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裏切の美徳

2色目        『裏切りの美徳 4』


俺の性根は腐っているから。いつも表情を表に出さない子がある日突然一瞬だけ


見せた笑顔より、醜いくらいに顔を歪めたその子の姿を見た時の方が断然


興奮する。






平日、午後、商店街の間に建つ古びたラブホテルの一室。


薄暗い部屋の中には風呂とベッド、そして革製のチェーン付き手枷と足枷がある。


まあつまりそういうプレイ専用部屋、そこに俺と嫁さんは居た。


二人とも生まれたての姿で俺の身体の上に嫁さんが乗っかりすやすやと寝息を


たてている。とてもかわいい姿だ。


俺の嫁さんの身体は言っちゃ悪いが細すぎる。女性らしい肉のふくよかさが無く、


まるで少年のような華奢な身体つきをしていてプラス肌の白さも相まって生気が


全く溢れてこない身体をお持ちの人だ。


大抵のチャラ男はこの見た目だけで俺の嫁さんを『中の下』と評価を下しているが


全く奴らは分かっていない。


「・・・んん・・・」


まだ夢の中にいる嫁さんが動く。


その度に俺の胸板には嫁さんの大きな二つの膨らみがタプンタプンと当たる。


・・・うん・・・うん、・・・凄く・・・凄く柔らかくて・・・大きい膨らみ


なんだな、これが。


「・・・嫁さん・・・」


眠る頬にそっと触れてみる。まだ熱が引かないのかまだ頬が少し赤い。


「・・・」


頬に触れていた指をゆっくりと動かして柔らかなピンク色の唇を歌詞の様にそっと


指でなぞってみた。


瞬間、嫁さんの身体が少し震える。可愛い、本当に可愛い。


「・・・っ・・・」


だから勢いに任せて嫁さんを両腕で強く抱きしめながら身体を反転して嫁さんを


組み敷き、唇に軽いキスをした。


問題ない。


だから興奮していざ唇を深く重ねて舌を強引に忍ばせたところ、俺の舌は


容赦なく噛みつかれた。


いや、これは噛みつくというか・・・食されようとしている。


「び・・・びぃっっっ・・・!!!」


上下の歯に挟まれた舌を引っこ抜こうとするが嫁さんの噛む力の方が強すぎて


一向に抜けない。


「べぇぇっ・・・べぇっ・・・」


俺は今最高に情けない顔を晒している。だがそんなこまけぇこったぁどうでも


よすぎて、これはマジで俺の舌が喰い千切られてしまいそうな予感。


え?俺の舌は食われちゃうの?牛タンと違うのよ?!


「びっ!・・・びぇ!!・・・」


口を開けすぎて顎が痛くなってきた。


だらしなく垂れた涎が嫁さんの唇に当たりピンク色の唇が更に艶やかになっている。


あぁ・・・凄く欲情しちゃうんですけど!なんで俺馬鹿みたいに舌出して


はぁはぁしちゃってんの?


どんなに顔を上げても舌を噛んでいる歯から抜け出せず、両腕で口を開こうとしても


全く微動だにしない


(ていうか開かねぇ・・・)


「ばばぃ・・・ばばぃぼぉ・・・」


舌の痛みが徐々に強くなり何だか鉄の味までしてきたもんだから、


さすがに俺も手段は選べなくなってきた。


「・・・ぼべん・・・ぼべばん・・・」


嫁さんに一応の謝罪。


嫁さんは全く何にもしてないのにね。ただ嫁さんはいつもの習慣で口の中に入ってきた


人間の部位は何でもご飯だと勘違いしちゃう、腹ペコさんなんだよな。


それを知ってて舌を突っ込んだ俺はただの命知らずの若き色欲魔。




だから・・・だから本当に誠に勝手ながら失礼いたします。


「・・・」


俺は顔を降ろすと、円を描くように両腕を動かし己の胸板の下へそっと腕を忍び込ませ、


そしてやんわりと赤子に触れるような優しい動きで手の平を降下させて大きな大きな


二つのお山を包み込むと、親指と人差し指の距離をゆっくりと縮めていき、


指の間に挟まれた二つの山の小さなピンク色のお家。ではなくて、


ピンク色の小さな丘を二本の指でじっくりと摘まみ上げそして勢いよく弾いた。



「っ・・・・・・!!!」



嫁さんの身体が震え、一瞬だけ口が開く。


その隙に俺は全速力で顔を上へあげて上下の歯で噛まれていた舌をなんとか救出。


助かった・・・助かったよ俺・・・。


込み上げてくる来る涙が頬を伝う。


今の気持を表すなら海洋パニック映画でラスト30分前ぐらいにいきなり船に


波が押し寄せてきて「うわー!!!」と叫んだまま消息不明、司令塔にいた人間全員が


「死んだ」と思い塞ぎ込ん出るところにモニターから流れる俺の声と共に壮大なBGMが


流れ出す。


そんな映画のワンシーンのような気持だった。


うん、メチャクチャ分かりずらくて大変申し訳ないのだが。



「・・・雲ちゃん・・・?」


「はっ!」


気が付けば嫁さんが目を覚ましていた。しかも少し頬が赤くなっている・・・。


「あ・・・いや、あの・・・これは・・・」


「私、雲ちゃんの上で寝ていたと思ったんだ、けど」


「ご・・・ごごごごごっ、誠にすいませんでしたぁ!!!!!」


おかしな日本語を叫びながらその場で土下座を決める俺。


―しかし何てナイスハプニング。頭を下げたところは大きなお山の山間部で顔が


大きなお山に挟まれちゃってるぅ!げぇへへへへ。



「夜這い?」


「違うよ!!」


突拍子もない発言をされてしまったので否定するため直ぐに顔を上げてしまった。


俺はなんて馬鹿なんだ。


「でも、私、また雲ちゃんの下に・・・」


「あ・・・いや、これは違うんだ。実はさっき嫁さんが寝返りを打って、


そのままベッドから落ちそうになったから受け止めようとしたら・・・


まあこんな感じになっ・・・ちゃっ・・・て・・・」


自分で喋りながら話の展開があまりにもご都合主義過ぎて、出来の悪さに


苦笑してしまう。



「そう、なの?」


「・・・そうなんです」


「ふーん」


「・・・」


やっぱ信じて貰えていない。


当たり前か、嘘なんだし。


嫁さんはきっと言い訳がましい俺のこと軽蔑しているんだろうな・・・。


「・・・ま、いいか」


そう言って嫁さんは俺の身体を優しく抱きしめてきた。


だから俺も嫁さんの細すぎる身体を優しく抱き返す。


「雲ちゃん」


「ん?」


「好き」


「・・・ありがとう・・・」


本当はキスをしたかったけど、先程のことがあるのでそれは断念して嫁さんを


抱きしめたまま身体を逆方向へ反転させて、再び嫁さんを俺の身体の上に寝かせると


頭を撫でてあげる。


満面の笑顔を見せてくれる嫁さん。やはりこの位置が一番落ち着く。



幸せな気持ちを噛みしめながら、俺たちは再び眠りについた。

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