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夏生詩集2

辛口甘口

作者: 夏生

これは甘口か?

一口食べて首かしげ、おっと辛い

これが母の作ったカレーの味


「ないものはないのよ、諦めなさい

あなたが無理したら周りの迷惑になるでしょ」

やさしくさらりとけろりとぐさりと言う

母のカレーバージョン


やさしくされたい嫌われたくない

私はがんばっているつもり

自分に辛くしているつもりな

私のカレーバージョン


伴侶に「給食カレー」と命名された


カレーを作る母のそばに

長年立っていたとうのに

手伝い教わり、使うカレールーも

違いはないのに


これも個性だとあきらめた


母が他界したその日

台所にあった母の作った最後のカレー

やさしくさらりとけろりとぐさり、は

しっかり生きて私の中に溶けていった


いつもの材料と手順でカレーを作る

「あれ、今日のカレーは辛いね」

「あら、そう?」

母の笑みがふっと過って消えた


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