後、北朝鮮の機甲師団がソウルに突入、車を押し潰し、人々や兵士を銃撃し、ソウルを蹂躙していった。


韓国軍の戦車も緊急出動したが、北朝鮮政府に心酔し、盲従して、士気の高い北朝鮮軍に次々と撃破されていき、韓国軍は敗走し始めていた。


結果、ソウルは四十八時間以内に陥落し、北朝鮮は韓国を事実上掌握、現在に至る。



現在、ソウルの太平路で北朝鮮軍が祝勝パレードを開いていて、その様子は世界にテレビ中継されている。


「えー、現在ソウルの太平路上にて、北朝鮮の軍事パレードが行われています。戦車や大砲の乗員が北朝鮮の政府関係者に敬礼しています。あっ、ヘリコプターも飛んでいます!大型のヘリコプターが飛行しています!」


北朝鮮軍のT-72戦車を改良した『暴風号』戦車やBMP-2装甲車、対空ミサイル車両や自走砲が堂々と路上を走行し、キム・ジョンリュンや北朝鮮政府関係者が周りに座っている台座に対して乗員が敬礼をしている。



上空には、Mi-26大型輸送ヘリコプターやSu-24攻撃機が編隊を組んで悠々と飛行していた。



そんなパレードが十数分続き、最後に路上に兵士が整列。そして、Mi-26ヘリコプターがコンテナを吊ってホバリングし、コンテナを下ろしていく。


「大型のヘリコプターがコンテナをおろしています。えー、北朝鮮の兵隊が今コンテナの中身を開けました・・・あっ!コンテナの中から韓国の政府高官が出てきました!!」


兵士がコンテナを開け、中の韓国高官を無理矢理ひっぱりだし、銃をつきつけている。


その中には、散々日本を挑発していた女大統領がいた。


「あれは・・・韓国のパク大統領です!!あっ!!!北朝鮮の兵隊が服を脱いでます・・・!!」


北朝鮮兵が軍服を脱ぎ、ズボンのジッパーをおろし、パク大統領の髪を掴み、自らの股間に近付けた。


高官の一人が兵士に掴みかかったが、すぐに太股を撃たれて倒れこむ。


「これ、中継やめた方がいいんじゃないですか!?」

ニュースキャスターが叫ぶ。カメラの向こうは獣の独壇場だ。


「まずい、これまずい!!中継とめて!!いいから!!」

中年のスタッフが叫ぶ。


「目に良くない!!はやく!!」

(そこかよ!)と他のスタッフ達が思い、北朝鮮兵がパクを押し倒した瞬間、閃光が走った。


直後、カメラが砂嵐になり、テレビのスタッフが慌てふためく。

しばらくするとテレビがニュースキャスターに切り替わり、キャスターが言った。


「えー、先程、韓国のソウルと、北朝鮮のピョンヤンで大きな爆発があった模様です。繰り返します。ソウルとピョンヤンで大きな爆発が・・・え?・・・はい。えー、今入った情報です。先程の爆発は、核ミサイルによるものと判明しました。繰り返します・・・」



統一後の朝鮮半島の二大都市で核爆発が発生、統一朝鮮の国としての機能は完全に失われた。


そして、朝鮮半島をめぐり、中国とロシアの二大国が対立する。まるで父親の遺産相続で争う兄弟のごとくだ。


中国にとっては、朝鮮半島に大量の軍隊を駐留させ、日本とアメリカを牽制するメリットがあり、ロシアにとっては凍らない港を手に入れ、アメリカ、日本、海軍を強化している中国を威嚇、牽制できる。



どちらも同じ理由だった。そんなあるとき、中国海軍がウラジオストクの20キロ沖で駆逐艦九隻、補給艦一隻、ミサイル艇十四隻による大規模な演習を行い、ロシアを牽制しようとした。



だが、逆にロシアの政府は激昂し、ウラジオストク近郊のストレロークから世界最大の戦闘艦「キーロフ」級ミサイル巡洋艦二番艦「アドミラル・ラーザリェフ」を中心とした艦隊を中国や朝鮮半島の周囲で遊弋させ、中国と対立することになる。



そして、中国では最新鋭空母「黒竜江」が就役、中国共産党はぐんぐんと海軍力を増強させていった。ルーブル暴落に喘ぐロシアも、その莫大な軍事力を衰えさせたことはない。



2015年8月20日の真夜中、ロシアの陸上部隊が中国の国境を越え、中国に宣戦布告。


これが後に「中露戦争」と呼ばれる戦争の始まりであった・・・





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